『原点回帰』市之瀬智博(時しらず ディレクター)

by Mastered編集部

3 / 4
ページ

市之瀬さんTOP画像

All or Nothing

— トップス関係はどんな感じになるんですか?

市之瀬:ニットのジャケットを結構買ってて。オールハンドメイドのセ(Se)ってのを3型。あとはファクトリー系のを何点か。
あとは、アダムキメル(Adam Kimmel)とかダッキーブラウン(Duckie Brown)、ギャルソン(Comme des Garcons Homme Plus)なんかでも、とりあえずジャケットとナイロン系アウター、それとレザーはかなり仕込んでる。
逆に全くないのが、メルトン系とダウン。結構偏ってるね(笑)
でも、流石にダウンはなくちゃマズいんじゃねぇか?って…。

— Pコートやダウンジャケットのような鉄板アイテムもないんですね。Pコートなんて去年かなり展開してましたよね?

市之瀬:そう。去年あれだけやったけど、今年はゼロ(笑)

— 100かゼロ、みたいな(笑)

市之瀬:マズい(笑) しかも秋冬なのに色モノを結構積んでる。黒はあんまりない。
そして次の春夏なんかは、もっと派手。それは自信ある。ほんと色モノしか買ってない。
また極端だよね(笑)。マズい。どこかで調節しないとなぁ、って。

— すごく「らしさ」があっていいと思います。もうそれが完全に「今の気分」っていうことなんでしょうね。
僕らは、セレクトショップのバイヤーには、そういう感覚を求めてますし。
では最後に靴のラインナップについて教えてください。

市之瀬:カッチリ系の革靴は、ハセガワヨシハル(Yoshiharu Hasegawa)くらいかな。他は1足も買って来ず(笑)。
で、靴メーカーも絞っていこうと思ってる。

— 時しらずが開店した頃に並んでいた、スニーカーなんだけど品がある、っていうブランドを最近ほとんど見かけなくなりましたよね。なくなっちゃったんでしょうか?
ランバン(Lanvin)みたいなメゾンからは、たくさん良い感じのモノが出てますけど、さすがに高価でなかなか買えないですし。
3〜4万円くらいで良い感じの靴があるといいんですけどね。

市之瀬:そういうスニーカーがないんだよね。海外にもあんまりない。
でも、久々にこの靴は結構好きなんだよなぁ。ビー・ポジティブ(Be Positive)
イタリアのセレクトショップ『スラムジャム(Slam Jam)』のオリジナルで、生産もイタリアメイド。
ウィングチップとローファーとチャッカで、それぞれ5色展開。

— クラシカルな革靴フェイスにスニーカーのソール、というバランスが面白いですね。ヴィズヴィム(Visvim)あたりとも、また違ったアプローチで。

市之瀬:そうそう。あと、ドクターマーチン(Dr.Martens)もやるんだよね。8ホールのブーツだけだけど。
普通のと、メイドインイングランドの本格的な復刻のヤツと。そっちは結構いい値段するけど。普通の方は結構派手な色をやる。
やっぱりベタなんだけど、「ロンドンと言えば、ドクターマーチン」みたいな。
あとで知ったんだけど、結構みんなオーダーしてたみたい。

— トレンド的にも「ニューヨークの次はロンドン」っていう感じでしょうし、ドクターマーチンあたりがアイコンとしてちょうどいいのでしょうね。
他に何か仕込んでるネタってありますか?

市之瀬:来年7周年だから、いろいろやりたいんだよね。
ナイキ(Nike)に別注してエアリフトとかやりたいんだけど、なかなか難しくて。

— 昔よく履いてましたもんね。赤とか。

市之瀬:オレンジとかね。あれ、どこ行っちゃったんだろ?色々あったんだけど。

— そういえば前に言っていた某ブランドとの企画は実現しそうなんですか?

市之瀬:ちょっと難しそうかなぁ。いざ色決めて、みたいな所までなんとなく進んでたんだけど、ブランド的にも色々あるらしくて…。ちょっと残念だけど。また仕切り直しだね。

でも、イタリアの雑貨とかを仕入れてみたり。
海外で活動してる日本人の子の絵とかも買ってみたりはしてる。
それと、自転車もやるんだよ。信じられないくらい高ぇけど(笑)

これが噂の高級自転車だ!残念ながら入荷はまだまだ先です…。(市之瀬氏撮影)

これが噂の高級自転車だ!残念ながら入荷はまだまだ先です…。(市之瀬氏撮影)

— ピストですか?

市之瀬:いや、もっとおしゃれな感じ(笑)

— しかし相変わらず無茶な買い付けしてますねぇ。普通、絵って服に載せるグラフィック用で買ったりしますよね(笑)まさか、そのまま売っちゃうとは…。
でもやっぱり自分が好きなモノを買ってきてるほうが、店を運営する上でいろいろモチベーションも上がるんでしょうね。

市之瀬:そうそう。もちろん実益は取りながらだけど、面白い店だと思ってもらって、たくさんのお客さんに来てもらわないと意味がないから。

— 確かにそうですね。これからも極端なバイイングで楽しませてくれることを期待してますよ(笑)ありがとうございました。

いやぁ、やっぱり潔くて気持ちが良い人物です。
ただ、それにひきずり回されているスタッフさんたちは大変そうな気もしますけど…(笑)
でも僕が感じる限り「市之瀬イズム = 時しらずイズム」は、きちんと伝わってるみたいです。
スタートした当時は、「閑散」を絵に描いたような状況だったのに、今や7周年を目前として顧客の方々にも愛される素敵なショップになってますし。
端から見たら多少無茶に見える感じも、とてもワクワクします。
そんなワクワク感を共有しに、お店に足を運んでみるのも面白いと思いますよ。

市之瀬さんが紹介してくれたモノ一覧を見る