いま、[WORK NOT WORK(ワーク ノット ワーク)]が面白い。
1996年公開の映画『Trainspotting』のアートワークなどを手がけ、世界から熱い眼差しを浴び続けるロンドンを拠点に活躍するクリエイティブ集団、『トマト(TOMATO)』。その設立メンバーのひとりでもあるサイモン・テイラーのクリエイティブディレクションのもと、2012年に誕生したのが[WORK NOT WORK]だ。
スタート以来、20世紀初頭の熟練した職人や労働者たちの自由な精神をリスペクトした洋服作りで、着実にファンを増やしてきた。来る8月29日(土)には、待望の新店舗 WORK NOT WORK URBAN RESEARCH 阪急メンズ大阪店のオープンを控えており、益々盛り上がりを見せることだろう。
本特集では、2015年秋冬コレクションの注目アイテムとともに、4つのキーワードから[WORK NOT WORK]が多くのファッション好きたちを魅了する理由を紐解いていく。
Photo : Keiichi Ito 、Text & Edit : Shu Nissen
keyword 1:シグネチャーモデル
身近な人や物からインスピレーションを得て、始まるのが[WORK NOT WORK]のもの作りの特徴のひとつだ。
例えば、ブランドを象徴する定番アイテム『POACHER JKT』は、デザイナーのサイモンが幼少の頃に近所に住んでいたおじさんが着ていたジャケットをベースにしている。
そして、2015年秋冬のコレクションのテーマである“The Mariner”では、広大な海を舞台に活躍した船員や水夫からインスパイアされたアイテムを展開し、彼らにまつわる海の物語を表現した。
テーラードスーツはカジュアルながらも、大型船舶に乗る士官たちが船上でディナーや音楽を愉しむクラシックなナイトライフを彷彿とさせる上品な雰囲気。
また、ユニークなグラフィックの切り替えはダズル迷彩、幻惑迷彩ともよばれ、第一次世界大戦中に艦船に用いられた迷彩塗装のデザインが落とし込まれていて、
「この複雑な幾何学模様が、艦船との遠近感を掴みにくくして敵からの艦砲射撃を妨害する効果があったんだって。」なんて、人に披露したくなってしまうようなウンチクがたまらなく男心をくすぐる。
ただのクレイジーパターンよりも、男はこういった歴史背景や、物語を味わえるプロダクトがやはり大好きだ。