人と音を描く画家。 小澤雅志に訊く、絵画と音楽の関係性

by Keita Miki

当サイトの読者であれば、渋谷にあるライブハウス、WWW Xのオープニングとなったceroのワンマンライブでメインビジュアルとして用いられた絵画を目にした人も多いのではないだろうか。ceroのライブ風景を色鮮やかに、独特のタッチで描いたビジュアルを描いたのが、画家の小澤雅志だ。
松濤のNeed Supply Co.での個展に続き、今年2度目となる個展『Masashi Ozawa Exhibition』が、恵比寿のKATA GALLERYにて9月末から開催中だ。確かな画力をベースとしながら、今の空気や、カルチャーの匂いを取り入れ、自身のテイストへと昇華した彼の作品は、様々なフィールドからの注目度を日々高めている。
そんな彼に、画家としてのスタンスから、氏とは切っても切り離せない音楽との関係について話を伺った。

Photo:Haruki Matsui、Interview&Text:Maruro Yamashita、Edit:Keita Miki

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「これ好き! これ嫌い!」で良いと思っていて。今は現代美術っていう言葉自体に、あまり意味がないかなと思っているんですよね。

— そもそも、小澤さんが絵を描き始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

小澤:小学生くらいから、絵を描くのは好きだったんですけど、意識して描き始めたのは高校からです。すごく恥ずかしいんですけど、進路とかを考えた時に、自分はサッカーが好きでサッカーばっかりやっていて、サッカー選手か、絵を活かした仕事に就きたいなって思ってて(笑)。サッカー選手は無理だなとなって、じゃあ絵を活かした仕事だと。当時から音楽もすごく好きで、アルバムのジャケットとか、ポスターとか、そういうのをよく見ていて、こういうのを仕事としてやりたいなと思って、美大に行ってグラフィックデザイナーになろうと思いました。絵をちゃんと描き始めたのは、それからですね。でも結局、美大在学中にグラフィックデザイナーではなく、作家方面に行きたいなという気持ちが固まったので、在学中から作品として絵を描き始めました。

— 在学中に作家的な方面に進みたいと思ったのは何故ですか?

小澤:僕が大学入った頃って、グラフィックやデザインをやるんだったら、Macを使えないとダメですみたいな風潮がちょうど強まっていた時期で。僕はそこにめちゃくちゃ違和感があったんですよ。自分は、手で描きたいと思っていて、Macを使えなきゃデザイナーになれないのであれば、俺はなれなくて良いなって思って。そもそも、高校の美術部の時にも、先生について作品作りをやってたんです。デッサンとかそういう勉強とは別に、作品を作って公募展に出せと言われて、そういう時に作品作りには触れていて。その感覚が凄い好きだったんですよね。