Tommy GuerreroのロングインタビューとMastered的 最新スケートITEMを一挙に掲載! スケート特集『SK8 or DIE』

by Mastered編集部

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突然ですが皆様、最近街中でスケートボードを目にする機会が飛躍的に増えたと思いませんか? ここ数年の90’sリヴァイヴァルや、ストリートブランドの隆盛に呼応するかのように2012年現在、東京のスケートシーンは今また大きな盛り上がりを見せつつあります。そこで今月のMasteredではそんな“スケート”をテーマに一大特集を敢行。
ストリート・スケート界の生ける伝説、トミー・ゲレロ(Tommy Guerrero)へのエクスクルーシヴなロングインタビューと、Masteredが厳選した2012年の最新スケートITEMの紹介を通して、現代のあるべき“SK8”の姿に迫ります。

Photo:claudine gossett
Interview:Hashim Bharoocha

スケートしていたのは自分のためであって、他の誰かのためにスケートをしていたわけじゃない。音楽もそうなんだ。

The Blacktop Projectのアルバム
『Blacktop Project』

— これからヨーロッパに行くんですよね?

Tommy:チャックとレイとバージニア・ビーチで会って、そこでVANSのイベントでThe Blacktop Projectとして演奏するんだ。その後にハンブルグ、アムステルダムに行って、VANSのイベントや『Bones Brigade』のプレミア試写会で演奏する。そこでThrasherやSpitfireのクルーと落ち合う予定だよ。

— 『Bones Brigade』のドキュメンタリーが発表されましたが、仕上がりについてはどう思いますか?

Tommy:すごくいい映画だと思うよ。ステイシー・ペラルタの作品なんだ。ボーンズ・ブリゲードのメンバーはみんな出演に承諾したよ。 俺が見たバージョンは、サンダンス映画祭で上映されたバージョンだと思う。

— この映画で古いスケート映像を見て、自分たちのスケーターとしての功績についてどう思いましたか?感慨深いものはありましたか?

Tommy:誰か別の人の人生を見ているような感覚だったよ。あまりにも大昔の話だからね。

— 当時は、自分たちがスケートを通してどれだけ色々な人やシーンに影響を与えていたかは、あまり意識していなかった?とにかく楽しいんでいる感覚?

Tommy:俺たちはただスケートを楽しんでいただけだよ。何かに没頭していると、自分たちが何をやっているか意識していないし、それがどういう影響を人に与えるかは見えていないんだ。本当にただスケートしていただけなんだよ。スケートも音楽も同じで、自分の世界に没頭してやるものなんだ。スケートしていたのは自分のためであって、他の誰かのためにスケートをしていたわけじゃない。音楽もそうなんだ。

— ボーンズ・ブリゲードのメンバーになった経緯について改めて教えてください。

Tommy:ステイシー・ペラルタが、俺がサンフランシスコのスケート・コンテストに出場したのを見かけたんだ。それでステイシーが俺の兄貴に話しかけて、俺がパウエルに所属しないかって話をもちかけてくれた。兄貴からその話を聞いたとき、最初は信じなかったよ。てっきり、また兄貴にからかわれてるんだと思った(笑)。
でも実際は本当の話で、そこからパウエルに所属することになった。俺が17歳のときの話だね。

— ステイシーからボーンズ・ブリゲードの話を聞いたときはどう思いましたか?最初からスペシャルな感じはした?

Tommy:もちろん。当時、パウエル・ペラルタは既にスケート・シーンのトップにいたからね。スティーヴ・キャバレロ、ランス・マウンテン、トニー・ホーク、マイク・マギル、ロドニー・ムレンが既にチーム・メンバーで、俺が最後にメンバーになった。俺の後に入った人もたくさんいたけど、最初にパウエルに入ったストリート・スケーターは俺だった。だから、最初からボーンズ・ブリゲードは特別なものだという意識はあったよ。

— 最初のストリート・スケーターということでプレッシャーはありましたか?

