『BAL』や『JAZZY SPORT』の相次ぐショップオープンで話題を呼んでいる「五本木エリア」を徹底特集!

by Mastered編集部

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top去る8月28日、東急東横線の学芸大学駅から徒歩数分の五本木エリアに、『バル(Bal)』のフラッグシップショップがついにオープン。そこで今回Clusterでは、一足先に渋谷・宇田川町から移転してきていた、同じ物件内に軒を連ねるレコードショップ「JAZZY SPORT MUSIC SHOP」とともに、新たなカルチャースポットとして注目を集めるこの五本木エリアを特集します。
まずは、バルのディレクター兼代表である江田龍介氏と、レコードショップ運営からレーベル業務、アーティストマネージメントまで幅広く手がけるJAZZY SPORTの代表Masaya Fantasista氏を招き、五本木トップ会談を実施。「なぜ、今五本木なのか」ということを中心に、とことん話を伺ってきました。
五本木という場所がなせる業なのか、リラックスした雰囲気ゆえ両名ともかなりフランクな語り口になっていますが、その内容は重量級。読み応えアリです。
バルのオープン前日に行われたレセプションパーティの様子と合わせて、どうぞお楽しみください。

写真:浅田直也

個々のお店が強くなれば、その周辺がスポットになる

— まず、この物件をシェアする様になったいきさつを聞かせてもらえますか?

江田龍介氏(以下江田、敬称略):もともとマサヤ君と知り合ったのは…

Masaya Fantasista氏(以下マサヤ、敬称略):小学校のサッカーチームが一緒だったんだよね。

江田:いやあれだよ、水泳のときに隣のレーンでを泳いでいた人がいて…

マサヤ:俺がバサロやってたら、「良いバサロですね」って言われた。

江田:全然水面に出てこないなぁ、と思って。

— え?(笑)

江田:そういう出会いがあって。「あ、お前やるじゃん」っていう。

マサヤ:まあバサロに反応してくれたからさ。さすがわかってるな、って。

江田:おたがい鈴木大地世代の年だから、もう。

— では、最初からそういう感じのスポーティーな出会いで。

マサヤ:そうだね。

江田:そのあとはもう多摩川の土手で殴り合いの喧嘩をして。それでお互い色々わかり合って、じゃあ一緒に事務所やろうか、っていう流れで…

— えぇっと、今日は終始こんな感じですか?(笑)

マサヤ:その辺は第2部にしようか(笑)。なんか裏バージョンみたいな感じで。

江田:まぁ一連の話はもちろん冗談なんだけど、それくらいいい加減なものっていうか…実際いい加減じゃないけどね。自然な流れで。

— うまく軌道修正してきましたね(笑)。二人の出会いはCOMA-CHI(JAZZY SPORT所属のフィメールラッパー)の仕事からですか?


COMA-CHIの1stアルバム「RED NAKED」。
江田氏はアートディレクション全般を担当。

江田:そう。知り合いから紹介を受けて、COMA-CHIの1stアルバム(”RED NAKED“)のアートディレクションをやらせてもらって。もちろんジャジスポのことは元々知ってたし、世代も同じくらいだって言うのも分かってた。それに共通の友達も居たりしたんだけど、それまでなかなか直接の接点は無かったんだよね。そんな土台があった上でいざ会ってみたら、うちの洋服も気に入ってくれたし、聴いてる音楽の話でも「あ、このレコードうちでも扱ってるよ」みたいな感じで…

マサヤ:まず俺が江田君にやられちゃったって感じかな、どっちかっていうと。俺、バルのこととか全然知らなかったからさ。本当に音楽のことしか知らないから。でも、イケてるかイケてないかっていうのは分かる。

— グルーヴと言いますか。

マサヤ:それと、ファッションの人なのにこんなレコード買ってるんだ、とか、そういう部分に俺がやられちゃったのね。「あぁ、こういう人たちがいるんだ」って。元々、ファッションとかそういう所とリンクしてかなきゃいけないっていう意識はずっとあったから、余計に。

