カテゴライズされるならトップの方で
— そういえば「もう1回あのアメカジやってくれ」なんて要望とか結構ありませんか?
横山:ありますね。昔は一回作ったモノをもう一回やるなんて、ヤダなんて思ってたんですが。見たことない人がいっぱいいると言うか、求めてもらえるならっていうのもあって。でも東京のショップはどうしても尖った感じが好きですから、バランスは保たないといけないんですが。本当はもっと先に進みたいんですけど世代的にパワーがない。
荒木:だから僕ら、斜め前方向に行きがちなスタンスなんです。もっと前へ行く人たちが増えればいいのになぁと。
— 前に行く人になっちゃって欲しいですけどね。
横山:周りの刺激がおとなしいから、前のめりになってる状態だよね。
— ちょっと話を戻して。新ラインの「エオトト(EOTOTO)」に関してなんですが、やはりお二人ともネイティブな雰囲気がお好きなんですか?
荒木:そうですね。ずっと通常のラインに入れてたんですが、テーマ性が強くなると入れづらくなってくるんで今季から移したって感じです。
求められるので取り入れてますが、僕らにとってはもう過去の話なんで。作りも今の好みには変わってはいますけど。
横山:あくまでテイストなんで、ネイティブな人が作らない解釈の落とし込みにはしています。
荒木:ちょっと前に世の中的なブームはあったかもしれないんですけど、じつは結構昔からやってたんですよ。ネイティブ以外にもメキシコや、エジプト、チベットなんかも。まぁ、一部の人にしか伝わってなかったけど。(笑)
—そうですよね。ネイティブなんかも4年くらい前でしたもんね。
荒木:これもそのアメカジの時です。「FRONTIERSMEN」と題し、追いやられる側と開拓者側をテーマにして、ネイティブな感じとネルシャツで、みたいな。でも本気すぎる感じには持って行かずに。
本物過ぎる盛り方って、行き過ぎになってしまって、せっかくのムーブメントを逆に衰退させちゃうんじゃないかって思ってるんで。
それは、がっつりカッコいいのをキメキメで出来ないっていうのもあって。
横山:「これ系」っていう系統に自分を置きたくないし。
荒木:逆につかみ所のなさとか、ずらし方をカッコ良く捉えたいなと。
横山:カテゴライズされるくらいならトップの方でカテゴライズされたいよね。
— 「サスクワァッチ系」だ(笑)
横山:フォロワー出て来ないかなぁと、ずっと思ってるんですけどねぇ。
— じゃあ、新しい表現方法で何かやって先駆者になってしまっては?
横山:そうですね。でも、ショーで表現って訳にはいかないですし… まず作り方が変わっちゃうから。ランバンみたいなセクシーさを演出できるのなら別だけど、自分らには無いし。
僕らは毎シーズン濃いテーマを持ってクリエーションしているんだけど、服だけじゃなく、徐々にエキシビジョンを新しい形で見せられたらいいなぁとはずっと考えてます。
荒木:こっち側にもカッコいい事やってるのあるよ、ってジャンルレスに、ワールドワイドに伝えられる様な。
— まさに。早くそれを見つけて、突き抜けて欲しいです。
横山:やりたいコトっていうのは、自分たちだけでって言うより… 同じ感覚の人達を巻き込んで。それは洋服だけじゃなくて。
そういう繋がりがあっても、そろそろイイんじゃないかなぁって。実力はみんなあるんだし。
荒木:今回のショップも嗅覚や視覚が一緒な人達だったからニュアンスで伝わりましたからね。だからこんな短期間でできたと思うし。
— そういう繋がりを大きくしていって突破口を作ってください。もちろん全力で協力させてもらいますんで。僕らの世代が、ある意味最後の砦な気もしてますから。
横山:もしダメだったらアジア方面に持ってかれちゃう様な気がしますよね。
世界中が「東京がおもしろい」って言ってくれてたのに、なんだか飽きられちゃいそうだし。
だから頑張らないと。早く諸先輩方に追いつかなくては。
荒木:でも先人と同じ事をしてもしょうがないし、僕らは何か違う形で表現していろんな人達に認められたら嬉しい。じゃないと、僕らいつまでもB面のままなんですよ。なんかB面(笑)
— しかも、オートリバースされないB面(笑)
荒木:いろんなブランド見てると、A面とB面に分かれてて。ガチャってA面に変わる瞬間とかが見える(笑)
— 「あっ!いま変わった」みたいな。
横山:僕らも認められて、早くA面に変われるように。でも、もちろん今のやり方のままで。
— でも、気がついたらサスクワァッチが変な感じでA面に変わってたら笑いますけどね。
荒木:そしたら「すいません」って(笑)
(一同笑)
— 何はともあれ、新しい表現で登り詰めていくことを期待していますよ。とりあえず僕ら、真正面から向き合って全力で協力させていただきますので(笑)頑張ってくださいね。
今日はありがとうございました。
案の定、ショップの話からとんでもない方向へ脱線しまくりでした(笑)
でも、これがサスクワァッチファブリクスらしさのような気がします。
この雰囲気を持ったまま、ドーンって音を鳴らして是非新たなA面を形成して欲しいですね。
次のページは『Clusterが選ぶSASQUATCHfabrix.2008秋冬コレクション』です。
横山大介氏と荒木克記氏の2人で構成されたデザインユニット。
SASQUATCHfabrix.のデザイナーとして活動する他に、ミュージシャンやコレクションブランド、ユニクロなどへのグラフィックアート提供を行なうなど次々に活躍の場を広げている期待の有望株。