パンクムーブメントを牽引していた伝説的バンドのセックス・ピストルズは、イギリスで声高らかに既存体制や権威をこき下ろしていた。一方、国は変わってアメリカ・カリフォルニアでは、「ポップパンク/メロコア」というジャンルを開拓したバンド、DESCENDENTSが誕生していた。
DESCENDENTSは、ビル・スティーブンソン(ドラム)が友人たちを誘って、1978年に誕生したバンドだ。その後、1980年にボーカルのマイロ・オーカマンが加入し本格的に始動。82年には、デビューアルバム『Milo Goes to College』を発表するが、ボーカルのマイロが学業に専念するために活動を休止する(その後、活動休止を繰り返すが現在は活動中)。そして、残ったメンバーはデイヴ・スモーリーをボーカルに迎え、1987年にALLを結成。New AllianceやSST、CRUZ、Epitaphなどといった名レーベルから多くの音源をリリースし、ポップパンクやメロコアといったジャンルを確立した。
このDESCENDENTSとALLは、それぞれ今なお現役で、世界中のパンクシーンに影響を与え続けているカリフォルニアパンクの代表格だ。本作では、この2つのバンドの飾らない今の姿、貴重な過去の在籍メンバーや当時の周辺ミュージシャン・BLACK FLAGらUSハードコアの猛者たちからBLINK 182やFOO FIGHTERS、NOFXなどの大御所バンドメンバーたちの証言で、70年代末の西海岸パンク誕生を起点に、80 年代のハードコア期から90年代以降のメロコア時代と35年以上という歳月とともに、DESCENDENTSとALLの軌跡を辿る。
監督は、両バンドの熱狂的なファンであるマット・リグルとディードル・ラクーアの2人が務め、全米を旅しながら2年もの時間をかけて本作を完成させた。その熱意に、ビル・スティーブンソンはDESCENDENTSとALLの個人的なアーカイブを提供したり、90曲以上にものぼる名曲の数々を使用するなど、低予算でありながらもボリュームのある見応えに。今では当たり前となったメロディアスなパンクバンドも彼ら無しには誕生などありえなかったのだ。東京は12月13日(土)から1月9日(金)までの期間限定ロードショーとなっているので、この機会は見逃さないようにしたい!
【『FILMAGE:THE STORY OF DESCENDENTS/ALL』】
監督:マット・リグル、ディードル・ラクーア
出演:ビル・スティーブンソン、マイロ・オーカマン、カール・あるヴァレイズほか
配給:日本出版販売
12月13日(土)〜1月9日(金)渋谷HUMAXシネマにてロードショー。2015年1月シネマート心斎橋にてレイトショー。以降、順次公開予定
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