江田:で、そこから会う回数が一気に増えて。普通に友達の紹介とかでなんとなく知り合いになってたら、お互いのパーティに行ったりしないとなかなか会う機会もないけど、仕事の打ち合わせとかでなかば強制的に会うようになるわけ。それでいろいろな話をするうちに、どんどんいい感じのフィーリングになっていって。とにかくマサヤ君は自分のまわりに居ないタイプのキャラっていうか性格だったんで、すごく興味を引かれたかな。で、もちろんCOMA-CHIのプロジェクトは進行していたんだけど、それだけじゃなくてお店だったりとか、ジャジスポのなかでも別のところでもっと色々やれるんじゃないか、っていう話になってきて。

— なるほど。バルとしてもお店ができる物件を探してたんですよね?

江田:そうそう。3年前に前の会社から独立した時から、バルのフラッグショップを出そうってことは決めてて。やっぱり自分たちの箱が無いと、ブランドの世界観を提案しにくいよね。ルックブックはやっぱり生では無いし、かといってシーズンのアイテムをフルで見られる展示会は、一般のお客さんだと見られないし。俺らが何をしたくて、今どう見せたいかっていうのは、結局お店っていうのが一番手っ取り早いんだよね。そこに立っている店員、お店の陳列の仕方などなど、分かりやすく表現できる場所は欲しいなと思ってたの。でも、なかなかいい物件に巡り会わなかったり、予算が合わなかったりで、色々悩んでたんだよね。そんな時、ちょうどマサヤ君と知り合ってすぐぐらいのタイミングで、ここ(五本木)の割と近くにビル一棟貸しっていう物件がいい値段が出てて。

マサヤ:あぁ、あそこか。

江田:そうそうそう。それで「出た!」ってことになって…

マサヤ:あれで本気になっちゃたんだよね。完全に本気になった。


バル代表、江田龍介氏。

江田:それですぐマサヤ君に連絡して、とりあえずちょっと内覧してみようよ、と。それで実際見に行ってみたら、地下室もあって、防音システムもあって、シャワーもついてて、おまけに四階建てで屋上も使えて…みたいな感じで、「すげーいいじゃん!」ってなったんだけど、俺らもまだ現実的に走り出せるタイミングにはなってなくて。でもどう段取りしたらそこを借りられるか、ジャジスポの学芸大学スタジオでマサヤ君とふたりでがっつり話し合って。

マサヤ:だよね。いい加減なようでいて、結構ちゃんと話し合ったからね。

江田:そこはちゃんと話してたなあ。で、もうマサヤ君もすっかり本気だし、俺らも本気だし、もしこの物件がダメだったとしても、いずれ絶対一緒にやりたいなって話になって。まぁ結局そこはダメだったんだけど、今度はここが空いたんだよね。元々7STARS DESIGNの事務所だったところなんだけど、彼らが移転するっていうことで友人を介して連絡をくれて。で、最初見にきた時に、「あ、絶対ここだな」と。どう考えたって贅沢すぎでしょ、と。場所が五本木っていうのは俺の中で一瞬ネックになったんですけど、よく考えたらジャジスポのスタジオも学芸大学だから、すぐだし。

マサヤ:まあね。

江田:あと、俺らはずっと中目でやってきたんだけど、どんどん変わっていく街の雰囲気にちょっと違和感があったりもして、そろそろ違う街もいいかなぁなんて思ってたんだよね。そんなことをぼんやり考えてた時に、この辺の話が具体的になってきて。ちょうど自分たちの生活圏内だし、世田谷公園もあるし、駒沢公園もあるし。しかもちょうどそのクロスポイントにあたるのが五本木で。じつはここからすごい伸びるんじゃないか?って。

