シーズンテーマは”YOUTH – the kids are alright -”。
思考を具現化する創造性は、「大人」あるいは「子供」と呼ばれる人格のどちらに与えられているのだろうか。宮下の既成概念に対して常に別の視点で考察する自由な創造性は、世界を全く違う視線で見ることを可能にする。ある環境に身を置き、ある人格に自分自身を重ね合わせるという疑似的な行為は、徹底的に探究すればするほど誰もが現実と錯覚する「既存」のルールからは理解されないような「新しい」価値観を創り出す。
あの少年がどのような靴を履いているのか、何故その服を選択し、その色を好むのか。疑似的な行為は、年齢の境界線に縛られない永遠性を求める一瞬の輝き、マインドへとフォーカスされる。TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.の洋服は「大人」になった自分が感情移入できる「子供」の服ではなく、「子供」が「大人」に移り変わる凝縮された瞬間の情熱的で、怒りを内包した儚く美しい詩を描く。音符やヴァイオリン、星や月をモチーフに取り入れることは、その美しいシルエットやユニークなディティールの魅力に入り込みやすいだけでなく、「子供」の手が届きそうで届かない「大人」には理解できない無垢な視線がそこには存在する。その視線は、エイジレスやジェンダーレス、カジュアルやフォーマルという言葉とはベクトルが違い、シンプルでミニマルな世界観とは美意識の概念ではなく姿勢そのものが異なる。
ある視点としてのユニフォームに通ずる腕章や側章、刺繍、メタルボタンの要素、60’s後半から70’s頭のサイケデリックな要素など時間の経過によってTAKAHIROMIYASHITATheSoloist.の洋服の印象に変化を求める考えは、決してコンテンポラリーな洋服に疑問を抱かないという見解ではなく、この瞬間だけの刹那的な美しさ、前に進む為に必要な姿勢を描き上げる。
青春は過ぎ去り、永遠の輝きは存在しないのだろうか。少年の人格が変わる瞬間や極端な表情の変化は「子供」だけで自己完結しない、「子供」が「大人」を意識し共存することで何かへと変わる過渡期。それは、ティーンエイジ、ユース・ジェネレーションの限られた時間の何かが終わる瞬間のロマンティックな放浪でもある。
一瞬の輝きの中に永遠に留まろうとする存在。少年にだけ許される奇跡だからこそ少年に夢を託し、通り過ぎてきた明日を夢見る。「子供」の行動、発言はいつも正しく、特別ではない「何か」特別な世界を探究、創造する。今を生きる小さな手から響く音色は、一瞬にして明日を変えてしまいそうな儚く美しい詩を描く。
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