バンドTシャツといえば、今でこそ老若男女誰もが認める一大ファッションアイテムとなりましたが、その歴史は奥深く、なかなか一筋縄では語れないもの。そんな“バンT”の長い歴史のなかから、ポストパンク時代に世に出回ったDIY精神溢れるTシャツを厳選し、一挙に紹介する書籍「アンダーグラウンド・ロックTシャツ」がリリースされました。
本書を記したのは「ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)」、「ハーパーズ・バザー(Harper’s Bazaar)」、「ヴォーグ(Vogue)」など、さまざまなメディアが選ぶヴィンテージ・ブティック・トップ10で常にランクインするショップ「チェリー(Cherry)」のオーナーである、シーザー・パディーヤ。もちろん、掲載されている総計200枚のTシャツは全て彼のコレクションから選び抜かれた超貴重なアイテムで(しかも文句なしにカッコイイのです。)、表紙を飾るXのTシャツをはじめ、ソニック・ユース、ブラッグ・フラッグ、ボアダムス、ピクシーズ、ダイナソーJr.、ランDMC、イギー・ポップ、ジョイ・ディヴィジョン、トーキング・ヘッズ、ディーヴォ、セックス・ピストルズ、クラフトワーク、ニューヨーク・ドールズなどなど、当時のシーンを象徴するバンドが網羅されています。
また、掲載されたTシャツの写真だけではなく、テキスト部分にも要注目。序文を手掛けたリディア・ランチのほか、ブラッグ・フラッグの初代ヴォーカリスト キース・モリス、グルーピーの女神シンシア・プラスター・キャスター、写真家リチャード・カーンといった、カウンター・カルチャーの重要人物による貴重な証言やエッセイは、それだけでも一読の価値アリです。なお、日本版だけの註釈として、各アーティストの紹介コメントを野中モモ氏が執筆していますので、そちらの方もお見逃しなく。
「Tシャツとは失われた青春の記憶である。」というカバーの文字が示す通り、現役キッズの方も、今やサラリーマンとなった元キッズの方も、バンドTシャツを再考する良い機会になると思いますので、一度ご覧になってみてはいかがでしょう。