加山氏、ビートルズのこと、後輩だと思ってるからね（笑）。（カレー屋まーくん）
— 東京に戻って来てから、連絡を取り合うようなことはあったんですか？
PUNPEE：いや、それこそ今回の企画が初めてじゃないですかね。
カレー屋まーくん：まぁ、1、2回はどこかの現場で会ってるかもしれないけどね。俺はわりとどこにでも出現するんですよ。ヒップホップでも、テクノでも、ハウスでも。
PUNPEE：『田中面舞踏会』でカレー作ってたりね。まぁ、そういうのはあるんだけど、とにかく一番最初が強烈だったから、アナログを自分の知識できちんと集めるまでは、まーくんとは絶対に共演しないって考えてました（笑）。
カレー屋まーくん：あれ？ じゃあ初めて共演したのっていつ？
PUNPEE：たぶん『大三元』じゃないですかね。
カレー屋まーくん：あー、そうかそうか。なるほど。
PUNPEE：でも、まさか、あの第一印象からこういう形になるなんて。面白い感じには仕上がりましたかね。
— じゃあ今回の話が出る前に2人で会ったことは………
PUNPEE & カレー屋まーくん：ないっすねー。
カレー屋まーくん：いや、でも俺はPUNPEEが嫌いな訳じゃないんだよ！ 解釈によってはケンカを売ってるみたいに思われるかもしれないし、実際に初対面でいきなりダメ出ししてるけど（笑）。
PUNPEE：まぁ、そんな経験もあまり無いので、貴重ではありますけどね。
カレー屋まーくん：ほんとに嫌いとかじゃないから！ なんていうか、「若い子たちにPUNPEEが誤解されるのはよろしくない！」ってギアが入っちゃったんでしょうね（笑）。PUNPEEはもの凄く真面目に地道な事をやった結果として今があるんだけど、それをみんなが理解してる訳じゃないから。それこそ、一緒に今回のリミックスをやって、PUNPEEのどこが凄いのかを理解して、若い世代のヒップホップを自分なりに解釈出来るようになりましたけど。
— でも、そうすると今回の企画をスタートさせる前のまーくんはPUNPEE君にとって、あまり印象の良くない人な訳じゃないですか（笑）。そういう人からいきなりリミックスのオファーをもらうっていうのはどういう感覚だったんですか？
PUNPEE：いざ自分にオファーが来た時には「これであの時のバチバチ感が消化出来るかな？」って思いましたね。あとは単純にビックリしましたよ。アクロバティックすぎて（笑）。
カレー屋まーくん：なんだよそれ。全然分かんないよ（笑）。でも、実は今の状況は、自分でも全然意味が分からないんですよね。最初は俺とPUNPEEと加山さん、3人でやっていたプロジェクトなんですけど、いつの間にかどんどんと関わる人が増えていって、しかも、その旗を振っているのが自分だってことに今でも全然現実味が無い。けど、このメンバーは今の東京でモノを作るにあたって、ある意味では最強の布陣だと思っていて、今回のリミックスも自分の親とかおばあちゃんにまで届く可能性を秘めたモノだとは思うんです。まぁ、僕のクレジットは本来必要ないものなんだけど、ここに僕の名前が入っていることによって、プロジェクト自体が超サイケデリックな仕上がりになるかなと思って。
PUNPEE：ほんと、気付いたらどんどん人が増えてましたよね。ミックスを担当してくれたTsuboiさんも、PVを担当してくれたGhetto Hollywoodも最初から関わる予定だった人ではないんです。
加山雄三のアルバム『加山雄三 ベスト40』
— この企画をやり始める前は、加山雄三という人物にどのようなイメージを抱いていましたか？
PUNPEE：実際、有名な曲しか知らなかったですね………。
カレー屋まーくん：そうだね、”サライ”とか”君といつまでも”とか。ほんと一般的なイメージと変わらないですよ。ただ、冒頭で話したようにマネージャーを間に挟んで”加山雄三伝説”はたくさん聞いていたので、まぁ、なんとなく「あぁ、普通の人間ではないんだな」ってことは分かっていました（笑）。
PUNPEE：僕はこの企画が決まった後から色々な”伝説”を知ったんですけど、もうマジでやられましたね。
カレー屋まーくん：一言で言えば超人なんですよ。自分が78歳になった時、絶対にあんな風ではいられないと思います。
PUNPEE：まず、生野菜を食べないんですよ。
カレー屋まーくん：「あんなのやぎが食うモノだ」って（笑）。
PUNPEE：マクドナルドのハンバーガーのパン抜きと、コーラがめちゃくちゃ好きなんです。
カレー屋まーくん：で、暇さえあればずっとゲームをやってるらしいよ。
PUNPEE：『バイオハザード』の記録を持ってるんですよ。だから、アナウンサーの鈴木史朗さんと話すと凄い盛り上がるらしいっす。
カレー屋まーくん：てな感じで、お会いする度に毎回すごい話を聞かせて頂いてます（笑）。
The BEATLESのアルバム『Rubber Soul』
— PUNPEEくんも加山さんに実際にお会いしたんですよね？
PUNPEE：はい、会いましたよ。自分のCDを持って行って、ヒップホップを聴きながら、一緒に焼き鳥を食べました。とにかく、新しいものにすごく興味がある人なんですよ。それで、「これは何なの？ どうなの？」って分からないことは何でも聞くんです。
カレー屋まーくん：あとは何と言ってもケネディハウスの話だよね。
PUNPEE：銀座にケネディハウスっていうライブハウスがあるんですけど、加山さんはそこに毎月1回、必ず出演していて。
カレー屋まーくん：ケネディハウスのオーナーと加山さんは学生時代からの友達で、ケネディハウスが潰れそうになった時、その友達を救うために「毎月ノーギャラ、焼き鳥5本でライブしてやるよ。」って約束したらしいんです。その時の約束を守って、今でも毎月、焼き鳥5本でライブをやってるみたいなんです。
PUNPEE：あとはビートルズが来日した時に、一緒にメシを食って、お互いのアルバムを聴かせ合ったとか。その時に聴かせたのが、”お嫁においで”が入っているアルバムだったらしいです。
カレー屋まーくん：加山氏、ビートルズのこと、後輩だと思ってるからね（笑）。
PUNPEE：こんな感じで、ここでは話しきれないくらい”加山雄三伝説”っていうのが色々ある訳ですよ。