Tommy:それはあったね。当時、プロのストリート・スケーターは他にいなかったからね。ヴァートのスケーターは、当時からストリート・コンテストにも出場していたけど、俺とマーク・ゴンザレスが1985年にプロになるまで、ストリート・スケートを専門とするプロは他にいなかった。だから、ちょっと奇妙な状況だった。当時のヴァート・スケーターは、ストリート・スケートが大したことじゃないと思っていたんだ。だから、ヴァート・スケーターにはあまりリスペクトされていなかった。

— トミーたちが蒔いたストリート・スケートの種が、ここまで成長したことについてはどう思う?

Tommy:振り返ると、俺はボーンズ・ブリゲードの他のメンバーと同様に、とても幸運だったと思う。でも、ここまで発展させるために、俺たちはかなりの血と汗を注ぎ込んだんだ。こういうことに取り組むチャンスを与えられてラッキーだと思うけどね。

— それでは、最近のスケートシーンについてはどう思いますか?

Tommy:激しすぎるよ!この時代からスケートをし始めてなくてよかった(笑)。
でも、大好きだよ!今の若いスケーターの連中を見ているといつも驚かされる。

— 憧れている、もしくは憧れていたスケートボーダーを教えてください。

Tommy:トニー・アルヴァ、ステイシー・ペラルタ、ジェイ・アダムス、スティーヴ・オルソン、ドゥエイン・ピーターズなどに憧れていたよ。彼らは俺が若かった頃のプロ・スケーターだったんだけど、彼らはみんな最高にスタイルが格好良かった!

トミー・ゲレロ
ウェストコーストから世界のストリート、カルチャー、アートに影響を与える真のカリスマ・アーティスト。1980年代に伝説のスケートボード・チーム Bones Brigade最年少メンバーとして彗星の如くストリート・シーンに登場。ミュージシャンとしては盟友Thomas Campbellが運営するレーベルgalaxiaから1st Album『Loose Grooves & Bastard Blues』を1998年に発表。独自のネットワーク/口コミで爆発的なセールスを記録した。その後もコンスタントに音楽活動を続け、これまでに計8枚のアルバムを発表している。2012年9月26日に通算9枚目となるアルバム『No Man’s Land』をリリース予定。同時にこれに伴った来日ツアーの実施も発表した。

— Tommyはスケートボードの魅力はどんなところだと思いますか?

Tommy:世の中の嫌なことを忘れられることかな。

— スケートボードと音楽に何か共通項はある?

Tommy:1つ前の質問と同じ答えさ。スケートも音楽も瞑想みたいなもので、考えないで出来るものだよ。

— 国や地域によって言葉は違ってもスケートボードという共通言語で距離を縮める事も出来ると思うのですが、これまで世界中を回った事のあるトミーは実際にそういった経験をされてきたのでは?

Tommy:同じ言語を話していなくても、スケーターっていうのは共感しあえるものなんだ。インスト・ミュージックと同じことだよ。言葉が逆に邪魔になることもあるんだ…。

— パークやスポットへ行って息子であるディエゴと一緒に滑ったりはしないんでしょうか?

Tommy:毎週末、息子とはいつもスケートをしに行ってるよ。息子にはターンやプッシュのように、スケートの基本を教えてるんだ。

— Tommy自身は、現在どんなセッティングで滑っているのでしょうか?

Tommy:俺のスケートボードのセッティングはDLXの板、Independentのトラックス、それにSpitfireのホイールだよ。

— 反社会的ともとれるカウンターカルチャー、つまりはスケートボードの世界に常に身を置いているわけですが、なぜそうまでインディペンデントな立場で活動を続けるんですか?

Tommy:何かをやりたくて、自分の理想を叶えたいのであれば、それを他の人に託すことはできないんだ。自分のビジョンは自分でしか形にできない。エモーションやフィーリングというのは、完璧に言葉で説明することは不可能なんだよ。

— フューチャー・プリミティブ、アニマル・チン、パブリック・ドメインなど名作と呼ばれるビデオに出演していましたが、自分の最も好きなスケートムービーは何でしょう?また、その理由も教えて下さい。

Tommy:Bones Brigade Video Showというビデオだね。ランス・マウンテンがストリートを滑りながら楽しんでる映像が最高だよ!

