— 『NEMEZIZ』のコンセプトおよび、『NEMEZIZ』を作った理由について教えてください。
フィリップ・ヘイゲル:出発点となったのは、アジリティに特化した全く新しく先進的なフットボールシューズを開発したいという想いです。俊敏で足取りが軽く、身体の重心が低いといった特徴を持つ新しいタイプの選手たちの代表であるリオネル・メッシのプレースタイルにインスピレーションを受けました。究極のアジリティ・シューズを作ろうというヴィジョンを持って臨みましたが、本当に作りたかったのは今までにない全く新しいシューズ、誰も見たことのないシューズです。『NEMEZIZ』は、スタジアム、フットサル、ストリートのどこであろうと、ゲームをかき乱すことを得意とするプレーヤーのために作られたプロダクトです。
— ダズル迷彩のような柄が印象的ですが、『NEMEZIZ』のデザインポイントは?
フィリップ・ヘイゲル:デザインは、安定性とアジリティーを確保するためのテーピング技術にインスパイアされました。スタジアム、フットサル、ストリートのそれぞれに対応したモデルがあるので、どんな環境でも能力を発揮することが可能です。今までのシューズとは真逆のコンセプトを採用し、人々の話題になるようなデザイン性のあるシューズを作りたいという強い想いがありました。新しい素材、遮るように走る模様、踵をロックする履き口の特徴的な形などに我々の意図が良く表れていると思います。
— 他のモデルとの相違点について、具体的に教えてください。
フィリップ・ヘイゲル:adidasのフランチャイズを俯瞰すると、あらゆるプレーヤーや消費者のニーズに合うよう、オーセンティックなものから、先進的なものまで、明確な連続性があるのが分かると思います。
例えば、『COPA』(新しい『COPA 17』や定番の『Copa Mundial』を含む)はadidasのサッカーシューズの中でもオーセンティックな側面を代表するシリーズです。『ACE』はコントロールを追求するフランチャイズで、ゲームを支配しコントロールするプレーヤーのために設計されています。ミッドカットのプライムニットでアウトソールにBOOST™フォームを使用しているシューズはポール・ポグバやメスト・エジルといったコントロールの達人を支援するためのものです。『X』はもっと純粋、先進的で、ガレス・ベイルやルイス・スアレスが見せる爆発的なスピードを実現するシューズです。空力形状設計と軽量性がそれを可能にしています。
『NEMEZIZ』はこれらとは全く異なる、新しくて先進的なシューズ作りを代表しています。トルションテープを採用することで、デザイン言語と素材エクスペリエンスの両面で新しい領域に踏み出しました。『NEMEZIZ』はリオネル・メッシ、ロベルト・フィルミーノ、ユリアン・ドラクスラーといったアジリティーを追求するプレーヤーのために設計されました。その結果、レースレス仕様によるフィット体験、トルション構造、究極のアジリティ・ロックダウンが実現しています。
— 『NEMEZIZ』の広告ヴィジュアルにはロンドンのイラストレーター/グラフィックデザイナーであるスティーヴィー・ギーを起用していますが、アートとフットボールの関係性についてはどのようにお考えですか?
フィリップ・ヘイゲル:フットボールとアートには強い関係性があると信じています。フットボールはカルチャーの一部であり、実際に様々なレベルで立派な文化となっています。それは、ジダン、マラドーナ、デビッド・ベッカムが作った過去のモーメントであったり、リオネル・メッシが作る現在のモーメントであったりします。または、デビッド・ベッカムが実現したフットボールとライフスタイルの融合でもあります。フットボールは文化であり、スタジアムだけでなく、都市部のフットサル、ストリート、ライフスタイルなどあらゆるところで起きていて、それらは融合しあっています。
誰もの記憶に残っているような歴史上のモーメントや時代のアイコンとなるシチュエーションがあります。時として、ジャージーやシューズがその瞬間を彩ります。そしてこれらのモーメントは強い感情を喚起します。フットボールのことを「ビューティフル・ゲーム」と呼ぶことがありますが、ビューティフルで思い出に残るものというレンズを通してフットボールを見るのが一番良い見方かもしれません。それは人々の絆を強め、人々と人々の毎日の生活に強いインパクトを残します。そういった観点から言えば、フットボールとアートは実に良く似ています。