映画『闇金ウシジマくん』公開記念! 山田孝之×大島優子 クロスインタビュー

by Mastered編集部

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当サイトでも公開決定以来、その続報を逐一お伝えしてきた映画『闇金ウシジマくん』。真鍋昌平原作の累計600万部を売り上げたベストセラーコミックを元とした作品だけに公開前から大きな注目を集めていましたが、そんな今夏最大級の話題作が遂に先週末より公開スタート! Masteredではこれを記念し、主演を務めた山田孝之氏と、本作品において重要な役割を果たす鈴木未來役を演じた大島優子さんのクロスインタビューを敢行しました。
お二人の演技に対する考え方をはじめ、様々な話題が飛び出したインタビューは、既に作品を鑑賞したという方にとっても、これから見に行くという方にとっても満足出来る、充実の内容に。こちらのインタビューを読了後、今週末はぜひとも劇場まで足を運んでみてください。

Interview&Text:Mastered

究極を言えば、ロボット。つまりは機械っぽく演じようと思っていたんです。(山田孝之)

— お二人は今回が初共演とのことですが、お互いを「こういう人です」と紹介するとしたらどのように紹介しますか?

山田:うーん…一言で言うとまじめな方ですね。

大島:山田さんは意外と面白い方です(笑)。
最初は怖いとかとっつきにくいっていうイメージがあったんですけど、撮影やこういった取材を通して、お話していく内に実は面白い方なんだっていうことに気付きました。

原作となった真鍋昌平の漫画
『闇金ウシジマくん』

— お二人とも役柄的には普段の生活とかなりかけ離れたものだったとは思うのですが、役作りに関して、特に気をつけたことや、努力したということはありますか?

山田:このウシジマという役をやるにあたっては、本当に色々とやっていますね。単純にビジュアルのこともそうですし、彼の持つ不気味さ、色白である点、汗をかかないところなど、見ている人がある種の違和感を感じるよう、自分なりに努力したつもりです。

— 撮影は真夏だったそうで、汗をかかないというのはかなり難しかったと思うのですが、具体的にどんな工夫をされたのでしょうか?

山田:アナログですけど、冷却シートを体中に貼ったりしましたね。あとはスタッフの方やメイクさんといった周りの人がこまめに気にかけてくれた感じです。

— そういったことも含めて、今回の役作りの中で一番難しかったことを挙げるとすれば?

山田:このウシジマというキャラクターは感情があるんだけれども、それをあまり表に出さないというか、出したとしても人に対して感情をあらわにするという出し方では無いんですよ。だから究極を言えば、ロボット。つまりは機械っぽく演じようと思っていたんです。ウシジマという人間がそこにいるというよりは、1つの物体がそこにあるという感じにしたくて。例えば作品の中でアクションシーンがあるんですが、要は殺し合いをしてる訳ですから、それって感情が急激に表に出る顕著な例ですよね? そういう時に、ウシジマみたいな普段、感情を表に出さない人間はどうするんだろうって悩んだりはしましたね。思いっきり感情は出てるんだけど、それをあまり見せたくは無いって、本当に矛盾している事なので。難しかったです。

大島:私は未來を演じる上で、とにかくリラックスした状態で演じようと思っていたので、撮影中は肩の力を抜くために頻繁に深呼吸をしていましたね。作り上げられたキャラクターというよりは、出来るだけ自然で普通の女の子にしようと思っていたので。未來はふだん放出する感情が微量だから、それを表現することが難しかったです。未來の“素直さ”や“良い奴”っていう部分をベースにしながら、相手に対する感情の持って行き方をシーン毎にしっかり考えて演じることを心掛けましたね。

— 映画自体のテーマも非常に重いものですし、今おっしゃっていたように役柄も一筋縄ではいかないものだったと思いますが、この役を演じようと決めたキッカケやポイントは何かあったのでしょうか?

山田:あまり今まで自分が見たこと無いというか、自分が近づいたことの無いタイプの人間だったので、そこに対する興味というのがまずはありましたね。最初にドラマ化が決まって原作を読む訳ですけど、『闇金ウシジマくん』は世の中のダークサイドを描いた作品で、それって普通の人は見たくない部分なんだろうけれど、見なきゃいけないし、生きていく上でも考えなきゃいけないことだと思ったんですよね。もちろん、原作を知っている人もたくさんいるだろうけど、映像化することによって、より多くの人に見てもらえるであろうことは分かっていたので、役者としてやるべきだと思いました。

大島:私は作品ももちろんですけど、まずはキャストの方々に惹かれましたね。皆さんと共演出来るのは非常に光栄なことで、純粋にやってみたいと思いましたし、監督が私を選んでくださったこともすごく嬉しかったです。作品に関しては最初に読んだ時は「過激だな」っていうのが正直な感想だったんですが、同時にこれが映像になるとどうなるんだろうという楽しみもありました。そして、このウシジマくんの世界観を造る担い手の一人になりたかったんです。

山田孝之
1983年10月20日、鹿児島県生まれ。1999年俳優デビュー。2005年映画『電車男』で主演を務める。『クローズZERO』(07)、『鴨川ホルモー』(09)、『十三人の刺客』(10)、「勇者ヨシヒコと魔王の城」(11/TX)など、映画・TVでシリアスからコメディまで幅広い演技を披露。2010年米ハリウッド・レポーター誌が発表した「今後の活躍が期待される世界の注目俳優10人」に日本人として唯一選ばれた。2011年にはニューヨーク・アジア映画祭で日本人として初めて「スター・アジア・ライジング・スター賞」を受賞。今後の待機作は、『のぼうの城』(11月2日公開)、『その夜の侍』(12年秋公開)、『悪の教典』(11月10日公開)、『ミロクローゼ』(12年公開予定)がある。

— 先ほど山田さんはウシジマを演じるにあたってロボットのような無機質な感じを目指したとおっしゃっていましたが、そういう役柄を演じる中で役者として何か新しい発見というのはありましたか?

山田:終わってから気付いたことですが、そういえばこういう役柄は初めての試みだったなと。普通は台本を読んで、その中の言動や行動から「この人はどういうことを思って、日々生きているんだろう?」とか、他の登場人物との人間関係っていうのを考えながら、台詞の言い方、口調っていうのを決めていくんですが、ウシジマに関してはそれをやると、すごく人間っぽくなってしまうなと思ったんです。

— そういう作業をしたのは初めてだったんでしょうか?

山田:そうですね、今まではそれが当たり前だと思っていたので。ウシジマに関しても最初はそういうやり方をしていたんですが、途中で「これはちょっと違うぞ」と気付いたんです。そのアプローチでは自分の考えるウシジマの見せ方と違うものになってしまうと思ったので、敢えて一切考えないようにして、さっきも言ったような「ただそこに置いてある」というか、与えられた台詞の音を発しているだけというようにしました。本当に初めてのことだったし、こういう演じ方もあることに気付けて嬉しかった。演じていて、新鮮で面白い役柄でしたね。

— 周囲の登場人物たちが感情をむき出しにするタイプということも、ウシジマを無機質に演じた方が良いと感じた理由でしょうか?

山田:そうですね、そういった対比ももちろん考慮した結果です。先ほど話に出た汗のことを例に挙げれば、作品に出てくる債務者はみんな切羽詰まっているので、常に汗を流している。でも、そこで一切汗をかかないというのが、ウシジマの不気味さを引き立たせています。そういった登場人物との対比は常に意識していましたね。

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