— これからスケートボードにトライしようとしている人、スケートをしている人たちに、先輩としてなにかメッセージを貰えますか?

Tommy:楽しむためにスケートをしたほうがいい。自分の好きな方法でスケートすればいい。トリックのことをやたら意識しなくたっていいんだよ。

— 新作『No Man’s Land』の話に戻りますが、実際いつ頃から制作をし始めて、どのくらいの制作期間で完成したんですか?

Tommy:レコーディングは2011年の10月からスタートして、終わったのは今年の6月の終わりだね。

— このアルバムのサウンドは、本当にウェスタン映画のサウンドトラックのようでしたが、アルバムを作り始める前からそれは意識していましたか?

Tommy:最初から意識していたわけじゃないんだけど、今までとギターのレコーディング方法が違ったんだ。今までのギターは、ダイレクトにアンプを使わずにレコーディングしていた。でも新作は新しいリハーサル・スペースでレコーディングしたから、大音量でギターを演奏しながらレコーディングすることができた。今回のサウンドの肝になったのが、60年代のGibson Falconというアンプだったんだけど、このアンプには素晴らしいリヴァーブとトレモロがついてるんだ。すごくユニークな音色とサウンドのアンプなんだよ。このアンプを使うことで、こういうギターの演奏法が自然に出てきたんだ。

— 使用したギターもいつもと違ったんですか?

Tommy:今回はテレキャスターを多用したかな。今まではストラトキャスターを使うことが多かったんだけど、こういうマカロニ・ウェスタンっぽいサウンドの作品の場合、テレキャスターのトーンの方がしっくりくるんだ。俺が持っているストラトは1980年代半ばの日本製のもので、テレキャスターも80年代半ばの日本製。日本製のFenderが大好きなんだ。

— トミーが使っているGibson Falconのアンプは、もともとマカロニ・ウェスタンで使用されていたものなんでしょうか?

Tommy:いや、そうじゃないと思う。実はこのアンプはずっと前から持っているんだけど、長い間使っていなかったものなんだ。元々は兄貴からこのアンプが良いって話を聞いたんだよ。それで俺と兄貴はこのアンプをギター・ショーで2個200ドルで買ったんだけど、6年くらい放ったらかしにしていたんだ(笑)。
小さいアンプだし、デリケートな作りだから使ってなかったけど、いざ取り出して試してみたら、「すごい!」と思って、アルバムで使うことにした。小さいけど本当に素晴らしい音が出るんだ。このアルバムのサウンドの特徴となるアンプだよ。

— 今作のレコーディングで他に何か新しいアプローチを取り入れましたか?

Tommy:今までのアプローチとそんなに変わらないかな。楽器の演奏やレコーディングも含めて、全部1人でやったんだ。1曲だけマット・ロドリゲスがパーカッションで参加しているけどね。スタイル的にも、ダークなサウンドで、マカロニ・ウェスタン、サーフ・ギター、スパニッシュな要素が多く入った。スパニッシュやフラメンコで使われるギター・フレーズを演奏することが多かったね。自然とそうなったんだ。このアルバムは、これまでの俺の作品の中で最もスタイルが一貫した作品かもしれない。誰も知らない西部劇の映画のために俺がサントラを作曲したような感じなんだ(笑)。
でもブレイクビーツが入ってるから、現代的なサウンドにはなっているよ。 本当に自然とこういうサウンドになったんだ。制作している最中に、サウンドが西部劇っぽいことに気づいて、最後までこのサウンドでいこうと決めた。曲名も架空の西部劇っぽくしてみたんだ。実際の西部劇にインスパイアされてタイトルを付けた。

クリント・イーストウッド主演の映画
『夕陽のガンマン』のDVD

— では制作中に、ウェスタン映画をたくさん見たんでしょうか? 何かインスピレーションとなった作品があれば教えてください。

T:いや、そういうわけじゃない。クリント・イーストウッドが出演していたウェスタン映画は昔全部見たし、エンニオ・モリコーネやヒューゴ・モンテネグロが手掛けたサントラは大好きだけど。ヒューゴ・モンテネグロがアレンジした『For A Few Dollars More(夕陽のガンマン)』や『A Fistful of Dollars(荒野の用心棒)』みたいなマカロニ・ウェスタン音楽がすごく好きなんだ。音響的にも好きだし、楽器編成も素晴らしい。

— 個人的に特に好きな西部劇の映画は?

