既にニュースとしてもお伝えした通り、[NIKE(ナイキ)]の誇る隠れた名作『Sock Racer』を現代に蘇らせた注目のニューキックス『Air Sock Racer Ultra Flyknit』が、去る4月にリリースされた。
1986年の発売当時は良い意味で"奇抜"な存在として認知されていた『Sock Racer』に、[NIKE]による最新のイノベーションを搭載し、リアレンジを加えた同作は、既にスニーカーヘッズの間で大きな話題を呼んでいるが、本特集では、そんな同作を、同じく今話題のヒップホップユニット、ゆるふわギャングに着用してもらい、エクスクルーシヴなフォトシュートを敢行。待望のデビューアルバム『Mars Ice House』や、2人のファッション感に迫ったインタビューと合わせて、ぜひともチェックしてみて欲しい。
Styling:Shintaro Kurokawa、Photo:Takuya Murata、Text&Edit:Keita Miki
結局全部音楽に結びついちゃうんですよね。何かあったら、すぐに曲にしたくなるし。(Ryugo Ishida)
— 事前に色々と過去のお2人のインタビューを読ませてもらったんですが、基本的には2人とも結構アメリカが好きですよね。普段聴く音楽もアメリカのものが多いんですか?
Ryugo:色々聴くんで、特にアメリカにこだわっている訳では無いですね。
Sophiee:イギリスの音楽も好きだよね。
Ryugo:そうそう、バンドも聴くし、もちろん日本のアーティストの音源も聴きます。ヒップホップはアメリカのものを聴くことが自然と多くなりますけどね。
— 2人が初めて触れたアメリカは?
Sophiee:やっぱり音楽かな。
Ryugo:そうだね。2PacとEMINEM。
Sophiee:あ~EMINEMは子供ながらにかなり衝撃的だったから、良く覚えてる。あとは、単純にカルチャーとして見た時のアメリカが好きだよね。ある種の憧れでもあるし。
— [NIKE]はアメリカを代表するブランドの1つだと思うのですが、[NIKE]に対する2人の印象は?
Ryugo:今、Sophieeが言ったような憧れはありますよね。若い時は『AIR FORCE 1』を履いている人がすごく羨ましかった。
Sophiee:昔の映画とかにも良く出てくるしね。私の場合は実家の近くに[NIKE]の倉庫があって、小さい時から見ていたから、憧れもあったけど、身近な存在でもあったかな。
— 今日は新作の『Nike Air Sock Racer Ultra Flyknit』を履いてもらいましたが、実際に履いてみて、いかがでしたか?
Sophiee:めっちゃ良いですね。足にフィットする感じで。
Ryugo:すごく履きやすいよね。
Sophiee:軽いし。普段、自分はこういう形のスニーカーを履かないので、新鮮でもありました。
— Ryugoくんは普段[NIKE]のスニーカーを履く機会はありますか?
Ryugo:『AIR FORCE 1』は良く履きますね。『AIR FORCE 1』は[NIKE]のスニーカーの中で一番好きかもしれないです。
— 以前は土浦で古着屋を経営していたと伺いましたが、Ryugoくんのファッション的なルーツはどこにあるんですか?
Ryugo:従兄弟がしていたオーバーサイズの着こなしに憧れがあって、最初はそこからって感じですかね。ファッションというよりは、ファッションも含めたカルチャー全体が好きだったから、そういう要素を感じられる洋服を集めて、古着屋をやっていました。例えばゲームシャツとか、カレッジものとか。映画も基本的には昔のものが好きで、自分の好きな映画と同じ年代のものばかり集めたりしてましたね(笑)。
— 雑誌を読んでというよりは、身の回りの人達からの影響の方が大きかったんですね。
Ryugo:そうですね、雑誌は基本的に読んで無かったし、そもそも土浦は田舎なので、雑誌があまり置いてなくて。音楽もそうなんですけど、周りの先輩や友達から教えてもらうことの方が多かったですね。
— 音楽やファッションに関して、昔と好きなものは変わりましたか?
