Tokyo Football Addict Vol.03:サッカー馬鹿の、サッカー馬鹿による、サッカー馬鹿のためのリーグ戦。

by Mastered編集部

"大人になった今でもサッカーが好きで仕方ない"という人々に向け、当サイトと[adidas Football(アディダス フットボール)]がお送りする連載『Tokyo Football Addict』。

第3回目となる今回は、第1回でも触れた、ロンドン、ベルリン、パリ、ミラノといった世界の主要都市で[adidas]がスタートさせたフットボールリーグ『TANGO LEAGUE』にフィーチャー。”創造力だけで生きていく“フットボールプレーヤーの為に発足した同リーグは、既に世界中のフットボールプレーヤーを熱くさせているが、そんな『TANGO LEAGUE』が遂に、ここ東京でも始動。その大役を担うのは、当サイトでもこれまでに何度かフックアップを続けてきた『P_LEAGUE』だ。

TANGO LEAGUE supported by P_LEAGUE』として新たなスタートを切った、このサッカー馬鹿の、サッカー馬鹿による、サッカー馬鹿のための長期リーグに迫るべく、同リーグの中心となっている花岡慶太(写真左)と、新庄”PAULO”翔太(写真右)に話を訊いた。

Photo:Takuya Murta、Text&Edit:Keita Miki

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サッカーをやれる場所や環境があるだけで、「またやってみよう」って思えるじゃないですか。(花岡慶太)

— まずはそれぞれのサッカー遍歴について教えてもらえますか。

PAULO:出身が静岡なんですが、環境的にもサッカーをやらざるを得ない感じだったので、小学生からサッカーを始めました。中学、高校といわゆるサッカーの強豪校に入って、全国大会にも出て、大学でも4年間サッカーをやって、卒業して社会人になってもサッカーをやって……と、まぁそんな感じで、とにかくサッカーばかりの人生なんですが(笑)、そんな中で『P_LEAGUE』設立のきっかけとなったのが『FANATIC(adidas主催のフットボール大会)』でした。

— プロのサッカー選手になるという選択肢は無かったんですか?

PAULO:それは一切無かったですね。大学も2部リーグだったし、丁度大学生プロみたいな人たちが出始めの頃で、周りでプロを目指す人は多かったようにも思いますが、自分自身、プロになることは全く考えていませんでした。

— 花岡さんはどうでしょう?

花岡:サッカーを始めたのは幼稚園からだったんですけど、最初は単純に友達作りのために始めたって感じですかね。で、中学からユースに入って、中学3年生でチームが日本一になって。その頃は本気でプロを目指してサッカーをしていたと思います。高校も強豪と呼ばれるところに入ったんですが、そこで色々とあってプロになることを諦めてからは、あくまで趣味としてサッカーを続けたって感じですかね。でも、大学に入ってから社会人になるまで、ボールには一切触れていなかったんですよ。社会人になってから、友人に誘われて、久々にその周りの人たちとサッカーをするようになって。

— ブランクはどのくらいあったんですか?

花岡:10年ぐらいじゃないですかね。

— 結構長いブランクだったんですね。現役の時と、今現在でサッカーの楽しみ方に違いはありますか?

PAULO:現役の時は”勝つこと”が当たり前で、そのプレッシャーと闘いながら1つ1つ目標を達成していくような感じだったんですが、今はそういうのは無いですね。社会人でサッカーやってる人が、みんながみんな、そんなにアツい訳じゃないですから。でも、『FANATIC』の決勝戦とか、ああいう場に出ると現役の時のような”ゾクゾクする感覚”っていうのは、自然と蘇ってきます。そういう意味で言うと、やっぱり昔の方がサッカーは楽しかったのかもしれないですね。

花岡:自分も同じで、現役の時は単純に”勝つため”にサッカーをしていたけど、今はそういうのは無いですね。純粋にサッカーを楽しめたのは、現役時代だと思います。けど、ある程度レベルが高い環境で自分がサッカーをやれるのは、あと何年だろう? って考えた時に、もう1回現役時代みたいなアツくなれる環境を作りたいなと思ったんですよね。

PAULO:ただ、難しいのは、昔はサッカーをしていれば、それだけで勝手に楽しかったんだけど、皆が大人になった今は、ちょっと無理矢理エンターテイメントにするというか、多少、仕込みが必要な部分もあって(笑)。その辺は『P_LEAGUE』でも常々考えている部分なんですよね。

— 最初は『PAULO CUP』という1day形式でのスタートでしたよね。

PAULO:『PAULO CUP』のきっかけになったのが『FANATIC』で、その年、僕らが所属していたチームが優勝したんですけど、それで『FANATIC』が終わってから、なんとなく5チームぐらい集めて、大会をやろうという話になって。

『PAULO CUP』時代の告知用画像。

『PAULO CUP』時代の告知用画像。参加者に向けた、アツいメッセージにも注目。

Photo by PAULO

— とはいえ、『PAULO CUP』の時から大会用のビジュアルを作ったり、メディア向けに告知をしたりと、普通のアマチュア大会って感じでも無かった気がするのですが、これも先ほど話していた”サッカーを楽しむための仕込み”の一環ですか?

