きっかけはなんでもいい。とにかくトライしてみる。

—そんな中、栗原さんから見て今の帽子業界の状況ってどのように変わったと思いますか。

栗原社長：洋服もですが、帽子も全体的に価格が下がっていますね。特にボリュームゾーンだった5,000円〜10,000円前後の価格帯がかなり減少してしまったという印象があります。逆に、ファストファッションと同じような低価格帯が増えたので、我々が中価格帯のアイテムを作るのをやめてしまったら、良いものを選びたいという帽子好きの人たちの受け皿がなくなってしまいそうで。このボリュームゾーンは守っていかなければという危機感を感じるとともに使命感もありますね。あとはいい洋服を着ていても、合わせる帽子一つで台無しになってしまうこともあるので勿体無いなって。

—男は靴と帽子だけいい物だったとしても、よく見えたりしますもんね。

栗原社長：そうなんですよ。どこかにポイントがあると全体が引き締まって見えますしね。あと最近は、ファストファッションが台頭しているからこそ、オシャレな人はオシャレに見えるのかなと思います。特に若い子。彼らの年代だと、みんなそれなりのお洒落を楽しんでいるけれど、その中で突き抜けている子がいるとやっぱり目立ちますよね。

—それでは、逆に帽子に抵抗を感じている人に関してはどうお考えでしょうか。

栗原社長：これは、多分かぶりなれていないからそう感じてしまうんだと思います。自分が似合う洋服が分かるのは、毎日着ているからなんですよ。帽子も同じで、かぶる回数が増えれば自分に合ったシルエットやカラーが分かるようになってくる。そして、ないとトータルがまとまらなくなってくるんですよね（笑）。きっかけは、朝のヘアセットが面倒だとかなんでもいいと思います。まずは、とにかくトライしてみるのがいいんじゃないでしょうか。

—最後に、今後の展望はありますか。

栗原社長：もともとこのoverrideっていうのは、1999年の世紀をまたぐタイミングに差し掛かった時に、会社的にも時代を乗り越えないといけないムードがあって、それで作られた社内のスローガンなんです。それが、ブランド名でも同じ意味を込めて採用されたんですよね。今も当時とは時代のムードが変わって、また乗り越えなければならない壁がどんどん出てきているので、このリニューアルを機に今まで我々が作ってきたoverrideをさらに乗り越えていけたらなと思っています。

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