写真:平山 勝之
— では、早速ですが最近気になってるモノを紹介していただけますか?
小木氏(以下敬称略):ターコイズのアクセサリーにハマってて。
— ターコイズですか。小木さんのイメージからすると結構意外な気もするんですが?
小木:去年タズ(Taz Arnold)がお店に来てくれたんですけど、その時に赤いバンダナ柄のウェスタンシャツにエルメス(Hermes)のカシミヤのマフラーを巻いて、さらにフェンディ(FENDI)のニットキャップを被ってて。
パンツはボロボロのデニムなんだけど、後ろをつまんでブーツカットにリメイクしてて、そこにシャネル(Chanel)のブローチを付けて指には4連リングして、みたいな。
それを見てすっかりヒップホップのイメージをくつがえされちゃいました。
— あの人は本当におしゃれですもんね。
小木:昔、ネイティブタン(Native Tongues)の人たちが出てきた時に「コレもヒップホップなんだ!」っていう衝撃があったような感じというか。
まぁその当時からヒップホップを聴いていた訳ではないんですけど(笑)
タズを見て、はじめ古着とかを着てるのかな?と思ったら、ロックマウント(Rockmount)っていう凄い老舗のウェスタンシャツで。
さらに、ターコイズのネックレスを着けてて、なんかヘッドにジョン・コルトレーン の似顔絵が書いてある。
そんなネイティブなアイテムに、ヒップホップ性を入れてるっていうのに衝撃を受けちゃって。
そんな感じで『ウェスタン』がだんだん気になり出したときに、ウチで展開してるBBPっていうブランドの展示会に行ったら、クラーク・ケント(Clark Kent)っていう人が80年代に出してたDJ教本みたいなビデオを流してて。多分当時通販で売ってたような感じ。結構スゴいモノらしいんだけど。
そのビデオのあるシーンで馬に乗ったカウボーイが出てきて、首にぶっといゴールドのチェーンをしてたんですよ。カウボーイなのに(笑)
それ見たらさらに「カウボーイが今のキーワードなんじゃないかな?」って思いはじめて。
それからすっかり気になっちゃって、もうどんどんスペース・カウボーイとかジャミロクワイの(編集部注:94年作「The Return Of The Space Cowboy」)とか、色々想像しちゃうようになってきたんです。
— ヒップホップの曲でもロデオネタがありますもんね。
小木:そうなんですよ。
DABOさんとご飯を食べたときにこの話をして『何かあるんですかね?』って聞いたら、『開拓者って凄いよね』ってひと言返されて。『確かになぁ』って。
(一同笑)
— 小木さんも、これからのファッション業界のフロンティア的な所もありますしね。
小木:いやいや!そんなことないですよ。
そういえば、開拓者とインディアンジュエリーって、また全然相反するモノになっちゃうんですよね(笑)
あっ、そう!あとタズがグッチ(Gucci)のベルトも着けてて、そのバックルがターコイズでGのカタチにもなってた!
— それはカスタムですか?
小木:いや。彼、結構本物をちゃんと身につけてるんですよ。偽物っぽく着てるんだけど本物を着てるんですよね。
で、今までは「ターコイズ=インディアンジュエリー」っていうイメージしか頭になかったんですけど、チベットとかエジプトとか、ターコイズはニューメキシコだけじゃない、っていうのが調べて行くうちに分かってきて。あと石の価値なんかも。
—- そうなんですね。ちなみに僕も一時期ターコイズにハマって、チベット産のもっとグリーンっぽいのとか持ってますよ。
小木:それ、要らなくなったらちょっと持ってきてもらっていいですか?
(一同笑)
小木:さらに自分の誕生日が12月なんですけど、なんと誕生石がターコイズなんですよね。そんなことをあらためて知って。
それで、ニューメキシコのモノだけじゃないって分かってから、エジプトとかタイとかのアクセをミックスして付けるのが面白くなってきちゃって。
80年代ヒップホップの人たちがゴールドのチェーンをしてたのが、反動でレザーのメダリオンに変わったり(編集部注:参考)とかしたじゃないですか。今もそんな気分なのかなって。
あと、今年の2月にニューヨークに行ったときアウトキャストのアンドレ(Andre 3000)がイブ サンローラン(Yves saint Laurent)のホーンのネックレスしてたのを見て、それを真似して買っちゃったり。
—- まったく同じモノですか?
小木:いや、ちょっと違いますけど。
あとMAGICでオーダーしたサボテン型のループタイとか。
南フランスのカマーグ地方で作られてるウェスタンテイストのループタイとか、ウェスタンなムードをなんとなく感じてきてますね。
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