— なるほど。

マサヤ:俺らね、ちょうど笹塚にディストリビューション部門の事務所があって、渋谷にお店があって、で学大にスタジオがあって。だからみんな働いてる場所が別で、それによるストレスって結構大きかったわけ。だからまず、みんなが一ヶ所にいるってことが大事だなっていうのは、もう2年前ぐらいからずっと思ってて。それで、ずっとまじめに物件探してたんだよね。それこそ江田君とはじめて会ったとき、中目の不動産に詳しいって言うから、なんか紹介してほしいって話をしてたくらい。でもねえ、出てくる物件出てくる物件、狭いか、高くて広いかで全部無理なんだよ。俺たちだけだと。それで、ということはもう誰かと一緒にやんなきゃダメなんだろうなって思ってた時に出会えたから、ほんとにそこら辺はもうガイダンス的な感じで。

江田:シェアっていうと人によって様々なとらえ方や見解があると思うけど、他業種同士でやる意味はかなりあると思う。元々俺らも独立の段階でヤマチャン(Metronome Inc./toe 山嵜廣和氏)、ニイ君(ニイマコト。グラフィックデザイナー)と三社で中目黒の事務所を借りていたんだけど、その時点でかなりおもしろかった。別の会社の人間と日中同じ空間にいて、仕事の現場が見られることって刺激になるよね。
最初にある程度ルールを決めておけば何も問題ないと思うし、むしろいろんな人たちが出入りすることで、おもしろい展開がいくらでも生まれるから。

マサヤ:俺らは元々心配してないもん、その辺は。むしろウェルカムタイプ(笑)。「超面白そう!」っていう感じでしかないから。「いろんな人がいるから…」とか色々気を使ってもらってすごく嬉しかったんだけど、むしろいろんな人がいた方が楽しいじゃん!っていう感じで(笑)。

江田:それでウチとしてはスペースが拡大したうえにお店もできて、しかもシェアする相手がレコード屋って、おいしすぎでしょ!

マサヤ:しかも元々学大で探してたの。本当に。自分たちだけでやろうとしてた時も。

— それはお店のスペースも込みで?

マサヤ:そうそうそう。でもないのさ。全部見た。学大でこれくらいのスペックの物件は、もう商店街のあたりには無い。全く無い。それが分かったから、もう学大を諦めかけてたとことだったんだよね。

— 元々JAZZY SPORTのショップは、宇田川町っていういわゆるレコードの聖地にあったわけじゃないですか。そこから学芸大学っていうのは結構意外な移転劇だったんですが。

マサヤ:学大も聖地なんだよね、俺にとっては。ちょっと渋めのね。いまだにレコード屋とかあるしさ。ま、下北沢ほどではないけど、こんな街、あんまり無いからね。レコード好きな人も多いし。正直お客さんのための立地、とかっていうのはあんまり考えてなくて、学大にオフィスがあったら、働く自分たちがめちゃめちゃテンション上がるよね、ってだけ。それが生み出すものって大きいじゃん。まずこっちが楽しまないと。そういった意味で学大を第一希望で探してたんだよね。ちょうどいいタイミングで出会えた。

— 実際移転が決まった時、既存のお客さんから何か反応はありました? ポジティブとネガティブ含め。


JAZZY SPORT代表、
Masaya Fantasista氏。

マサヤ:あったんじゃないかな。でもあんまり気にしてなかったよね。もう、いいものを提供する事だけ考えれば良いじゃん、って。ネガティブに言われてようがポジティブに言われようが、やるだけだから。いい感じでやれれば良いじゃんとしか思ってなかったから。まあ、正直通いづらくなった人もいるとは思う。やっぱり中央線沿線とか井の頭線沿線とか、一回渋谷を経由するようなところに住んでる人たちには、ちょっと申し訳無いところもあるかなと思っていたけど。でも、渋谷駅から急いでも12?3分かかる宇田川町までの距離とか、レコードを持って歩く辛さとかを考えたら、山手線で来ようが、そこで東横線に乗り換えて駅から徒歩5分の方が全然良いじゃん、っていう自信はあった。

