ある意味ではAKB48とは真逆の表現方法だったのかな、と今振り返ってみると思いますね。(大島優子)
— 大島さんが先ほどキャストに惹かれたというお話をされていましたが、原作を読んで過激だなと感じたともおっしゃっていましたよね。そういった過激な作品に出演することに躊躇や迷いといったものは無かったのでしょうか?
大島:無かったですね。自分が見たことが無い世界ってすごく好奇心をそそられるじゃないですか。そういう点では、未來と同じ感覚だったように思います。
— そういった未知の世界に飛び込んでいった結果として、今回大島さんは北米の映画祭で賞を取られた訳ですよね。月並みですが、受賞の感想を伺ってもよろしいでしょうか?
大島:初めてお芝居で頂いた賞だったので、何だか「お芝居を続けても良いよ」って言っていただいたような気分でしたね。お芝居ってやろうと思えば、誰でも始められるじゃないですか。テストみたいに正解が決まってるわけでもないですし、意見や評価を耳にすることがあっても、様々。だから、ずっと続けていて良いものかどうかも分からないし、はっきりしない感じが自分の中にずっとあったんですよね。今回、賞をいただけたことによって、そんな気持ちは払拭されましたし、自分の演技を高めていこうと思いました。
— 山田さんは先ほどウシジマについて、あまり感情を表に出さないタイプだとおっしゃっていましたが、彼はカウカウファイナンスにおいては社長であり、経営者でもある訳で、部下から厚い支持を受ける組織のリーダーとしての一面もある訳ですよね。山田さんから見て、ウシジマという人間の魅力はどんな部分にあるんだと思いますか?
山田:正直に言ってしまえば、僕にも彼の魅力は分からないですね。どうして柄崎と高田がウシジマにここまで付いてきているのかも分からない。でも原作を読んでいる人たちの中にもウシジマのファンっているじゃないですか。柄崎も高田も、なんとなくその人たちと同じ感覚なんじゃないかなと思うんです。数少ない言葉の中でも絶対に曲げない自分の信念があって、それは誰を相手にしてもブレない。普通の人はブレるじゃないですか。そういう部分を見ていて、気持ちが良かったり、憧れを抱いたりするんじゃないでしょうか。
— 少しくだけた質問になりますが、大島さんはご自身の彼氏にするとしたら、ウシジマと純、どちらを選びますか?
大島:どちらも嫌ですけど…(笑)。
でもあえて選ぶとしたらウシジマ社長ですね。純はちょっと嫌かな。この映画のストーリー後の純を想像すると楽しみではありますけど。しっかりと成長して、必ずどこかのタイミングで何かを持ち始めると思うんですよ。だからその時の純に会ってみたいなとは思います。ウシジマ社長はどうだろうな…
山田:きっと寂しいと思うよ。
大島:そうですね、寂しいですよね。私じゃ、多分相手にされない(笑)。
でも、ウシジマ社長はウサギが好きなんですよ。そういう部分を見ると優しいところもあるのかなと思って。
— ウシジマってこれまで生きてきた中で、サバイバルなシーンを数多く潜りぬけて来ていると思うんですよ。山田さんは、最近何かサバイバルなシーンに遭遇したことはありますか?
山田:うーん、色んな居面であるにはありますよね、仕事でもプライベートでも。でもそこまで自分が悩むことを簡単に他人には言えないです。
— では具体的では無くても良いですが、何か困難な問題や現実が自分の前に立ちはだかった時に、山田さんはそれをどのようにクリアしていきますか?
山田:それは、その問題がどういう物事かによって変わるかな。じっくりと時間をかける事もあると思いますし、早く決断を出した方が良いのであれば、出来る限り早く決断すると思います。もちろんそれが結果的に合っているかは別の話で、後悔する事もありますけど、自分で出した答えなので、それも良しと受け入れるしかないのかなと。まぁ、その時々で頑張ってやっているつもりではありますよ。
— 本作品の中で、未來に本気で相談を出来る友達がいれば未來もこういう状況には陥らなかったのかなと思うのですが、もし大島さんの友達にこういうタイプの女の子がいたとしたらどのように接しますか?
大島:なかなか心の中に入っていくのは難しいですよね。たぶん私自身に対しても距離を置くようになるだろうし…。でも、未來のように誰に対しても同じ距離感を保つような子であれば私でも環境を変えることは可能だと思うので、色々と環境を変えてあげる努力をするかもしれないですね。
— 例えばどんなアプローチで?