Sophiee:その時で結構好きなものは違うんですけど、流行ものにはあまり興味が無くて。ファッションにしても、変なものが好きだから、周りに同じような格好をしている人もいなかったんですよね。
Ryugo:昔ほど流行りを追わなくなりましたね。昔は流行りを気にすることもあったけど、今は全然。音楽もファッションも、結局昔のものが格好良いと思うようになったというか。だから、最近は昔の音楽を良く聴くようになりました。
— 逆に変わらずにずっと好きなものは?
Ryugo:映画ですかね。平均すると週に3本ぐらいは見ていると思います。映画館にも行ったりしますよ。基本的に夜しか動きたくないので、レイトショーをやっている映画館限定ですけど(笑)。
— 話は変わりますが、”FUCKIN CAR”って、すごく良い曲ですね。2人は普段どんな車に乗ってるんですか?
Ryugo:プリウスです。
— ちょっと意外ですね。以前、『レコ道』という連載で、地方に住んでいると「車が自分の部屋になる」みたいな話をしたことがあったんですが、2人の車に対する感覚はそんな感じなんですかね?
Ryugo:全くその通りですね。自分たちのスタジオだと思っています。長時間運転するからって理由でプリウスを選んだんですけど、プリウスってめちゃくちゃ音が良いんですよ(笑)。なので、気付いたら曲作りも車の中でやるようになっていました。1日の半分くらいは車の中にいるんじゃないですかね。
— 2人でいる時は音楽の話もするんですか?
Sophiee:ほぼ音楽の話ですね。ずっとしてるよね?
Ryugo:うん。次はどんな曲を作ろうとか、曲のイメージソースになるようなものを探しにいったりとか。そんなことばかりしてますね。
Sophiee:Automaticさんも呼んで、3人でドライブしたり、ミーティングしたりとか。
— 当たり前ですが、2人とも音楽が好きなんですね。
Ryugo:むしろそれ以外はやりたくないって感じで(笑)。もちろん、それ以外にも楽しい事は色々とあるんですけど、結局全部音楽に結びついちゃうんですよね。何かあったら、すぐに曲にしたくなるし。
— アルバムを作る時には最初にテーマを決めるんですか? それとも作った曲を後からアルバムとして構成していく感じ?
Ryugo:今回の『Mars Ice House』は、クラウドファンディングから生まれたアルバムだったので、意識的にアルバムとして作りました。
— じゃあ『Mars Ice House』に収録されている曲は、同時期に制作したものがほとんどなんですね。
Ryugo:そうですね、作り始めてから4ヶ月ぐらいで完成しました。
Sophiee:一気に全部作った感じだったよね。
— 音楽的な趣味は一致する?
Ryugo:似てるよね? 好きなものは一緒です。
Sophiee:お互い何でも好きだからね。
Ryugo:そうそう。嫌いなものは聴かないけど、聴いているものはみんな好きだから。
— 先ほどクラウドファンディングの話が出ましたが、今の日本のフィジカルセールスの状況を考えると、日本でヒップホップのアルバムが、アメリカのシーンのような爆発的なヒットを記録することは中々難しいとも思うのですが、そういったマネタイズの部分についてはどんな考えを持っていますか?
Ryugo:音楽でしか稼いでいくつもりは無くて、CDが売れないってことは考えていないですね。何をやるにしても、やり方次第の時代なんじゃないのかなと。
Sophiee:自分たちで「売れない」って思って作ってたらヤバイよね。絶対売れるし、絶対に売る。
Ryugo:ライブも含めて、自分たちの音楽をどう見せるか、どう売りさばくかってことが全てな気がします。
— 最近色々な場所で”ゆるふわギャング”の名前を目にする機会が増えて来ていますが、そういった現在の2人を取り巻く状況については、それぞれどう感じていますか?
Ryugo:嬉しいですね。ようやくスタートラインに立てたというか、やっと分かってくれたって感じで。
Sophiee:自分たちが好きで良いと思っている音楽を、みんなが良いって言ってくれるのはすごく嬉しいよね。だからこそ、もっとレベルアップした音を作って、また「ヤバイ」って言ってもらえるようにしたいし。
Ryugo:音楽を通して伝えたいこともあるしね。自分たちなりにメッセージは込めているので。