The Interview #008 Antoine Floch, Olivier Migda & Thierry Lamoine(“MAN TOKYO”Producer)

by Mastered編集部

(左から、ファウンダーのオリビエ・ミグダ、プロジェクト・パートナーのティエリー・ラモワン、ファウンダーのアントワン・フロッシュ)

(左から、ファウンダーのオリビエ・ミグダ、プロジェクト・パートナーのティエリー・ラモワン、ファウンダーのアントワン・フロッシュ)


編集部が今気になる人のインタビューを不定期で掲載していく企画“The Interview”。第8回目となる今回は、フランスを中心としたヨーロッパの新進ブランドが一堂に会する合同展示会として7月29日(火)から8月1日(金)に渡って明治記念館にて開催された「MAN」のプロデューサーの3名、アントワン・フロッシュ(Antoine Floch)、オリビエ・ミグダ(Olivier Migda)、ティエリー・ラモワン(Thierry Lamoine)が登場。

「MAN」の日本初開催の一報はMasteredでもお伝えしたが、2012年に発足した本プロジェクトはこれまでにパリとニューヨークで開催され、ヨーロッパの若手デザイナーから有名ブランドまで最新コレクションを一同に見ることができる場所として報道関係者やバイヤーから高い注目を集めている。「ずっと日本で開催することが目標だった」と語る「MAN」プロデューサーたちが考える“日本のファッションシーンの魅力”とは。

Photo:Satoru Koyama(Portraits)
mAsAkI(Venue)
Interview & Text:Koji Ashizawa

ファッションに関する知識、細部へのこだわり、クオリティ。そのどれをとっても日本のファッションに対する姿勢は特別なんだ。(ティエリー・ラモワン)

— 日本での開催は今回が初めてになりますが、まず始めに「MAN SHOW」を始めるに至った経緯を教えてもらえますか?

アントワン・フロッシュ(以下、アントワン):プロジェクトそのものは僕とオリビエと、今回は来日できなかったロマンの3人で始めたんだ。僕は元々ヨーロッパのファッションブランドで働いたり「Rendez-Vous」というフランスの展示会に携わる仕事をしていて、オリビエはフランスのストリートカルチャー誌「WAD」のエディターやアートブックのフォトグラファーとして働いていて、ロマンもアートディレクターやフォトグラファーとして活動していたんだ。3年前ごろから何か従来のものとは違う新たな形の展示会を開く必要があると感じて、メンズの「MAN」とレディースの「WOMAN」をパリとニューヨークで開こうと考えたんだ。欧米で展示会を開催する中で、日本と20年以上付き合いがあるバイヤーや報道関係者と知り合うことができて、彼らから話を聞くうちに日本でも開催したいと思うようになったんだ。

ティエリー・ラモワン(以下、ティエリー):私は日本の広告代理店で働きながらパリで会社を運営していて、15年ほどパリと東京を行ったり来たりする生活をしていました。日本の代理店を辞めたあとは、ヨーロッパに進出していく優れた日本のブランドをサポートする仕事を始めて、今ではファッションのほかにも文房具からライフスタイルまで20ブランドと仕事をしています。「MAN」にはプロジェクトのパートナーとして関わっていますが、東京はファッションビジネスをするうえで重要な都市なので、東京で展示会を開催することはができて今は夢がかなった気分です。

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— パリやニューヨークで展示会を開催した経験のある皆さんから見て、東京のファッションシーンはどう感じましたか?ファッションの中心地である欧米と比べて、東京が特別だと感じる点などがあったら教えてください。

アントワン:たくさんあるね(笑)。日本はファッション・ビジネスが盛んというのもあるけど、第一には日本にはモードファッションにもストリートカルチャーにも歴史があるということかな。[Yohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)] [COMME des GARÇONS(コム デ ギャルソン)][ISSEY MIYAKE(イッセイミヤケ)]といった有名デザイナーによるハイブランドもあれば、ストリートウェアのブランドもあって、ファッションに多様性があって面白い。

ティエリー:私が感じたことは、まず日本のみなさんはファッションに関しての知識が豊富ということ。日本国内のファッションについてはもちろんのこと、世界中のファッションについてもよく知っている。どのブランドの人も知識がとても深いし、細かいところにまで及ぶ知識や細部へのこだわりも持っているという点は特別なことだと思います。全てにおいて物事を深く読み取ろうとしているということです。それにクオリティも素晴らしい。ヨーロッパのファッションもクオリティはいいものはいいけど、日本のファッションはどれをとっても常にクオリティが素晴らしい。それは他の国のブランドと比べると大きな違いと言えるでしょうね。ファッションへの知識、ディテールへの気配り、そしてクオリティ。その3つが日本のファッションを特別なものにしていると思います。

オリビエ・ミグダ(以下、オリビエ):日本はファッションの市場が大きいというのが一番だろうね。東京には1,000以上のブランドがあって、どこの国でもそれほどの規模のものは見られないんだ。日本はファッションにおいてとてもクリエイティブだけど、そうなることはある意味とても自然だとも思う。江戸時代の「将軍」や「侍」といった日本古来の要素や現代の有名ブランドまで、日本のカルチャーを表すものは幅広くてどれも個性が強い。色々な要素がミックスされて新たな物が生まれるということが日本のカルチャーのDNAになっていると思うんだ。