江田:ドアtoドア換算的なね。

— 確かに渋谷駅から結構遠いですもんね。

マサヤ:そうそう。

江田:なんか昔って、レコードから服から食事から、特定のエリアで全部済ませてしまいがちだったと思うんだけど、今ではドープな居酒屋に行くためだけに、電車に揺られて野方とかまで行ったりするわけじゃん。そういうところに意識の変化を強く感じて。だから、目的意識とショップっていう存在が一直線になっていて 、それが離れたら、またそのためだけに行くっていう気持ちに周りも変わってきてると思う。個々のお店が強くなればその周辺がスポットになって、今度は東京都内のそういう場所を回遊する、っていうのがトレンドになっていくような気が俺はしてて。

— ニューヨークもそんな感じですよね。みんなSOHOから離れて。

マサヤ:宇田川にオープンした頃は、宇田川にあるメリットっていうのが確かにあったんだよね。数あるレコード屋を回るコースに、うちの店を入れてくれてた人が実際にいたから。でも移転ギリギリぐらいの頃は、もううちに来るためだけに渋谷へ来てるっていう人が多くて。本当、他のお店が無いから。無くなっちゃたから。だったら、ジャジスポに来るためだけにわざわざ渋谷から歩くんだったらこっちでもいいじゃん、っていう感じに変わったんだよね。

江田:あと路面店になるっていうのも気持ちとして大きくなかった?

マサヤ:やっぱりそれはデカいよね(編集注:宇田川町時代のJAZZY SPORT MUSIC SHOPはビルの4階にあった)

江田:路面で行きたいなって。俺らもずっと地下だったから。やっぱり道路に面していて、外にベンチとかウダウダできるスペースがあるお店で育ったしね。店の前でベンチに座って、後ろから良い音楽が聞こえてきたり、酒を持って遊びに来る友達がいたりして、そこでガヤガヤできるような。そういうのにここがすごくフィットしてるなと思った。
あと、幹線道路沿いっていうのもイメージだったから。駒沢通りって、渋谷とか恵比寿とか原宿あたりヘ働きに行く人が、バイクとか自転車で通るからね。

— 通勤中に突然こんなお店があったら目立ちますもんね。マサヤさんはこの辺りに住んでいたことがあるぐらいだから慣れてると思うんですけど、江田さん的に学芸大学っていう街の印象はどうですか?

江田:学大って本当に一度か二度くらいしか来たことがなかくて、微塵も土地勘とか無かったから、新しい土地に引っ越してきたっていうフレッシュさが強くて。とりあえず毎日飲み歩くよね(笑)。
印象としては、意外と生活していく上で必要なものが揃ってる街。中目黒よりある意味充実してるな、と思った。しかもコンパクトに。おいしいお店も結構多いし、古着屋さんが夜中までやってだりだとか、いろいろおもしろい街だよね。あと、ピストとか自転車に乗ってる人が結構いたり、プッシュでうろちょろしてる人がいたり、レコードバッグを持ってる人なんかを見ると、渋谷のサテライト的なポジションで結構充実してる街なんだな、っていうのに気づいた。

マサヤ:カルチャーがあるよね。

江田:あとね、すごく子供が多い。中学生とか小学生とかが本当わけのわからない洋服だとか髪型とかして、ここの前を通る時にちらちら見てたりすんのよ。

マサヤ:やっぱり気になるんだよね。

江田:気になってるんだけど、一体なんなんだろうみたいな。でもそういう子たちが高校生とかになって、なにかのきっかけでポンと入ってきてくれたときに、俺らが何を提案できるか。

