僕は岸田哲平に撮ってもらっているならば、ステージ上だろうと、オフだろうと、どんな写真でも人に見せても良いと一応思っているんです。(横山健)
— 現在はオフショットの写真も撮っているんですよね?
岸田:BBQ CHICKENSなんかは特にオフショットを撮ることが多いですね(笑)。やることはやって、フザける時はフザけるというか、それが一番格好良いなと今は思っていて。そういう意味では健さんはユーモアもあるし、振り幅も大きいから、写真を撮っていて楽しいです。撮るところが一杯あるというか。
— 横山さんの言葉で、『横山健 -岸田哲平編-』という写真集を表現すると?
横山:オフィシャルのプライベート写真集って感じですかね。すごく特殊な写真集だと思うんですよ。僕は岸田哲平に撮ってもらっているならば、ステージ上だろうと、オフだろうと、どんな写真でも人に見せても良いと一応思っているんです。それをこうして1冊にまとめると、もちろんヒストリー的な意味合いも出てくる訳で。まぁ、良くこれだけ撮ってくれたなと思いますね。写真として良いか悪いかは分からないけど、好きな写真は一杯あります。
— 一般的に言うと自分の昔の写真を見るのって少し恥ずかしさもあると思うんですが、それがこうして1冊にまとまってリリースされるというのはどんな気分なんでしょうか?
横山:当然、めっちゃ恥ずかしいですよ(笑)。でもこれは僕の写真集じゃ無くて、岸田哲平の写真集だから、もう仕方ない。でも、昔の自分を見ると格好良いな~とも思いますよ。もう、ハイスタの頃の俺の格好良さとか、可愛さといったら!
一同笑
— 岸田さんの言葉で伝えるとするならば、『横山健 -岸田哲平編-』はどんな写真集になっていますか?
岸田:みんなの思い出アルバム。これは健さんと同じ時代に生きているキッズたちのアルバムでもあるなと思っていて、そこは意識して作った部分がありますね。それをこうして紙に残して、共有出来るのがすごく嬉しいです。
横山:でも自分の20年弱をこうして作品として残せる人なんて中々いないですよね。『FUCK YOU HEROES』の話をしておいて、本当に良かったなと(笑)。
— 岸田さんが思う、横山さんの被写体としての魅力はどんな部分になりますか?
横山:恥ずかしがらずに言えよ!
一同笑
岸田:人間らしいところですかね。ビジュアルも格好良いじゃないですか。
横山:どっちかと言えば2の線だからね。
一同笑
岸田:でもフォトジェニックと言うか、撮ってて格好良いって大前提なんですよ。もちろん顔が格好良く無くても、生き方だったり、プレイで格好良く見えるってことはたくさんあるんですけど、健さんの場合はそもそも格好良いし、そこにユーモアが足されるので
横山:おー、なるほど。最強ってことね。
一同笑。
岸田:本当におっしゃる通りです(笑)。なんかすみません、上手く伝えられているか分からないんですけど………。
— 横山さんから見た岸田さんはどんな人ですか?
横山:人柄がすごくチャーミングなんですよね。いつフザけてて、いつ本音で話しているのか分からないくらいの温度で話すから、それがすごく面白い。もうなんか「これ、最初に話す人は誤解するよ? そういう話し方するのは俺だけにしとけよ?」って言いたくなるぐらいに、すごくチャーミングな奴でして。そのチャーミングさと、写真に対する生真面目さが同居してる人。写真の本当の良し悪しは僕には分からないけど、そもそも写真って、専門家が見てどうかよりも、素人が見てどう思うかの方が大事じゃないですか。それを僕は彼に常に要求するんですけど、仏頂面しながらも素直に聞いてくれて、僕の写真に限ってはそういうところを反映させてくれているんです。結局、今回セレクトした写真も僕の人柄を伝えてくれるような写真がメインで、ギタリストとしてどうかっていうよりは、この人はこういうことをしてきましたっていうものが大半。それが彼に一番やって欲しかったことなのかもしれないです。さっきはフザけて自分で「2の線」とか言いましたけど、本当は自分なんて、ちょっとちんちくりんの面白いおじさんだと思ってますから(笑)。僕は今45歳なんですけど、45年何をして生きてきたのかって蓄積を出しているのが今の時期で、この時期にそういった目線の写真集を出してくれるのはすごくありがたいことです。
— お違い歳を取ることで変わった部分はありますか?
横山:僕から見る分には哲平は全然変わらないですけどね。面白くてフザけた奴。ただ、男として「仕事をしていく」って意識が彼に芽生えた時期を見られたのは良かったかなと。
岸田:色々と時代は変化していますけど、健さんがやっていることもずっと変わらないですよね。なんか、PIZZA OF DEATHの周りってみんな変わらないので、いつの間にか「気付いたらこんなに歳とってる!」って感じなんです。素晴らしいですね、竜宮城みたいなところです。
横山:違うだろ。そんなにファンタジックなものじゃないよ。
岸田:全然違いました。すみません。
一同笑
— 写真集に掲載されている写真は何点ぐらいの中からセレクトしたものなんですか?
岸田:16万枚。最初のセレクトの時点で1,500枚~2,000枚くらいに絞りました。
— 随感随筆編、疾風勁草編、そして岸田哲平編と様々な表現を行ってきましたが、次のプランは何かありますか?
横山:いや、特には無いですね。逆に今は音楽がやりたいです。アルバムを作りたい。ここまで色々な形で自分という存在を世の中に出す機会を与えてもらったからには、次は音楽でしょって気がしてます。
— 岸田さんは次に出す写真集はどんなものにしたいと考えていますか?
岸田:とにかく今回みたいな形で、色々な人の写真集を出していきたいですね。自分の切り口で、「俺はこういう風にシャッターを切ってるよ」っていう表現の場を次の世代の為に作ってあげたいなと。
横山:今は「自称なんとか」が多すぎるもんね。蓄積がものを言うってことがもっとあっても良いんじゃないかなと思うんです。20年間シャッターを切り続けたカメラマン、20年間音楽を作りつづけたミュージシャン、20年間撮り続けた映像クリエイター、20年間書き続けている文筆家。そういう蓄積でジャッジしてもらえる部分がもっと増えても良いんじゃないかなって。どんどん消費されていく世の中で、肝を据えてやっている人たちはどういう風に生き残っていくのかを見せなきゃいけない。そんな気がしています。ね? 見せてやってよ。
【『横山健 ―岸田哲平編―』】
2015年3月27日発売
著者:岸田哲平
文:横山健
デザイン:Daisuke Hongolian
仕様:A4 判/ハードカバー/ 208 頁
価格:3,700円 + 税
ISBN:978-4-907435-52-3
発行:スペースシャワーネットワーク
http://books.spaceshower.net/books/isbn-907435523