シーズンテーマは”to the villa”。
美意識について考える。
いつもの自分の生活や仕事の中で、ふと振り返ったり遠くを眺めた時にある、山々や森林の連なり、はるかなる地平線や水平線といった確固たる安定している線を持っていることは大切なことだと思っている。
それらは単なる見慣れた風景にしか 過ぎないけれども、その風景の中にあるしっかりと安定した線が、人間の内面に落ち着きや安堵、深い信頼というものを与えてくれるから。
誰でもそのことを本能的に知っている気がする。
だから窓からの風景を重視し、別荘の場所を自然に近いところを選び、風景が心に 与えるものを浴びている。
歳を重ねるほどそういう景色に対して敏感になるものだ。
とはいえ、牧歌的になりたい訳ではない。
都市で生きる人間の欲や好奇心、知的でニヒルな生き方、糸がもつれたような人間関係、社会と理想との距離、複雑な中で私たちはそれでも生きていかないといけない。
人の輪の中、大勢の人の中にいるとなめらかな人間、自分の知らない新しい人間になってしまいそうで、素直になれず、もう小さくなって寝て全てが終わって欲しいと思うことだらけだ。
人は誰しもそういう心の弱さと共存し葛藤し過ごしている。
ただそこにほんの少しだけ休まるところがあれば救われると思っている。
今回のコレクションの舞台は別荘だ。
眩しいオレンジは太陽を、ライトブルーは近くの水辺をイメージしたシーズンカラーで、ゆっくり過ごすためにできるだけ軽く仕立てた。
必要なのは窓から切り取られた美しい風景と時間だ。
そして普段の生活の雑路の中にいても、静寂の中でいても、力強くありながらも穏やかでいれれば、ずっと自分でいられるはずだと思う。
自分でいることが難しい世の中だからこそ、自分の大切なことのために精一杯生きて欲しい。
【お問い合わせ先】
alpha PR
TEL:03-5413-3546
https://www.kotona.jp.net/