ハイテクスニーカーの代名詞といっても過言ではない、[プーマ(PUMA)]の一側面を代表するモデル”DISC SYSTEM”が登場してから今年で20周年。ウサイン・ボルトのプロダクトに関するインプレッションを参考に考案された”FAAS”シリーズの最新テクノロジーを引っさげてバージョンアップしたこの”Disc”にフィーチャー!スニーカーカルチャーといえば、この人、ミタスニーカーズ(mita sneakers)のクリエイティブディレクター国井栄之氏と、3月20日(火)に開催される東京コレクションでのランウェイショーにも注目が集まる[ウィズ(WHIZ)]のデザイナー下野宏明氏に、”Disc”の思い出からインプレッションまで、ディープに語っていただきました。それではどうぞ!(以降、文中敬称略)
「やっぱりコレくらい突飛だと、伝説的な存在になっちゃってますよね。」(下野宏明)
— まずは、Disc Blazeの思い出というか、発売当時の印象からお伺いしていってもよろしいでしょうか?
下野:でも、このデザインって相当天邪鬼だよね。知り合いが当時、Disc Blazeを履いていたんだけど、僕はPUMP FURYを履いていた。
— そうなんですね。
下野:PUMP FURYは出た時はすごく欲しくて。当時、僕はワールドスポーツプラザで働いていたんですが、日本だとすごく高かったから、わざわざ友人にアメリカで買ってきてもらったぐらい(笑)。「なんでそんなのが欲しいんだ?」ってすごく言われましたね。でも、Disc Blazeのほうがすごいデザインですよね。
— 確かに。同時代のハイテクスニーカーと比べても突出していますよね。
下野:やっぱりコレくらい突飛だと、伝説的な存在になっちゃってますよね。不思議なもので、今だったら履いてもいいかなと思っちゃいますもん。
— 国井さんは当時から履かれていたんでしょうか?
国井:いや本当のオリジナルは履いていないですね。1992年〜94年とか、その辺りは僕、ぶっちゃけスニーカーに興味が無かったので。
— え?そうなんですか?
— 履き心地もスニーカー選びの重要な基準ですもんね。
国井:もちろんです。最初はビジュアルで選んだり、靴屋なので機能の部分も見るんですけど、実際それを長く履くか、履かないかは履き心地で決まるものだと思うので。なので、今回のモデルは結構な頻度で履いています。
— 下野さんはいかがですか?
下野:まだ履いていないんですけど、僕、最近良くランニングシューズを履くんですよ。でも移動はバイクだから、寒くて。上下ウィンドストッパーなのに、足だけスースーみたいな(笑)。
でも、好きなんですよね、こういうやつ。これから履くんじゃないですかね。そういえばさっき気づいたんですけど、僕の今日の格好って「THE 90年代」ですよね(笑)。チャンピオンのスウェット上下に、ハイテクスニーカーに、ゴアテックスのアーミーパーカ。
— それは特別意識しないでそういうコーディネートになったんでしょうか?
下野:最近のマイブームなんですよね、スウェット上下。今回の”Disc”を履く時も、本当はスウェットパンツに合わせるくらいがちょうど良いんじゃないですかね? それか9分丈くらいのパンツとか。そういうコーディネートも良いですよね。
— カラーリングについてはいかがでしょう?
下野:わがままを言わせてもらえば、僕はつま先を黒にしたいですね。このシリーズって、全部つま先が白なんですよね。
国井:ビームスのモデルがモノトーンだったり、インラインで過去のヘリテージカラーが出たり、ミハラさんの企画(※PUMA by MIHARA YASUHIROのこと)にも併用されていたりと今後更にバリエーションが増えていきそうなので、フィットする一足は必ず出てくるかなと思いますけどね。
— でも、これをサラッと履くのってすごく難しいですよね。
「あの当時にプーマが作って、今の21世紀でも流用できるというのは素晴らしいなと思いますね。やっぱりそういうのがエポックメイキングというか。」(国井栄之)
国井:多分、スニーカー好きって2通りいて、ファッション的な視点からスニーカーを選ぶ人と、ガジェット好きみたいに単純に新しいものが好きな人。とりあえず最新のものが出たら試してみたいというおもちゃ感覚で買う人もいるので、そういう人には本当に楽しい靴なのかなと思いますね。地味なメリットを言えば、これが玄関においてあるとスポっと簡単に履けるので、意外と履く率が高くなっちゃうっていう(笑)。
— めんどくさがり屋にはうってつけの靴ですね。
国井:そういえば”Disc”というシューズで1つだけ不思議に思っているところがあって、このワイヤーが黒以外になっているのを見たことが無いんですよね。
— たしかに。言われてみればそうですね。
国井:昔の話ですけど、別注で「ワイヤーの色を変えたい」って言ったら、「それは無理だ」って言われて。なんで無理なのか、理由は未だに分からないんですが。
下野:なんでだろうね。ワイヤーの色を変えるなんて、大した手間じゃないのにね。
国井:でも絶対にプーマは変えない。
— ワイヤーの色を変えられたらもっと面白くなるかもしれませんね。
国井:もう少し色々なことが出来るようになるのかなと思うんですよね。
— ディスクのパーツ部分はカラーを変えられるんですか?
国井:ここはもう樹脂なので、PANTONEで色を指定すればできると思います。でも、黒と白以外はあまり見たことが無いですね。
下野:…靴詳しいね。
一同笑
下野:いや、普段はスニーカーの話なんてしないからびっくりしちゃいますよ。国井君、オタクじゃんって(笑)。
— お2人が普段スニーカーの話を全くしないっていうのも意外ですね。
国井:しないよね? するとしても、最近あれが良いとか、その辺でみんなが話しているのと同じくらいのレベルの話で。それか、絶対他の人とはしゃべらないような話。両極端なんですよ(笑)。
— それでは、最後に”Disc”について国井さんから一言いただいて、本日の締めに出来ればと思います。
国井:そうですね。とにかくすごいと思うのは、時が経つに連れてソールやアッパーや縫製は着実に進化していっているんですけど、この”Disc”のパーツだけを見ると、昔のパーツと何一つ変わっていないというところ。だから、これは当時から完成されていたものなんだと思います。当時に作ったものが、この21世紀でも流用できるというのは素晴らしいなと思いますね。こういうものが本当のエポックメイキングと言えるのではないでしょうか。