通算9シーズン目（Symphony ＃0009.）を迎えた今シーズンのテーマは”I me me mine.”。「if」。常にこの言葉が思考に現れ、宮下の今回の物創りは始った。「もし…このサイズが、パターンが、色が、素材が、こうであれば」。もしかしたら小さな違いかもしれない、けれど大胆な違いになる可能性を多分に持っている。常に納得する事がなく追い求める宮下らしい姿勢が、自分自身をサンプリングするコレクション、”I me me mine.”。

そんなテーマのもと、本コレクションでは「もし…クローゼットの中が様々なnavy.であったら」という発想を基に、navy.にフィーチャー。コレクションに使用されたmidnight.、navy.、eggplant.、blue.、white.の5色は、その全てがnavy.を指し、同じような色、同じように劣化されたものが宮下の描く架空のクローゼットを埋め尽くした。

ジャケット、パンツ、シャツは、意図的に縮みを形成するディテールをパターンの工程で随所に取り入れ、ラフな印象として裾や袖口をピンキングカットで処理。ニットはオリジナルのダイヤ柄に拘り、使用するミドルゲージはインターシャ編みと言う手法を手作業で行い、ハイゲージではダブルジャカード編みを用いた。バッファローチェック柄など、テキスタイルパターンはどれも宮下が愛用して来たコレクションで構成され、架空のクローゼットには同じ柄やトーンが統一して並べられた。すべてはこれまで宮下のワードローブとして常に側にありながら、それは過去ではなくいまの宮下にアップデートされた仕上がりに。

ルックブックでは、これらのコレクションに、”HIGHANGLE.（俯瞰）”というキーワードを組み合わせて表現。写真の合間には、アーティストであるyoko sakaiとのコラボレーションにより生まれたイラストを挿し込んだ。

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