Tommy:『The Good, the Bad and the Ugly(続・夕陽のガンマン)』は、クラシックで良いね。『High Plains Drifter(荒野のストレンジャー)』とか、クリント・イーストウッドが出演している西部劇はどれも良いよ。あとは、リー・ヴァン・クリーフが出演していた西部劇にも素晴らしいものがたくさんある。『The Good, the Bad and the Ugly』が最高傑作なんじゃないかな。

— トミーは西部劇のどんな所に惹かれるのでしょうか?

Tommy:まず、音楽のアプローチが素晴らしい。アプローチがとてもオープンだし、ギターのトーンが好きなんだよ。聴いていると共鳴するし、独特の空間に入り込めるんだ。西部劇には、広大な景色や砂漠がよく登場するんだけど、その景色が音楽によく反映されていると思う。

— トミーはよくウェスタン・シャツを着ているし、西部劇に登場するタフな男に憧れているのかと思っていました(笑)。

Tommy:正義の味方はいつだって応援したくなるよ。特にクリント・イーストウッドみたいなタフな男だったらね(笑)。
俺はタフガイなんかじゃないけど、ああいう映画は好きだよ。彼らは別に暴力的な行動をサポートしている訳では無いし、映画に出てくる主人公は正義の味方で、他の連中がケンカを売るから、そのケンカを買っているだけなんだ(笑)。
そこが好きなんだよ。

— アルバムのアートワークを手掛けたデイヴ・キンジーについて教えてください。

Tommy:彼のアートワークは昔から知っているんだけど、彼は以前ブラック・マーケットという会社を運営していたんだ。彼とシェパード・フェアリーは長年一緒に会社をやっていた。彼のアートワークは、グラフィティがベースになっているんだけど、バリー・マギー、アンディ・ハウエルと同じ流派なんだ。イラストとグラフィティの要素を上手く組み合わせている人だったんだ。でもサンフランシスコのFecal Face Galleryで行われたデイヴ・キンジーの展示会の作品は、もっとアブストラクトでペインティングが中心だった。彼の古い作品よりも共鳴できたんだ。その展示会で作品を見たときに、「これはアルバムのジャケットにぴったりだ」と思った。

— ギャラリーでその絵を見た瞬間にピンときたということですか?

Tommy:そうなんだ。彼はスケートもしていたし、共通の友達も多いしね。

Budos Bandのアルバム
『Budos Band III』

— 最近はどんな音楽にインスピレーションを受けていますか?新作は、ヴィンテージ感が強いですが、今までと違うグルーヴ感を感じました。

Tommy:Budos Bandをよく聴いているから、その要素は入っているだろうね。彼らの音楽は本当に素晴らしいし、演奏も最高だよ。彼らはこのアルバムというより、ミュージシャンとしての俺に影響を与えたね。彼らのライヴを見ていると、演奏があまりにもタイトで、まるでレコードを聴いているような感覚になるんだ。

— アルバムのサウンドは全体的にダークでメランコリックですが、”40 Summers”みたいな曲は入っていないですよね。

Tommy:確かに。そういう曲が生まれてきたら良かったんだけどね。

— そのメランコリックな要素というのは、今の世の中の情勢を反映しているのでしょうか?

