編集者とアウターと[WISLOM]。

by Mastered編集部

昨シーズン、当サイトにて特集を通じて大きくレコメンドした[WISLOM(ウィズロム)]。前述の特集記事では、デザイナー藤内裕司への単独インタビューとスタイリスト 池田尚輝によるアウター論を通して、[WISLOM]の魅力に迫ったが、2017年春夏シーズンは、「MRハイファッション」、「装苑」の編集を経て、現在はフリーのファッションライターとして活躍を続ける、高橋一史にインタビューを敢行。

編集者として、そして1人の洋服を愛する男として、自らのアウター論と[WISLOM]の魅力について語ってもらった。

Photo:Takuya Murata、Text&Edit:Keita Miki

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編集者 高橋一史に聞く、アウター論。

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「自分が今求めているのは、”道具”としてちゃんと機能するアウター。(高橋一史)」

— 高橋さんがアウターを選ぶ時の基準について教えてください。

高橋:最近は機能性とファッション性のバランスというのをメインに考えていますね。時代的にもそうだと思うんですが、自分が今求めているのは、”道具”としてちゃんと機能するアウター。街中で傘を差さない人間なので、撥水性はマストとか、そういった目線でアウターを選ぶことが多くなりました。とはいえ、自分ももう良い歳でして(笑)、アウトドアブランドのアイテムをそのまま街中で着ると、ちょっとカジュアル過ぎるかなとも思うので、その辺のバランスが上手く取れているアウターというのを常に探しています。大人っぽさ、色の美しさ、縫製の美しさとか、そういった質の部分と、道具としての利便性のバランスが、今の自分のアウター選びの一番の基準なのかなと。

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— ファッションライター、編集者という仕事においては、どのようにアウターを選んでいますか?

高橋:大前提として、自分と同じ目線で他人にオススメはしないですね。ほとんどの人は街中で傘を差すと思いますし(笑)。ただ、普通に着ていて、見た目はオシャレで軽く水をはじくというのは多くの人にとっても便利ですし、ポケットが多ければ、財布やスマホとか、小物を全部持ち歩けますよね。そういった部分は現代人にすごく重要なんじゃないかなとは思っていて。そういう意味では、自分自身より、少しライトな感覚で機能性アウターをオススメするという機会は多いかもしれません。

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— 過去のアウターに関連した印象的な出来事が何かあれば教えてください。

高橋:すごく憧れたのは[FILSON(フィルソン)]のハンティング用ジャケット。赤と黒の大きなチェックが印象的で。20代半ば頃ですかね。それまではあまりアウトドアっぽいものに興味が無かったんですが、そのジャケットは見た目はスッキリとしているのにすごく機能的で。例えばポケットが保温性の確保という役割も担っていたり、とても良く考えられたアウターだったんですよ。当時の自分には、ちょっと高かったんですが、無理して買って(笑)。未だに家に置いてありますね。どうしても捨てられない、思い出深いアウターです。

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— 今回、[WISLOM]のアウターの中から、THEOBROMAの『YORKE』を選んだ理由を教えてください。

高橋:モッズコートって、老若男女を問わず、すごく気楽に着ることが出来るコートだと思うんですよ。軍モノにしてはちゃんとフードも付いているし、ポケットも多くて、普通に格好良いなと思えるし。モッズコートをベースとした[WISLOM]の『YORKE』は高密度に織られた素材で撥水性も高いし、グレーの配色バランスもすごく気に入っています。Tシャツの上に1枚着るだけで、すごくスタイリッシュに見える。春のロングコートって、抵抗ある人もいると思うんですが、こういうコートを1着持っておくだけで、着こなしの幅も広がるんですよね。

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— 高橋さんから見て、[WISLOM]はどんな部分が魅力的ですか?

高橋:パターンの美しさと、日本人デザイナーらしい細かい配慮が大きな魅力なんじゃないでしょうか。同じ日本人として、「このディティール格好良いよね」って思うような要素が随所に散りばめられた洋服だと思います。そういう細かいところに、男心をくすぐられます。さらに、とても機能的な道具でもあるんです。今後の展開も含めて、とても気になっているブランドです。

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