STYLE & PLAY GREAT YARD スポーツ × ファッション、そしてそこにカルチャーが加わると? 対談 : 向井太一 × starRo

by Mastered編集部

3月18日、原宿キャットストリートにスポーツ×ファッションをテーマにした新しいセレクトショップ、STYLE & PLAY GREAT YARDがオープンする。前回こちらのサイトでもその情報をいち早く伝えたところ、大きな反響があったことを考えても、早くもその期待感が高まっているようだ。今回はそのオープンに際し、スペシャルムービーと最新ルックが到着。この映像の楽曲制作にも参加した、2017年グラミー賞ノミネートの日本人音楽プロデューサーのstarRo(スターロー)、そして大注目の新鋭シンガーソングライターの向井太一のスペシャル対談をお届けする。

Photo : Kiyotaka Hamamura 、Text&Edit:Yukihisa Takei(HIGHVISION)

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— 今回はオープンする前のショップの店内も使ってムービーを撮影するという、かなり斬新な試みですが、なぜ今回はお二人で取り組むことになったのですか?

向井太一(以下 向井):starRoさんとは僕が去年出したEPでご一緒していまして、今回が2回目なんです。LAで活躍されているstarRoさんのことはお仕事をする前から存じ上げていました。starRoさんの作品の中に、僕の好きなJarell Perryが参加していたので、それがきっかけだったんですが、偶然レーベルも一緒になったので、お仕事ができたんです。僕はすごく好きなアーティストさんだったので、嬉しかったですね。

starRo:僕はもう10年くらいLAをベースにしているので、日本のR&Bシンガー、という括りでいいのかわからないけど、向井くんのことは知らなかったんです。でもレーベルが一緒になって、スタッフから「こういう子がいる」と聞いて、音を聴いたら「おお、いいな」と。今後の日本のR&B界を引っ張る存在になりそうだなと思ったんですよね。

向井:僕は1年間毎月SoundCloudに新曲を上げるという活動をしていたので、その音源をお送りして、それを聴いていただいたんです。

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— いまSoundCloudの話も出ましたけど、starRoさんは日本人で一番SoundCloudのフォロワーが多いんですよね?

starRo:それは僕も最近になって知ったんですけど、そもそも日本人でSoundCloudにチカラを入れている人が少ないという噂も(笑)。

— お二人ともSoundCloudを表現プラットフォームに選んだのは、何か理由があるんですが?

向井:僕は何か自分の創作のベースを作りたいなと思って始めたんですけど、まずは感度の高い人達に向けて何かできることはないかと考えてSound Cloudにしたんです。

starRo:僕は年齢は別として、“駆け出しのアーティスト”なんですが、アメリカの駆け出しのアーティストは今みんなSoundCloudなんですよ。いまやメジャーレーベルもそこから新しい才能を見つけるという事をやっているくらいだし、今年からSoundCloudにアップした音源もグラミー賞の対象になったので。

— それがきっかけでstarRoさんもグラミーにノミネートされたんですよね。

starRo:そうなんです。

starRo(スターロー) 横浜出身、ロサンゼルス拠点のプロデューサー。2013年にジャネット・ジャクソンのリミックスがネット上で話題になったのをきっかけに、現在世界で最も注目されるレーベルSoulectionと契約。同年リリースしたWhite Label EPは1ヶ月で24万回再生を記録し、オルタナR&B、Future Soulシーン内外から注目を浴び続ける。リミックスワークだけにとどまらず、インストトラック、シンガー・ラッパーをフィーチャーしたオリジナルソングの作曲、往年の名曲のカバーなど、制作スタイルも多岐にわたる。2017年グラミー賞の『最優秀リミックス・レコーディング部門』にノミネートされ、さらに注目が高まっている。

starRo(スターロー)
横浜出身、ロサンゼルス拠点のプロデューサー。2013年にJanet Jacksonのリミックスがネット上で話題になったのをきっかけに、現在世界で最も注目されるレーベル Soulectionと契約。同年リリースした『White Label』EPは1ヶ月で24万回再生を記録し、オルタナR&B、Future Soulシーン内外から注目を浴び続ける。リミックスワークだけにとどまらず、インストトラック、シンガー・ラッパーをフィーチャーしたオリジナルソングの作曲、往年の名曲のカバーなど、制作スタイルも多岐にわたる。2017年グラミー賞の『最優秀リミックス・レコーディング部門』にノミネートされ、さらに注目が高まっている。

— お二人は年齢も20近く離れていますが、おそらく聴いてきた音楽も違うでしょうし、共同で創作する上ではそういう世代感のギャップのようなものはなかったですか?

starRo:僕は意識的には“新人”なので、そういう意味では向井くんと全く一緒だと思っているんですよね。僕がたまたまこういう年齢(40歳)で、たまたまこうして世の中がインディーズの音源を聴いてもらえる時代になってきているというか。僕のアメリカでの音楽仲間も、向井くんと同い年かもっと下くらいなので、そういう意味では今回も“若手と組んだ”、という意識ではないんですよ。僕が今聴いているものと、向井くんたちが聴いている音もほとんど一緒なので。

— 向井さんは“日本人特有の言葉選び、空間を意識した音作り”を掲げていますが、具体的にはどういうことなのでしょうか?