Tommy:いや、過去1年半の俺自身の心の状態が反映されているんだと思う。世の中がどうと言うよりも、俺が経験したことが大きい。自然とこういうサウンドが出てきたんだ。太陽の光を思わせるハッピーな曲がどうしても書けなかった。良くも悪くも、こういうサウンドが出てきた(笑)。

— でもこのアルバムを聴いていると、ダークな中にも希望を感じさせる要素がありました。

Tommy:そうだね。俺は常に希望をもっている人間だからね。俺は悲観主義者なんじゃなく、現実主義者なんだ。楽観主義者と言いたいところだけど、現実主義者だね。何でもそうだけど、時間が傷を癒してくれる。だから、しばらくすれば立ち直れることは分かっていたよ。

トミー・ゲレロを中心として制作された
チャリティ・コンピレーション・アルバム
『You Are We Are Us』

— 日本では地震が起きたあと、同じようにダークな気持ちになった人が多かったです。でも、逆に落ち込むときは、とことん落ち込んだほうが楽になることがあると思うんですよね。

Tommy:このアルバムはダークだから、日本のファンがどう受け止めるか、実は少し心配だった。日本の人たちの現在の心情がとても気になっていた。心理的、精神的、肉体的な状況がとても気になっていたんだよ。このアルバムには砂漠の要素だけじゃなくて、サーフ・ギターの要素も入っているから、あまり“水”を意識させるサウンドはまずいんじゃないかとか、そういうことも考えたよ。でも、自然とこういうサウンドになってしまったんだ。自然に出てきたものに抵抗することはできないんからね…。

— 今作は、今までのようにエンジニアのモンティ・ヴァリエが全曲ミックスしたのでしょうか?それとも、自分でミックスした?

Tommy:二人で一緒にミックスしたよ。このアルバムでは、それぞれの楽器のトーンに明確なビジョンがあったから、俺自身も細かくチェックしたかったんだ。だから、ミックスの最中はずっと彼の横にいたよ。

— アルバム・タイトルにはどんな意味が込められているのでしょうか?

Tommy:単に西部劇っぽいタイトルを選びたかっただけだよ。それ以外の深い意味はない。架空のマカロニ・ウェスタン映画のタイトルだね。

— 1曲目の“The Loner(一匹狼)”はいかにもTommyっぽい曲ですね。

Tommy:この曲を聴けば、アルバムがどういう方向性に進むか分かる。アルバム全体のトーンを決めてくれる曲なんだ。この曲はソロ・ギターのみでできているから、“The Loner”というタイトルにした。それに、俺はいつも1人でアルバムを作っているしね。1人だけで作業をしていると、大変なこともあるし、フラストレーションを感じることもある。でも、アプローチ、スタイル、最終的な音は自分で全部コントロールできる。1人で制作することには、長所と短所があるんだ。制作中にどうすれば良いのか分からなくなる時もあって、そういう時は誰かとアイデアを話し合いたくなる。だから、1人の作業は難しいんだよ。俺は長年1人でやっているんだけど、バンドを持ちたいと思うこともあるよ。

— Tommyは昔から、スケボーも1人で出来るものだと言ってましたが、そういう意味でも“The Loner”という曲名はTommyにピッタリだと思いました。

Tommy:そう。今やっている音楽が、スケボーの延長線上にあるんだよ(笑)。
1人で何かをやるということが、俺の人生の大部分を占めているんだ。

— 2曲目の“The Gunslinger”はオルガン・サウンドがとても特徴的でしたね。

Tommy:“The Gunslinger”はアルバム全体の雰囲気を決定づけてくれた曲だよ。実はこの曲は今回1番最初にレコーディングした曲なんだ。この曲が出来上がった時に、「これだ!」と思って、アルバム全体をこの路線で進めることに決めた。60年代のFarfisaのオルガンを持っているんだけど、素晴らしい音が出るんだ。この曲のメイン・メロディはこのオルガンなんだよ。オルガンをディストーションやオーバードライブとリヴァーブに通すと格好いい音が出る。この曲はアルバムの中でもフェイバリットだね。

クリント・イーストウッド主演の映画
『続 夕陽のガンマン』のDVD

— 4曲目の“Loco’s Lament”はタイトルが印象的ですが、この意味は?

