TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.の2021年春夏コレクションが公開

by Keita Miki

TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.(タカヒロミヤシタザソロイスト.)が、9月29日、2021年春夏コレクションをフィルム形式にて発表した。

シーズンテーマは”doe(s)”。

世界的なパンデミックの動乱は、宮下がデザインする事を通して見る景色をも変えてしまった。しかしそれは宮下のデザインの思考の方法論を、その延長上に存在する定量化出来ない事象の領域への挑戦へと進化させたという事に他ならない。この抑圧された現状下で宮下は、二極化の進むファッションの世界に於いて、本当に洋服に向き合える瞬間の訪れを感じ、その創作を続けた。宮下は全てがリセットされた新たなる世界の”誰でもない存在”の為の洋服を創作する。性差や肌の色の違い、年齢も全く関係の無い、新しい世界の始まりを示唆する為に今コレクションを創り上げた。

部屋の中から見る世界の景色は、あまりにも凄惨だ。ソファの生地を、そしてキャンバスの生地を引き裂いて身に纏う。洋服を守る為のガーメントは本来の用途を離れ、洋服としての概念に生まれ変わる。それらは自分の部屋から飛び出し、新しい世界とコネクトする為の自身の心の葛藤をプロテクトする為の表現にも思える。思考に日々現れるノイズは切り裂かれ、目に見えない事象を空間の概念として捉えることで無限の美しさへと変換し、洋服上に表現される。前世界の崩壊を抽象として捉えられた言葉は洋服上へ落とし込まれ、混沌とするこの世界を前を向いて闊歩する為の力となる。洋服に付けられた傷は人間が更なる進化を遂げる為に、光へ至る道へと続く道標となる。

人間の悪しき欲望と感情を覆い隠そうとする為に、メトロノームの振り子はこの狂った新しい世界に合わせた新たなるテンポを刻み始める。宮下の脳内を映し出した映像での表現は、美しくも儚い旋律を奏で、宮下の洋服の表現領域を新たなる次元へと昇華させる。

性差も肌の色の違いも年齢も、新たなる世界に於いては全ての境界線が存在しない事をTAKAHIROMIYASHITATheSoloist.は追い求める。その違いは個人のアイデンティティとして、自己を表現する為のただの美しさの違いという認識へと変換される為に、宮下は”誰でも無い存在”の像をただただ無心で創作する。

世の中は美しい、戦う価値がある。
きっと洋服で世界は変えられるのだから。

【お問い合わせ先】
TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.AOYAMA
東京都港区南青山6-1-6 パレス青山108
TEL:03-6805-1989
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