大島:未來は良い意味で分かりやすいタイプだと思うので、自分の好きな趣味やジャンルを見つけてもらえるように色々と提案すると思います。何かしら「これ、楽しいな」とか、「私、これ好きかも」って思えるものを見つければ、それがきっと仕事に繋がったりするだろうし、横道に逸れたりすることも無くなるんじゃないかと思います。
— 少し話は変わりますが、最近は日本でも漫画を原作にした映画というものが飛躍的に増えてきたように感じます。漫画は小説などと違い、ビジュアルが既に完成されているものなので、演じる方は色々と難しい部分もあるのだろうなと思うのですが、山田さんが漫画を原作にした映画に出演する際に特に気をつけている事や、漫画のキャラクターを演じるコツが何かあれば教えてください。
山田:基本的には原作ではなく、あがってきた台本を映画にする訳なので、ビジュアルにしても内面にしても、台本を映画にする上で原作から何か貰えるところがあれば貰う、そうでない部分は足す必要は無いという考え方でやっています。僕個人としては漫画が映画になったり、ドラマになったりするのは良いことだと思うんですよ。もちろん、おっしゃっていたように小説と違って、絵が出来上がっている、つまりは答えが出ている状態からのスタートですが、映画ではその漫画の世界観を伝えると同時に、原作では描き切れていない部分を新たに足すことが出来る。そこが映像の面白さであり、良さであると思っています。漫画と全く同じ事をするのであれば、アニメでやれば良い訳ですからね。
例えば、今回に関しては結果的にビジュアルはすごく原作に沿った形になったんですが、それも決して意識的に寄せようとした訳では無いんです。僕はこの作品でウシジマを演じる上では、ウシジマの眼鏡がすごく重要だと思った。それはビジュアルの問題だけではなく、あの眼鏡はウシジマという人間とそれ以外、例えば目の前にいる“誰か”でも良いですし、“社会”でも良いんですが、その“それ以外”との間に、眼鏡というでかいフィルターが1枚入る事によって、彼の中で何かが成立しているんじゃないかと思ったんです。だから、眼鏡は絶対に必要だと思って、それに合わせて髪型やヒゲを整えた結果、あのビジュアルが出来上がった感じですかね。リアリティーという部分では映像の方に分があると思うので、自分の思うウシジマを表現できればと思って、役作りに入りました。
— 大島さんは普段AKB48で見せるような、所謂アイドルのイメージとは異なる役柄での出演でしたが、AKB48の大島さんが好きなファンの方はどういった所を楽しみにこの映画見れば良いのでしょうか?
大島:AKB48の中にいる私のイメージっていうと、楽しそうだったり明るいっていうイメージになるんですよね、きっと。だとすれば、そこでは見せることの少ない表情をたくさん引き出して頂いていると思うので、それは観て頂きたいと思います。実際に演じてみて、私の中にも未來の感覚があると思ったんですよ。人の意見を聞いて流されたり、憧れの人を何とかして振り向かせたいと思ってみたり。その感覚はごく普通のもので、もちろん私にも分かるし、そこをどう表現するかが重要だったので、ある意味ではAKB48とは真逆の表現方法だったのかな、と今振り返ってみると思います。
— それでは最後の質問になりますが、ウシジマの「金は奪うか、奪われるかだ」という台詞にも象徴されているように、本作品では“お金”が1つの重要なキーワードとなっています。お二人にとってお金とはどんな存在であり、お金で手に入れられないものを1つだけ挙げるとしたらどんなものになるか、教えて頂いてもよろしいですか?
山田:例えば僕の場合は仕事をしてお金を貰っても、そのお金を貰ったことに対して良かったとか、頑張ったなとは思わないです。でも、そのお金で旅行に行ったりとか、ご褒美として何か欲しいものを買った時にそういった実感が沸いてくる感じはありますね。本当にお金って何でも作れるし、何でも壊せるけど、おっしゃるようにお金が通用しない部分も世の中にはたくさんあると思います。でも難しいですね…。人の心は買えないけれど、人の心を動かす力はあるし。まぁ、すごく厄介なものだなとは思っていますね。
大島:言われてみればお金の価値って、そんなに考えたことが無かったんですよね。仕事をしてもお金より、どれだけ自分の経験になったのか、その仕事がどれだけ自分の未来に繋がったのか、そういうことを考えてしまうタイプなんです。でも、数字として結果が表れるというのは自分を奮い立たせる動機の一つにはなると思うので、適度な距離感で付き合っていきたいと思います。お金で買えないものは、絆ですね。AKB48として活動していて手に入れた一番大きなものは、やっぱり絆だなと実感しています。それは間違いなく、お金と引き換えに手に入れたものではなく、時間を掛けて作り上げられた自分にとって掛け替えの無いものですね。
【映画『闇金ウシジマくん』】
8/25(土)新宿バルト9ほか 全国公開中
(C) 2012真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん」製作委員会
出演:山田孝之 大島優子 林遣都 崎本大海 やべきょうすけ
岡田義徳 ムロツヨシ 鈴之助 内田春菊 市原隼人 片瀬那奈 黒沢あすか 新井浩文
原作:真鍋昌平 「闇金ウシジマくん」(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中)
監督:山口雅俊
脚本:福間正浩 山口雅俊
配給:S・D・P
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