The Interview #004
Garance Broca&Benoist Husson(MONSIEUR LACENAIRE)

by Mastered編集部

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Monsieur-Lacenaire-FW13-Renard

— コレクションを制作する際のインスピレーション源は?

Chilly Gonzalesのアルバム『Solo Piano II』

Chilly Gonzalesのアルバム
『Solo Piano II』

Broca:私の場合は本当に様々なジャンルのものからインスパイアされます。例えば音楽であればChilly Gonzales、The Chemical Brothers。映画はMichel Gondryの作品が大好きです。日常にあるものを、いかに自分たちらしい切り口で見せるか、クラシックなものをいかにアレンジするか、そういった工夫を行っているアーティストからは大きな刺激をもらっていますし、私たちのものづくりもそうでありたいと思っています。

— コレクションの具体的な制作手順としてはどのような流れで進めて行くのでしょうか?

Broca:常に色々なもの、イラストであったり、気になる建築であったり、美術作品であったりを収集していて、それと並行して素材を見て、組み合わせたり、組み替えたり。そうやっていつもコレクションを形にしていきます。

— 先ほどインスピレーション源として様々なアーティストをあげてもらいましたが、デザイン面ではいかがですか?特定のデザイナーから影響を受けるようなことはありましたか?

Broca:Martin Margielaは素材の使い方、カッティング等、参考になる点は多かったですね。あと川久保玲からも大きな影響を受けました。逆にHENRIK VIBSKOVのような自分のやりたいことを思い切りやっているようなタイプのデザイナーからも、影響を受けるというのとは少し異なりますが、良い刺激を受けています。

— 今シーズンのコレクションでもニットだけではなく、シャツやパンツなど様々なアイテムがラインナップに含まれていますが、こういったウェアの展開も念頭に置いてブランドをスタートさせたのでしょうか?

Broca:いえ、最初はとにかくニットという意識が強く、それ以外のアイテムはどちらかというと、顧客やバイヤーの要望から生まれたものになります。「このニットに合せるパンツを作ってもらえませんか?」という声や、「コーディネート全体として提案して欲しい」という要望を受けてスタートさせた流れです。

— では、今でもあくまでニットが中心というスタンスに変わりはない?

Broca:そうですね。やはりベースには常にニットがあり、それ以外のアイテムはそこに合わせるものという認識です。服のバリエーションもそうですが、表現方法自体にももっとバリエーションを持たせていきたいですね。ブランド自体、まだまだ小さな規模ですので、バランス良く成長させていきたいと考えています。

Monsieur-Lacenaire-FW13-ski

— 今シーズンのテーマは”For the never ending weekend”。このコレクションについて少し解説をお願いしてもよろしいですか?

Broca:今回のテーマは一言で言えば想像の中の狩猟。秋の深い色味や、その森に隠れる動物たちが登場します。日本の折り紙をフランスっぽい雰囲気の中にミックスさせている点も特徴的ですね。

— アイテム単位でもそうですが、ルックブックを眺めていると[MONSIEUR LACENAIRE]からはファッションを楽しもうというムードが伝わってきます。

Broca:アリガトウ(笑)。
実はそういったビジュアル的な部分はほとんどブランドマネージャーであるブノワ(Benoist Husson)が手掛けているんです。

— 折り紙もそうですが、日本のカルチャーからインスピレーションを受けることも多いのでしょうか?

Broca:前回のテーマは『スペースインベーダー』でしたし、無意識のうちに影響を受けている部分が多いのかもしれませんね。シャツ地にも日本の生地を使っていますし、日本に対してのリスペクトの気持ちは常に持っています。

— 根本的な質問になりますが、ブローカさんは女性なのに、なぜメンズウェアを作ろうと思ったのでしょうか?

Broca:もちろんブノワに着せるためです。

一同笑

Broca:というのは冗談ですが、今まで仕事をしてきた中で、男性から「選べる服が少ない」という声を良く聴きました。それが一番の理由ですね。ブランドをはじめてみて驚いたのは、今までクラシックでベーシックなものしか着ていなかったような人たちが、[MONSIEUR LACENAIRE]の洋服を買ってくれて、毎日のように着用してくれること。これまでのスタイルに満足しておらず、遊びのある洋服を求めている人がこんなにも多いのかということに驚かされました。

— 今後は表現方法にも幅を持たせたいとおっしゃっていましたが、コレクション全体に関してはいかがでしょうか?何か展望はありますか?

Broca:次は春夏なので、ニット、シャツ、パンツという展開になると思いますが、次回の秋冬ではコートなど、アウターにも挑戦するかもしれません。

— [MONSIEUR LACENAIRE]のイメージにフィットした、[MONSIEUR LACENAIRE]の考える理想の男性像というのは何か具体的にありますか?

Jason Schwartzman主演の映画『天才マックスの世界』

Jason Schwartzman主演の映画『天才マックスの世界』

Broca&Benoist:アメリカ人俳優の、Jason Schwartzman(ジェイソン・シュワルツマン)

— かなり具体的ですね(笑)。

Broca:他にもたくさんいますよ! 俳優をしながら、監督や脚本も手掛けているという人がイメージに近いですね。色々なことに挑戦する才能豊かな男性をイメージして、コレクションを制作しています。

Benoist:インディペンデントで活躍している人もイメージ的に近い。ハリウッドの超大作でも、サンダンス映画祭の応募作品でもなく、丁度良い塩梅で作品作りをしている人たちにユーモアを感じます。

— 年齢的にはどのくらいの男性?

Broca:いつも12歳くらいの男の子をイメージしています!

一同笑

— 12歳の子が着る洋服としては高級ですね。

Broca:肉体的には何歳でも構わないんです。ただ12歳の少年のような心を大人になっても忘れていない人たちに着用してもらいたい。

Benoist:40歳はダメだよ!

Broca:40歳だって良いじゃない。きっと素敵に着こなせるわよ。

— このインタビューを読んだ後、店頭で初めて[Monsieur Lacenaire]のアイテムを目にする人に、[Monsieur Lacenaire]のどういった点を見て欲しいですか?

Broca:秋冬で言えば、特に私たちがお気に入りのキツネやスキーをモチーフにしたアイテムをまずは手に取って見て欲しいですね。

Benoist:あとはディティールかな。ポケット、ボタンなど小さな部分ひとつとっても、着ている本人にしか分からないようなこだわりがたくさん詰まっています。そういった細かな部分をじっくりと見てもらえたらすごく嬉しいですね。

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