Tommy:“ロコ”というのは、架空の映画の登場人物の名前なんだ。『The Good, the Bad and the Ugly』に、“汚いやつ”トゥーコという登場人物がいるんだけど、それを参考にして、スペイン語で“クレイジー”という意味でもある“ロコ”っていう名前の登場人物がいたら面白いんじゃないかと思ったんだ。そのロコっていうキャラクターが、自分が犯した罪に対して悲しんで嘆いている、というストーリーを想像してみた。この曲には、悲しみが入っているから、こういうタイトルにしたんだ。

— 5曲目の“The Man From Califas”について教えてください。

Tommy:“Califas”というのは、チカーノ時代のスペイン語のスラングで“カリフォルニア”という意味なんだけど、これはチカーノ・ムーヴメントへのリスペクトをこめたタイトル。カリファスはカリフォルニアのことで、カリフォルニアはもともとメキシコの一部だった。要は土地が奪われただけなんだよ(笑)。
“カリファスの男”というのは、カリフォルニア出身の男が街にやってきて、悪人を退治するイメージなんだ。

— 6曲目の“Handful Of Hell”は、タイトル通りのサウンドで、ファンキーでサイケデリックな曲ですね。

Tommy:これは力強くてダークな曲。同じくマカロニ・ウェスタンのテーマに基づいた曲なんだ。『Fistful of Dollars』のタイトルにインスパイアされて、タイトルは“Handful Of Hell”にしたんだ。映画のタイトルを使って言葉遊びをしてるんだよ。

— 7曲目の“The Last Stand”はピックで演奏したベースラインが印象的でした。

Tommy:俺はピックを使って、手でミュートさせながら演奏するベースのスタイルが好きなんだ。ピックで演奏するとき、指と演奏するときでは、ベースのサウンドが全く違う。ピックでベースを演奏することは不得意なんだけど、出てくるサウンドは好きなんだよ(笑)。
キャロル・ケイは、ピックでベースを演奏する女王なんだよ。60年代から70年代初期にあったベース演奏のスタイルなんだ。

— デヴィッド・アクセルロッドのレコードを思い出しました。

Tommy:まさにそのサウンドだね。

ブルース・リー主演の映画
『ドラゴン怒りの鉄拳』のDVD

— 8曲目の“Sticks Of Fury”は格好いいラテン・ファンクでしたね。

Tommy:“Sticks Of Fury”はお気に入りなんだけど、ブルース・リーの映画『Fists Of Fury(ドラゴン怒りの鉄拳)』のタイトルをもじってるんだ。“Sticks”という言葉をタイトルに入れたのは、ボンゴのリムをスティックで叩いたから、そのパーカッションの音をタイトルに反映させたかったんだ。この曲の楽器は全部俺が演奏している。

— 9曲目“El Bandito”のギターも格好良かったですね。

Tommy:盗賊が町にやってくるイメージの曲。町の人々は窓からその男を眺めて、どんなトラブルを巻き起こすのかを心配しているというイメージだね。

— 10曲目の“Los Dias Del Oro”のタイトルの意味は?

Tommy:「黄金の日々」という意味だよ。この曲はアルバムで一番ハッピーな曲なんだ。ピー・ウィー・ハーマンがもしマカロニ・ウェスタンの映画に出演したら、こういう曲になるだろうね(笑)。
キーボードが遊び心があって軽快なんだ。「黄金の日々」というのは、「楽しかった頃」という意味なんだけど、西部劇の連中が、お金持ちだった頃を思い出すというイメージだね。 “Handfull of Hell” みたいなタイトルはとてもヘビーだけど、この曲のヴァイブスはもっとハッピーなんだ。

— 11曲目“Phantom Rider”はタイトル通り、悪党をイメージさせるサウンドの曲ですね。

Tommy:悪党が馬にのって町にやってくるイメージだね。町の人々は、「誰だあいつは?」って思うんだよ。速いブレイクビーツを見つけて、そこに楽器をのせたらこの曲ができたんだ。

— 12曲目“Hombre Sin Nombre”のタイトルの意味は?とてもメランコリックで内省的な曲でしたね。

Tommy:スペイン語で「名無しの男」という意味。曲のフィーリングにぴったりのタイトルだと思ったんだ。この曲は、マット・ロドリゲスがパーカッションを演奏してるんだ。彼はモンティのスタジオにきて、そこでパーカッションをレコーディングしたよ。

Tinariwenのアルバム
『Tassili』

— 14曲目 “The Viper”はラテン・ファンクでしたが、トミーが歌ってるのでしょうか?