PAULO:いやいや、その辺は本当にEYESCREAM.JPさん、さまさまって感じなんですけど……(笑)。単純に『PAULO CUP』の名前を売りたかったし、とにかくやってみようって感じでした。DMとかもわざわざ作って(笑)。

花岡:けど、EYESCREAM.JPに掲載してもらったことをきっかけに知らないチームからメッセージが来たりもしたし、すごく良かったよね。あの時にそうゆうことをやっているリーグって他に無かったから、良い意味で目立てたんじゃないかなと。

— 『PAULO CUP』をリーグ戦(『P_LEAGUE』)に改めたのは、2016年でしたよね。

PAULO:2015年に『PAULO CUP』を4回やったんですが、その間にたくさん問い合わせをもらって、「自分たちもやりたい」っていうチームが多かったので、自然と、「だったらリーグ戦にしよう」という話になりました。現状1日で回せるのは5チームが限度なので、色々と話をしていくうちに、二部制のリーグにすれば運営出来るんじゃないかということになって。

花岡:今は三部も出来て、15チームくらいが参加してくれています。

— 実際にリーグを運営してみてどうですか? お互いリーグ運営は、初めての経験だと思うのですが。

PAULO:思っていたよりデカくなるのが早かったですね(笑)。デカくすることを目標にしていた訳じゃ無いので、「こんなことになるんだ」って自分たちが一番驚いている感じです。

花岡:東京で『P_LEAGUE』みたいなリーグを、本当に誰もやってなかったんだなってことは感じましたね。

— 『TANGO LEAGUE』の話が来たのは、いつ頃のことだったんでしょうか?

PAULO:去年の1月ぐらいですかね。正直、「本当に俺たちで良いの!?」って感じでしたけど(笑)。

花岡:ただ趣味でやってるだけなんですけど……みたいな(笑)。

— リーグ内ではどんな反応だったのでしょうか?

花岡:運営側としては、[adidas]がサポートに入ってくれることによって、選手が勘違いしちゃうんじゃないかっていうのが、一番の懸念点で(笑)。ただ、自分自身、毎年同じ事をしていてもリーグとしての進歩が無いなと思っていたことは事実だし、『TANGO LEAGUE』に参加することで、選手の良い刺激とモチベーションになれば良いなと思いつつ、[adidas]サイドとも相談しながら、ここまで進めて来ました。

PAULO:そういう微妙なニュアンスも[adidas]サイドが理解してくれたので、スムーズに進行することが出来ましたね。あとは、『TANGO LEAGUE』も『P_LEAGUE』も、365日24時間サッカーのことばかり考えている、僕たちのような大人のために設立されたリーグだったので、[adidas]となら「同じ方向を向いて歩けるかな」と思ったのが大きなポイントになりました。今後は自分たちだけでは実現出来なかった大きな事が出来るようになると思うので、リーグの参加メンバーのモチベーションを高めるという意味でも、良い決断だったと思っています。

— そもそも[adidas]に対して、お二人はどんなイメージを抱いていましたか?

PAULO:僕はスパイクのイメージが強かったです。小さい頃に履いていたスパイクはいつも[adidas]で、三本線の入ったパティークやコパムンディアル、プレデターを履いていました。とにかくカッコよくて購入した記憶があります。

花岡:自分も小さい頃からウェアもシューズも[adidas]を愛用していて、なんとなくトリコロールのイメージが強かったですね。チームから支給されたものは別ですが、自分で選ぶウェアやスパイクは、いつも[adidas]でした。

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— この『Tokyo Football Addict』は”大人になった今でもサッカーが好きで仕方ない”という人々に向けた連載なのですが、自分の考えるサッカーという競技の魅力を教えて頂けますか。

PAULO:自分の場合は、本当にサッカーしか出来なくて。サッカーをしてなかったら大学にも行けていないだろうし、そういう意味で言うと、とにかく”サッカー様”に頭があがらない状態なんです(笑)。

花岡:ワンプレーで完璧にハマった時とか、瞬間的なサッカーの気持ち良さに惹かれて、サッカーを続けているような気がします。サッカーをやったことがある人なら分かると思うんですが、あの気持ち良さがあるから、サッカーは止められない。

— リーグをこれ以上大きくすることは考えていない?

PAULO:これ以上は、もうリーグ運営を仕事にしないと無理なレベルですね(笑)。

花岡:今でもリーグのことで毎日LINEしてるからね(笑)。まぁ、自然と大きくなるなら、それはそれで楽しい気はしていますが。

— 現役時代とモチベーションの保ち方も大きく異なると思うのですが、今はどうやってサッカーへのモチベーションを維持しているのでしょうか?

花岡:運営っていう立場にいる以上、下手なプレーは見せられないじゃないですか。今はそれが全てといっても過言では無いですね(笑)。そのプライドだけでやっています(笑)。

PAULO:そこまでは考えていないけど(笑)、自分が楽しみたいからって気持ちは一番にありますね。メンバーの中には、サッカーをするために仕事を早めに切り上げてるとか、「仕事辞めます」とか言ってる奴もいて(笑)。ポジティブに言うと仕事の効率化にも繋がっているし、サッカーが普段の生活の良いスパイスになっているのかなと。

花岡:たしかに。みんな社会人になると1回サッカーを辞めようとするから、そういう人達を呼び戻すきっかけになれれば良いなとは思いますね。サッカーをやれる場所や環境があるだけで、「またやってみよう」って思えるじゃないですか。