進化するサーフカルチャー。
海とアートを繋ぐ[TCSS]。

by Mastered編集部

今年の大きなトレンドの一つである、”アーバンサーフ”。

ボードショーツの街穿きもすっかり定着して、今では、かつての所謂”サーフ系”ファッションとは一線を画す、都会的な空気をまとったサーフブランドが数多く登場し、人気を博している。

様々な分野とクロスオーバーしながらサーファーたちが生み出す独自のローカルカルチャーが、ライフスタイルというワードに注目が集まる今の時代にフィットしたのだろう。

その中でも一際目を引くのが、アーティスト集団によるオーストラリア発のサーフブランド[TCSS]だ。ここ数年間で彼らは、世界中から集まった仲間と共にアートという切り口のもと、ゼロからブランドを作り上げてきた。オーストラリアのコテージから始まったこの小さなブランドは瞬く間に世界へと広がっていくこととなる。

同ブランドの創設者の一人であるJIM MITCHELLのインタビューとともに、話題のサーフブランドの魅力に迫った。

Photo:Takuya Murata Text & Edit:Shu Nissen

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世界中のサーフカルチャーには通じ合うものがあると知ったんです。

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— まずは簡単に経歴を教えてください。

JIM MITCHELL : 私のキャリアは、フリーランスのアーティストから始まりました。最初は、アートを作ったり、広告や出版物の編集に関わったり。 その後ファッションブランドの[Mambo]のアーティストして仕事をするようになり、そこで初めて、私の大好きな2つのもの、サーフィンとアートを繫げることになったんです。同時に、そこで後に2人で[TCSS]を立ち上げるパートナー、Sam Coombesに出会いました。小さな世界ですね(笑)

— サーフ、ファッション、アートを絡めようと思ったきっかけは?

JIM MITCHELL :それは私にとってみればごく自然なことでした。オーストラリアの人口は、ほぼ海岸沿いに集中しています。つまりサーフィンの文化と凄く密接なんです。夏の期間が長く、水温は温かい時期が続くため、国全体のライフスタイルがビーチとスイミングにあるとも言えますね。強いて言えばハワイやカリフォルニアの文化に近いものだと感じています。オーストラリアの東海岸はアメリカの西海岸と似たようなサーフィンの歴史があり、沢山の逸話と大きな個性があるんですよ。そんな環境の中で私も、幼少期よりサーフィンをして、絵を書きTracks Magazineを読みながら育ちました。母親がアーティストだったこともあって、Rick Griffin, Tony Edwards, Big Daddy Rothと言った人達の作品を昔から眺めていました。サーフィンとアートは私の中で情熱を生む2大要素。これは私の人生に必用不可欠なものなので、どうにかその2つを活かしてキャリアを築かなければならないとずっと考えていて、[Mambo]はその夢を叶えてくれた最初の場でした。そしてそれは[Shortstraw]へと繋がり、今[TCSS]というブランドになっています。

— [THE CRITICAL SLIDE SOCIETY]という世界中のアーティストが自由に書き込めるブログがブランドの前身だったとのことですが、そのブログについて教えてください。

JIM MITCHELL :The Critical Slide Society blogを始めた当初はブログというもの自体が目新しいものでした。最初は自分達の作品を世界に発信する場として作ったのですが、気がつけばその想いに共鳴するアーティスト達が集まって来ていて。その時に初めて、世界中のサーフカルチャーは通じ合うものがある、と知ったんです。スペイン、日本、スウェーデン、ブラジル、アメリカ、、、誰もがサーフィンに心を捧げていますし、何かを表現していました。The Critical Slide Society blogを通じて世界中に友達ができましたし、今もそれは続いています。

— ブランドの今後の展望について教えてください。

JIM MITCHELL :我々のヴィジョンは世界中に我々のストーリーやアーティスト、ライダー、チーム、ファミリー、シェーパーズといったコミュニティを共有することです。 今日のTCSSをTCSSたらしめる才能あふれる仲間達に支えられ、我々は着実に前に進んでいますし、この短期間で達成した数々のことがらに誇りをもっています。 引き続き自身に素直で偽りの無いアーティスト達をサポートし発信していくつもりです。また、TCSSはこれから毎シーズン、アーティストを一人選びカプセルコレクションを発表しようと考えています。Tシャツ、ボードショーツ、キャップ、そしてフィンの小さなコレクションです。幸運にもその第一弾のアーティストに私が選ばれ『Jimmy Slide Collection』を発表させて貰えたのです。仕上がりはVery Tasty(すっごく美味しい)です!! 楽しみにしていて下さい。次は、Eden Saul (通称Dead kooks)を予定しています。こちらも楽しみですね。

— 日本のショップPORT OF CALLにもアート提供をしているとのことですが、どういったところを意識しましたか?

JIM MITCHELL :まずPort of Callという名前がとても気に入りました。安全な港、波止場といったニュアンスがある言葉で、旅人を歓迎するたまり場というコンセプトが面白い。この航海的なコンセプトを元に旗をデザインし、水夫達のアートを作ったんです。そのコンセプトに共鳴した仲間達で、あっという間に一つの形が出来上がりました。

— 日本のファンへメッセージをお願いします。

JIM MITCHELL :日本への旅はいつもインスピレーションを刺激してくれて、毎年、アート、ファッション、トレンドをチェックしに来日してるぐらいです。日本はそういった文化の先端を行っていると思います。 たくさんサーフィンをして、人生を謳歌して下さい。そして来年のグリーンルームで会いましょう!!Jimmy Slideとチームに会いに来て下さい!!

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