マサヤ:中学校から来ればいいよ。俺はそこをすごく…本当、一番くらい重要視しててさ。ここで10年これを続ければ、マジでここからカルチャーが生まれるから。世界がびっくりするような。だって、俺らのこういうお店がある環境で子供達が育っていくんだよ? もちろん渋谷とかに行けばいろいろお店はあるだろうけど、自分が住んでる近所にあるっていうこの感じ。それで俺らも近所の兄ちゃんみたいに接していけばさ、おもしろい人たちが育っていくと思うんだよね。渋谷だとそれがちょっと難しかったかな。宇田川でもカルチャーを作り出したいと思っていたんだけど、元々あるからね。みんなの中のひとつ、みたいな感じになっちゃうし、そこまで地域と密着も出来てないっていうか。いろんなところから来てる人で成り立ってる街だからさ。まあ、発信していく場所としてはいいんだけど、もうちょっとこうやって地域と密接に関わっていきたいかな。
やっぱ俺、盛岡でそういうのを経験してるから、その快感が忘れられないのかもしれない。ちょうど良いサイズ感で盛岡の仲間とやってきて、実際今さ、いいビートメーカーが出てきたりとか、そういうのがあるからさ。10年続けていくと文化になるんだなっていうのは実感できていたから。東京でもそれをやりたいな、と思ってたの。この辺って、住んでる人たちもいい感じの人が多いしさ、ちょっと行けばリッチな人たちが住んでるようなエリアもあって。親もスゴいしセンスもいいみたいな、そういうエッジの効いた、感度の高い人たちっていうのがいてさ。で、そういう人達の子供にうちらみたいのが影響を与えられたら、さらにおもしろい事になるんじゃないかなと思って。「お前もとうとうハタチになったのか!」みたいな、ヤバいヤツが出てくるのがほんとに楽しみ。

— バルのお店はコンセプトもそういったところなんですよね? 自分が昔通ってた店、みたいな。

江田:そう。要は近所にあった、悪いお兄ちゃん達が集まるようなところに結構ビビりながら行って、そこでスケートと音楽と酒と女…みたいのを教えてもらって。で、巣立って行くんでもいいし、一緒に居てもいいし、自分らで何か新しく始めてもいいし。俺らもそういうのに中学生の時からどっぷり浸かってきたから。

— 実際オープンしてみていかがですか?

江田:ショップオープンの日はおかげさまで行列も出来たし、オープン記念のアイテム目当てに来てくれたお客さんはいっぱい居たんだけど、やっぱりこんな場所だし、まだオープンしたばっかりだし、混雑してめちゃくちゃ大変だ!みたいのは無いよね。でも、お客さんの入り方がいい感じっていうか、来ては入れ替わり立ち替わり、ここで時間を使っていってくれるっていうようなお客さんが多いから。

— 結構フラっと来るようなお客さんもいます?

江田:いるいる。昨日も女の子2人組が入ってきて、「何なんですかここ?」みたいな。あと普通にスケートボードでざーっと滑ってきて、スケートシューズを買って、とか。

— ジャジスポは一足先にオープンしていたわけですが、ぶっちゃけた話、渋谷の頃と比べて売り上げはどうですか?

マサヤ:気にしてない(笑)。どうなんだろうな。来店して買っていく人の数字はそんなに変わらないか、ちょっと下くらいかもしれないよね。でも、店舗で超がんばらなきゃならないっていう呪縛から逃げ出したかったわけ。無理なんだもん。元々儲からない商売だから。こればっかりはハッキリ言っておきたいけど、こんなに儲からない商売無いから。レコード屋さんって。でも続ける事に意味がある。
バルは洋服のブランドだから当然だけど、レコード屋さんってブランディングとか気にして無いでしょ。もちろんセレクトする内容に個性が現れるけど、それはブランディングの一部でしかないし。それにしてたかもしれないけど、無くなっていっちゃったわけじゃん。実際、残っているお店はちゃんとその辺出来てると思うし。それで俺らも、最初からブランディングっていうものをめちゃくちゃ意識していたんだよね。そうやって意識していく上で、その…なんというかな。…えぇっと、何の話だっけ?(笑)

— 今、すごく良い話だったんですけど(笑)

江田:要はブランディング、渋谷から移って売り上げは?って言う話だよね。わかるわかる、俺も話の途中でよく見失いそうになるから(笑)。

マサヤ:そうそう、ブランディングの話(笑)。JAZZY SPORTっていうブランドにおいて、レコード屋の存在っていうのはめちゃくちゃプライオリティーが高いわけ。それはビジネス的にじゃなくて。ビジネス的には高くしようがないから。そこでがんばって儲けるのは無理だから。でも、レコード屋が僕らのメインですよ、っていうマインドを全面に出していかなきゃと。レコード屋さんでどうやって食っていってるんだろう? みたいな。

江田:一緒だよね。俺らもここの売り上げなんて全然大した事ないもん。やっぱり卸売がベースのビジネスだから。でもコレが無きゃダメだ、っていう場所にはなってる。

マサヤ:だから、売上をそんなに気にしていないっていうのはいい加減に考えているわけじゃなくて、気にしなくて済むようこっちに移ったっていうこと。

— 客層は変わりました?

