TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.の2016年春夏コレクションが公開

by Mastered編集部

デザイナー、宮下貴裕の手掛けるブランド、TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.(タカヒロミヤシタザソロイスト.)が2016年春夏コレクションをパリにて発表した。

通算13シーズン目を迎えた今回のコレクションテーマは”miXture,”。

交錯する非日常を日常と捉える無意識は、そこにある「違い」を無視すると同時に思考の停止を意味する。宮下の僅かな「違い」を見落とさない創作思考は、既成の方法論や概念、選択肢を疑い、モノの見方や考え方に多様な価値観を混合、交差させて洋服と向き合うことである。概念を変える混合音を鳴らす為には、習慣の繰り返しにより視界から消えた「違い」をどのコードで奏でるかという選択が問われる。

一連の時代や様式、国籍、年齢、ジェンダーの境界線やカテゴリーに縛られない変則的なコードと、左右対称の規則性から生まれるバランスが共存する瞬間、アップデートされた発想が創造される。TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.の洋服は、本来あるべき姿という完成された過去のルーツを完全に否定する訳ではなく、別のコードへと変換させる。グレンプレイドなどの伝統的な英国の柄や、切り替えラインが確かではないユニオンジャックを想像させるなど、ある視点としてのブリティッシュコードの組み合わせ。宮下の奏でるコード進行は、無意識の視野が捉えるスポーツウェアやアウトドアウェア、グラフィカルなストリートカルチャーやモッズ、モーターサイクル、ミリタリーの解釈とは異なる。それらの要素は全体的なある狙いのイメージに過ぎず、ラグジュアリーやシンプルでコンサバティブな世界観とも違う。

生活防水としてポリエステル素材の傘地をはじめ、全ての生地、縫い糸に撥水加工を施すことは、宮下自身が持ち続けているルーツとTAKAHIROMIYASHITATheSoloist.の洋服にプラスしなくてはいけない日常着の振り幅であり、特定ではない全てのジェネレーションを視野に入れたミクスチャーである。

何かのジャンル、いつの年代か絞らないコンピレーションアルバム。その「不明確なアイデンティティ.」は誰かが踏襲するベースになるトラックをそのまま使用してその表面に複雑なコラージュを施す方法論や仕上げを使用せず、広角な視点でトラックのベースになり得るものさえパズルとしてきれいな升目に仕上げる。

同じ事を同じ環境で行う習慣を封印し、新しい環境へと入り込まないと理解できない価値へと向かう。忘れて、否定していたものを受け入れながら一度通り抜けなければならないその壁の先が、結果として未完成だとしても重要なことだと信じている。そこには悲しみではなく、カラフルで晴れやかな、決してチープでは無いポップソングが響き渡る。

境界線の無い混合音は、終わりなく鳴り続ける。

TAKAHIROMIYASHTATheSoloist_2016SS_22

grocerystore.

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東京都港区南青山6-1-6 パレス青山108
Tel:03-6805-1989
営業時間:12:00〜20:00 月曜定休
http://www.the-soloist.net/