Tommy:バッキング・ボーカルは俺が歌っているよ。この曲のギターは、マリの砂漠出身のTinariwenというグループに影響されてるんだ。マリの遊牧民がやってるロック・ミュージック。ボンビーノという若手のギタリストがいるんだけど、彼はサハラ砂漠のジミ・ヘンドリックスみたいな存在だよ。彼らのライヴをサンフランシスコの北の小さい会場で見たんだけど、本当に素晴らしかった。

— 15曲目の“Specter City”は格好いいインスト・ヒップホップでしたね。

Tommy:DJシャドウとかモ・ワックスっぽいフィーリングに似ていると思うんだ。モンティがこの曲を最後にするといいんじゃないかと提案してくれたんだ。これはピアノの音色から作り始めて、そこからどんどん音を追加していったんだ。オールドスクールなブレイクビーツ・コラージュっぽい曲なんだけど、ギターも演奏してるよ。

— ジャパン・ツアーを10月に控えてますが、どんなツアーになりそうですか?新曲を主に演奏しますか?

Tommy:できるだけたくさんの新曲を演奏したいとは思っているよ。新作はキーボードを使ってる曲があるから、どのくらい新曲を演奏できるかまだ分からないんだけどね。でも日本に行くのはすごく楽しみにしているよ!

— ファンにはこのアルバムから何を受け取ってほしいですか?

Tommy: アルバムを気に入ってくれると嬉しい。このアルバムは1人で作り上げたわけだし、聴きながら旅に行ったような感覚になれると思う。 日常生活から離れて、全てを忘れて聴いてほしいね。

Tommy Guerrero『No Man’s Land』

2012年9月26日(水)発売

RUSH! PRODUCTION/AWDR/LR2
DDCN-6001/2.520円
Released by RUSH! PRODUCTION x AWDR/LR2 / BounDEE by SSNW

Liner Note:Hashim Bharoocha
Artwork:Dave kinsey
Released by Too Good×RUSH! PRODUCTION

【Track List】
1. The Loner
2. The Gunslinger
3. The Stranger
4. Loco’s Lament
5. The Man Fram Califas
6. Handful Of Hell
7. The Last Stand
8. Sticks Of Fury
9. El Bandito
10. Los Dias Del Oro
11. Phantom Rider
12. Hombre Sin Nombre
13. Duel In The Dust
14. The Viper
15. Specter City

Tommy Guerrero Japan Tour 2012

10/4(Thu) Nagoya@ BOTTOM LINE
問い合わせ先:052-741-1620
詳細: http://www.bottomline.co.jp

10/5(Fri) Kanazawa@ MANIER
問い合わせ先:IMART 076-263-0112 / CASPER 076-232-5293
詳細: http://mairo.com/manier/

10/7(Sun) Shizuoka@ SOUND SHOWER ark
問い合わせ先:WIGWAM 054-250-2221
詳細: http://www.ark-soundshower.jp/

10/8(Mon) Kyoto@ Club METRO
問い合わせ先:075-752-2787
詳細: http://www.metro.ne.jp

10/9(Tue) UMEDA CLUB QUATTRO
問い合わせ先:06-6311-8111
詳細: http://www.club-quattro.com/umeda/
http://t.pia.jp/sp/tommy-guerrero/tommy-guerrero-sp.jsp

10/11(Thu) Tokyo@ duo MUSIC EXCHANGE
問い合わせ先:03-5459-8711
詳細:http://www.duomusicexchange.com/
http://t.pia.jp/sp/tommy-guerrero/tommy-guerrero-sp.jsp

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