向井:日本のクラブミュージックとかR&Bは、最近まで割と音を重ねるものが多かったんですけど、僕はそういうのを差し引いたり、ある種の“抜き差しのある音楽”をやりたくて。僕は日本語を喋るわけで、そういう点でも日本語で歌いたいなと思ったし、昔の60年代70年代の音源もよく聞くんですが、あの時代の音楽のように、歌詞の力とか、さらに深い意味のようなものを発信したいんです。今回の曲も、starRoさんが作ったトラックは、割と尖ったというか、あまり日本のポップシーンにはなかったようなものなんですけど、僕はあえてそれを日本語で歌いたかったんです。

向井太一 福岡県出身のシンガーソングライター。幼少期より、ブラックミュージックを聴きながら育つ。2010年に上京し、ジャズとファンクをベースとしたバンドにボーカルとして加入。東京都内を中心にライブ活動を経て、2013年よりソロ活動をスタート。自身のルーツであるブラックミュージックをベースに、エレクトロニカ、アンビエント、オルタナティブなどジャンルを超えた楽曲、さらに“日本人特有の言葉選び、空間を意識した音作り”で常に進化を続ける。また、『Men's FUDGE』のウェブサイトでのコラムの執筆や、モデルなど、音楽以外でも活動の場を広げている。

向井太一
福岡県出身のシンガーソングライター。幼少期より、ブラックミュージックを聴きながら育つ。2010年に上京し、ジャズとファンクをベースとしたバンドにボーカルとして加入。東京都内を中心にライブ活動を経て、2013年よりソロ活動をスタート。自身のルーツであるブラックミュージックをベースに、エレクトロニカ、アンビエント、オルタナティブなどジャンルを超えた楽曲、さらに“日本人特有の言葉選び、空間を意識した音作り”で常に進化を続ける。また、『Men's FUDGE』のウェブサイトでのコラムの執筆や、モデルなど、音楽以外でも活動の場を広げている。

— LAと東京という、距離も離れての制作だったと思うのですが、今回の楽曲はどういうプロセスで創っていったのですか?

starRo:僕のところに話が来た時は、新しいコンセプトで店を作る、そしてそのイメージも割と明確にあったんです。かつ“西海岸っぽいイメージ”というのも聞いていたので、まずはトラックとメロディを作って向井くんに送りました。それに向井くんが向井くんなりの解釈で、メロディも変えつつ戻してくれて、という流れです。

向井:お店のコンセプトが最初からしっかりしていたので、僕もそれに沿ってのリリックとかは割と書きやすかったですね。そこに自分がイメージするものを紐付けて行った感じです。

— でも、こうしてお店ありきで楽曲が作られるというのは珍しいですよね。

starRo:そうですね。こういう仕事は初めてでしたね。

PVの撮影は、まだオープンする前の『STYLE & PLAY GREAT YARD』の店内を使用して行われた。

PVの撮影は、まだオープンする前の『STYLE & PLAY GREAT YARD』の店内を使用して行われた。

— お二人はファッションに対してどのようなスタンスをお持ちですか?

starRo:僕も昔からすごくファッションは好きで、今LAの方でブランドとコラボして色々作るプロジェクトもあったりするんですが、僕にとってはすごく大きい存在ですね。僕はもうファッションのサイクルを一巡して見てきたので、自分の中にあるものと、今のものを取り入れつつも、メイントリームからはちょっと外すというか。例えば僕みたいな音を作っていると、Kanye Westみたいな格好になるかと思うんですけど、そこにちょっとエスニックを入れたり、オーガニックな感じを入れたりして、外して遊ぶようにしています。実はそういう部分は、音楽へのスタンスも一緒なんです。

向井:僕は結構見た目が年齢よりも若く見られるので、キャッチーな服を着てしまうと、音楽もキャッチーなものに聴こえてしまったりするので、PVを撮影する時は割とダークトーンなものを意識的に選んでいます。見た目からの音楽の聴こえ方の変化ってやっぱりあると思うんですよね。

— このお店、STYLE & PLAY GREAT YARD は、スポーツ×ファッションがテーマということなのですが、お二人はそういうスタイルはしますか?

向井:スポーツギアって最近どんどんファッション性も高まってきましたけど、それプラス“機能性に対する安心感”もあると思うんです。特にスニーカーはそうだと思うんですけど。僕の場合、そういうアイテムをいかに自分のスタイルになじませるかは自分でも無意識にやっている気がします。

starRo:僕もスタイルとしてどちらかに振れるのはイヤなので、アウトドア系のものをアクセントに使ったり、崩しのアイテムとして使いますね。このお店に来る人はそういう人なんじゃないかな。

— お二人が個人的にこのお店に期待するのはどういう部分ですか?

starRo:僕はLAに住んでいるので、このお店のコンセプトとか、雰囲気には共感を覚えるんですよ。最新の、カッコいいLAスタイルみたいなのを感じられるお店でもあると思うので、日本に帰ってきた時が楽しみです。

向井:僕は割と最近は“原宿離れ”していたのですが、久しぶりに面白そうなショップができたという感じなので、普通にお客として来たいですね。

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