マサヤ:ちょっと変わったね。でもそれは元から狙ってた事だから。新しい人が来ると嬉しいな、やっぱり。渋谷にもう行きたくないと思っていた人は、いっぱいいると思うから。そういう人たちが来る様になったと思うね。あとはやっぱり、この街には音楽好きな人がいっぱいいるって言うのが分かってたから、実際そういう人たちも来てくれて。やっぱりその辺のミックスは期待してた。これからもどんどんね、増やしてこうって。もうどっちがどっちとか関係ないじゃん、っていう。こないだもうちらの昔からのお客さんがさ、バルでカバン買っていってくれて。そういうのは嬉しいよね、やっぱり。「分かるっしょ? バルの良さ分かっちゃうっしょ?」みたいな。価値観を共有出来るのはデカいね。

江田:うちのお客さんはね、レコードも買ってる人がスゴく多いから、もうセットだよね。洋服を見に来て、その後ずっとジャジスポでレコードの試聴して。オープンの時のレセプションでもそんな感じだったでしょ?

— 確かに、明らかにバルのレセプションに来てるはずのに、真っ先にジャジスポへ入っていった人もいましたね(笑)。

マサヤ:もうね、うちらもオープンぐらい売れちゃったよね。

江田:まあ言ったら仕切り直しのオープンみたいなもんだよ。

マサヤ:そうだね。やっとオープンだよ。グランドオープン。

江田:要は、うちだけじゃないし、ジャジスポだけでもないし、っていう。俺らがレコードを置かなくても、ジャジスポが置いてくれてるっていう。そういうクロスオーバーな場所になってるんじゃないかな。

— この間ベンダーが移転した時に話を聞いたときも、サーフェン智さんは「中目黒をカルチャータウンにしたい」と言っていたんですよね。やっぱり本拠地を移動する人はそういう事を言うんだな、と。

江田:さっきマサヤ君も言ってたけど、渋谷とか大きな街に出すと、いっぱいあるうちのひとつになっちゃうじゃん。でも、中心地からちょっと距離を取った小さめの街だと、街全体が自分ごとに感じられるから、いろいろ見方も変わってくるんだよね。

— 確かに原宿なんかだと、人気のあるお店の近くにそこのお客さんを狙ったようなお店ができたりとか、そういうところもありますもんね。

江田:まぁ俺らも生活していかなきゃいけないからビジネスではあるんだけど、まずやりたいこととか表現したいことっていうのがありきなんだよね。それがお金になるなんて本当にありがたい、というのが根本だから。なので、俺らのクリエーションを支持してくれるお客さんとは、お店でどんどん話もしたいし、いいレコードも薦めたいし(笑)。どんな人間が、どんなこと考えながら作ってるのかっていうのを、もっと知ってもらったら嬉しいですね。

— 今後こんなことをやっていこうみたいなことはあります?

江田:まずはオーナーとしてお店をやるってこと自体初めてた?から、リサーチしたりいろんな資料も集めて勉強させてもらってます。
とにかくまずは、店を真っ白いキャンバスとして据えて、気分によってどんどん書いたり消したりっていうことをやっていく予定です。それに、「こういう店だからこういう服を置きたい!」みたいなデザインを今までした事が無いので、それがもしかしたら新しいコンセプトになっ ていくかもしれないです。

— それは楽しみですね。お二人とも、今日はありがとうございました。

BAL

お問い合わせ先

バル

〒153-0053 東京都目黒区五本木3-17-7 DS MAP
Tel:03-6452-3913
営業時間:14:00〜21:00(不定休)
http://www.baloriginal.com/

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