春画と”情動”。輪島キリモトの漆器を味わう

by Keita Miki

輪島の地で200年以上、木の仕事に携わってきた桐本家による輪島キリモトの漆器展示販売会『情動-JYODO』が、現在、ギャラリー月極にて開催中だ。

江戸時代後期から大正にかけては屋号を”久之氶”とし、輪島漆器の製造販売を営んでいた桐本家だが、昭和の初めに屋号を”桐本木工所”とし、木を刳ることを得意とする下請の朴木地屋に転業。平成に入り、屋号を”輪島キリモト”とし、木地屋として造形を生み出す力を活かしながら塗り仕上げまで手がけるようになり、技法や工程の革新にも挑戦している。

今回の展覧会では、視覚、嗅覚、触覚、味覚、聴覚を切り口にお酒の席が賑やかになるような品物を、輪島の木地師、塗師、蒔絵師たちとともに準備。日本ではなかなか商品化されない、春画をモチーフとした酒器も大きな見所の1つだ。

現在、多くの日本の伝統工芸同様、輪島の漆業界も深刻な後継者問題を抱えており、品物を作る人だけでなく、道具を作る人、素材を育む人が減少を続けており、現存している人たちで、時代を読みながら新たな循環の仕組みを作り出す必要がある。

輪島キリモトの八代目である桐本滉平は、自然素材の魅力と人間の創造力の融合には無限の可能性が秘められていると信じ、人と自然の心地よい循環を追求することで、先人たちから受け継いだ文化を未来につないでいきたいと考えており、本展覧会のタイトルである『情動-JYODO-』には、伝統の素晴らしさを大切にしながら、情緒が動く瞬間を生み出していきたいという意味が込められているとのこと。

時代を超えて人の情緒を動かす仕事を生み出そうと志す輪島キリモトの美しい漆器を、この機会にぜひともチェックしてみよう。

ギャラリー月極 輪島キリモト『情動-JYODO』

開催日時:~2019年12月26日(木)
開催場所:ギャラリー月極
東京都目黒区東山3-12-4 第二東邦ビルB1F
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