通算11シーズン目(Symphony #0011.)を迎えた今シーズンのテーマは、”tuNINg”。
物事を選択する時、誰しもがその対象を自分自身へ引き寄せるためのチューニングが必要であり、洋服にもチューニングが必要であるという宮下の考えを基に制作されたコレクションは、洋服の着方を変えるだけでなくサイズの概念やディテールを使用する選択肢にまでも変化を与える。自ら洋服にハサミを入れ袖を切り落とし、裾を裁ち丈を短くする行為。あるいは存在するものを取り外し、存在しなかったものを配置する行為さえも当然となるのである。
TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.の洋服の着方とは、洋服を自由にどう組み合わせるのかということだけに限らず、その日、その時間、その場所によって釦をどこまでとめるのか、ベルトでウエストを絞るのか絞らないのかという些細な選択から自分自身でアジャストしていくことが必要となる。サイズにおいて、TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.の洋服に同じパターンは1つとして存在しない。46サイズのパターンに46サイズの寸法を設定することに意味はなく、46サイズの人が46サイズの洋服を身に纏う調律は存在しない。宮下が多くの生地と対話し作り出す洋服は決してひとつの答えだけを生み出さない。それ故に各々が様々な洋服に対して、そのタイミングでサイズを選択、調整することは洋服の合わせ方一つに緻密で数学的な根拠をもたらす。
洋服をチューニングすることはまるで音楽を演奏することに似ている。誰もが知るオリジナル曲をカバーするという行為。演者は当然異なるが、そこには彼らの使う楽器も違うだけでなく、各々の調律が存在し各々の答えが聴こえてくる。演者たちにそれぞれの様々なチューニングで演じてもらいたい。その日、その時間、その場所に合わせたチューニングで。という想いはTAKAHIROMIYASHITATheSoloist.が次のステージへ向けて進むチューニングと繋がっていく。
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