ティエリー:だからこそ日本ではブランド間の競争が激しいように感じます。日本国内のブランドも海外のブランドもたくさんあるからこそ、若いデザイナーたちにとっては競争が激しいものになると思います。

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— 日本では若い学生から大人まで幅広い年齢層の方がファッションに気を配っているという点が大きいと思います。週末のたびに10代の学生たちが買い物に出かけて大きな買い物袋を持っていたり、ニューオープンや限定品の発売のたびにショップの前に行列ができたりという光景も珍しくないですし。欧米の男性と比べて、生活の中でファッションが占める割合が平均的に高いように感じます。

ティエリー:確かにそれはあるでしょうね。それに、そういった日本の男性たちはファッションへの知識が豊富。人が着ているものがどこの靴でどこの帽子で、どこのシャツかということをとても注意して見ていますよね。

オリビエ:それに日本の男性は雑誌をたくさん読んでいる。雑誌やウェブメディアも種類がたくさんあって、情報がとても豊富なんだ。一方でフランスの雑誌はもっと保守的なものが多くて、雑誌に多様性がないんだ。蔦谷書店に行ったけど、日本にはファッションからライフスタイル、建築まで本当に幅広い種類の雑誌があって感動したよ。

ティエリー:日本には世界中から素晴らしいクオリティのブランドの商品が集まっていますが、日本で今何が起きているかというの情報をヨーロッパやアメリカで探すのはとても難しい。日本のことを取り上げる雑誌は海外ではすごく少ないですね。

オリビエ:ストリートカルチャーとして「渋谷系」とか「カワイイ・ガール」みたいなものを見せるものもあるけど、そういった物は、もはやありふれたステレオタイプだし、そういったものを見たいわけではないんだ。

— Masteredでは英語の記事も日々掲載しているので是非見ていただきたいのですが(笑)。日本と比べてヨーロッパのファッションはいかがですか?保守的という言葉もありましたが、それはマーケットが小さいのでしょうか。

ティエリー:ヨーロッパのマーケットはとても小さいけど影響力があるでしょうね。フランスやヨーロッパの国々でブランドを始めるとなると世界中から注目が集まるという利点もあるし、それに「フランスでブランドをやっている」と言えばそれだけで魅力的にも聞こえる部分もあると思います。

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— 今回はÉDIFICEでポップアップショップも展開されて、日本の消費者に「MAN」を知ってもらうきっかけにもなったと思うのですが、今後「MAN」を通してどんな活動を行っていきたいと思っていますか?

アントワン:今後もプロジェクトはたくさん予定しているよ。「MAN」、「WOMAN」で展示会を行うほかに、実際に販売していくプロジェクトもパリを初めに行って世界に「MAN」と「WOMAN」を見せていきたいと思っている。日本でも数年以内に実現したいと思っているよ。

ティエリー:それに今後はもっとÉDIFICEをはじめとした日本の素晴らしいセレクトショップと交流を深めていきたいです。東京で年に2回展示会を行う予定ではあるけど、もっと自分たちが紹介しているブランドを知ってもらうための活動を行っていきたいと考えています。私たちがセレクトしているブランドは日本にはまだ上陸していないブランドもあるので、そういった最新のヨーロッパやニューヨークのブランドを日本のお客さんにも見せていきたいです。

— 日本は国内のブランド同士の繋がりが強いので、その中にヨーロッパの感覚を持った新進ブランドが入り、互いに刺激し合えたら面白いでしょうね。そういったヨーロッパのブランドの中で、例えばどういったブランドに注目していますか?

ティエリー:どのブランドも自分たちの赤ちゃんみたいだからどれかを挙げるのは難しいです。いたずらっぽかったり、頭がよかったり、センスがよかったり、それぞれのブランドに魅力があるから、どのブランドも大好きなんです。

オリビエ:大切なのは、僕らはきちんとブランドをセレクトしているということ。キュレーターとして活動しているから、むやみに扱うブランドを増やさずに本当にいいと思ったブランドをセレクトしている。出展しているブランドのことは大好きだし彼らの作品も素晴らしいからちゃんとサポートしたいと思っている。だからブランドを増やしすぎると一つ一つのブランドを十分にサポートできなくなるんだ。彼らの性格もよく知っている仲間だからこそ大切にしていきたいんだ。

会場では本邦初公開となるウミット・ベナンがクリエイティブディレクター兼デザイナーを務めるニューカプセルコレクションブランド[ONIKI(オニキ)]も発表されるなど、話題のブランドから日本にまだ進出していない新進デザイナーたちによるコレクションが展示され見応えも充実の内容となった「MAN TOKYO」。従来の日本のファッションと欧米のファッションシーンの架け橋となるべく、これからどのようなプロジェクトを見せてくれるのか。今後の動向も注目していきたいところだ。

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