Photo:Kisshomaru Shimamura | Interview、Text、Edit:Keita Miki
— インタビューの企画に登場してもらうのは、YOUNG JUJU時代のファーストアルバム『juzzy 92’』のリリース時にやらせてもらったJJJくんとの対談以来になりますね。当時はKANDYTOWNのソロアルバムとリリースが重複していたこともあり、「さすがにこの1年間でラップしすぎました」と話していましたが、そう話していたわりには、この4年間、コンスタントに活動していた印象があります。
KEIJU:色々と考えてはみるものの、結局はラップしか出来ないんですよね。何をやるにしてもラップを中心に考えてしまうので、改めてラップしかやることが無いなって感じで(笑)。
— 『juzzy 92’』以降、tofubeatsの”LONELY NIGHTS feat.YOUNG JUJU”、Awitchの”Remember feat.YOUNG JUJU”、清水翔太の”Drippin’ feat.IO & YOUNG JUJU”など、素晴らしい客演を通じて、飛躍的にKEIJUくんの存在が世に知れ渡ったように思います。
KEIJU:客演として呼んでもらえるだけでもありがたいことですし、様々なジャンルの方と一緒にやることで、色々な気付きもありましたね。皆さんの曲作りに対する姿勢を見ていて、自分たちが地元でやっていたのとは、かなり違う部分もあったし。ライブで、一緒に客演した曲をパフォーマンスする機会も多かったのですが、ステージ上での振舞いだったり、そういう部分からも大きな刺激をもらいました。ただ、自分としてはここ2、3年、そこまでラップをバリバリやっていたつもりは無くて。そう考えると今回リリースされた『T.A.T.O.』では、久々に「ラップしたな~」っていう実感があります。
— 『T.A.T.O.』は客演も最小限だし、ビートもメロウで、全体的にタイトなイメージ。『juzzy 92’』に近い感覚を覚えました。メジャー契約後のファーストアルバムとしては、もっと豪華なというか、派手な見せ方も出来たとは思うのですが、あえて自分のスタイルを貫いたということでしょうか。
KEIJU:『juzzy 92’』をリリースして、色々と客演をやらせてもらっていた頃って、ちょうど自分の活動に限界を感じでいた時期で、「新しいモノを作ろう、広めよう、挑戦しよう」っていうマインドだったんですよね。リスナー受けを狙っているとかでは無く、「メジャーだし、何か今までと違うことをやらないと」って感覚になっていて。でも、自分の中では当時から、また自分のソロアルバムを出す時が来たら、その時は自分の好きなもの、タイトなビートや好きな音楽をより広い層に広めていくというか、自分のことを客演をきっかけに好きになってくれた人たちに「自分はこういう音楽が好きで、格好良いと思ってる」ってことを再度提示出来るようなアルバムを作りたいと考えていたんです。なので、『T.A.T.O.』に関しては、意図的にキラキラしたものとか、メジャーっぽい要素を、ギリギリのラインまで抑えたというか。1曲1曲、全部PVを作れるような楽曲にすることもやり方によっては出来たんでしょうけど、そうでは無く、『juzzy 92’』で自分がやっていた音楽、10代の頃から仲間と共有してきた音楽を、改めて今の感覚でやりたかったんです。
— もちろん、細かな部分で『juzzy 92’』からの進化はあれど、ということですよね。
KEIJU:あくまで、自分の中での進化って感じですけどね。新しく自分の音楽を聴いてくれる人たちの心を掴めるような曲も書いたつもりではいます。それと同時に、自分は”Troubles”みたいなタイトにラップして、フックにヘタメロが付いてるって曲が好きで、「本当はこういう曲がやりたいんだよね」ってことをリスナーにも感じてもらえたら良いなと。
— 4年前と大きく変わったことで言うと、先ほど話していたようにメジャーレーベルとの契約があると思いますが、何か自分の中での変化はありましたか?
KEIJU:今までは作った曲を、デモの段階で、地元の友達とか同世代の人に聴かせて意見をもらうことが多かったんですが、メジャーに入ってからは基本的に年上の人に意見を聞くことになるので、そういう意味では大きく変わったのかもしれません。自分のチームにはヒップホップの先人たちのリアルな姿を見てきている人達が多くいるので、そういう方々の意見はとても参考になります。上の世代の人たちにもちゃんと聴いてもらえるようなヒップホップを作りたいと思うようになりましたね。あとは、メジャーは何事にも期限があるってことですかね(笑)。期限が近づいてくるとみんな顔色が変わってきて、「これがメジャーか……」っていう。
一同笑
— けれども、区切りが付くって意味では期限がきちんとしているのは決して悪いことでは無いですよね。最近はどんな音楽を聴いて過ごしていましたか?
KEIJU:アルバムの制作期間中は自分の曲ばかり聴いていたので、あまり新譜はチェック出来てないですね。MIXチェックに追われていて、他人のアルバムを聴く余裕が無くて……。今は、今年リリースされたアルバムを、後追いで少しづつチェックしている段階です。
— ちなみにアルバムの制作はいつ頃からスタートしたのでしょうか?
KEIJU:前回インタビューしてもらった時に既に2曲は出来ていて、そのくらいから作り始めた曲がほとんどですね。
— なるほど。では、0からのスタートというよりは、今まで作り貯めていた楽曲をブラッシュアップする形でリリースしたっていう。
KEIJU:一部、決め打ちで書いた曲もありますが、基本的にはまさしくその通りです。
— 『NIKE AIR MAX ZOOM 950』は『NIKE AIR MAX 95』の生誕25周年を記念したモデルということもあり、90年代に関する話も伺いたいのですが、KEIJUくんにとって90年代はリアルタイムでは無いですよね?
KEIJU:そうですね、90年代の終わりで8歳とかなんで……(笑)。大人になってから90年代の音楽は一通り聴きましたが、印象に残っているのはヒップホップよりもソウルとかR&Bの方かもしれません。
— 話ががらっと変わりますが、コロナ禍において、音楽に対する考え方に何か変化はありましたか?
KEIJU:さらっとめっちゃ深い質問しますね(笑)。そうですね、こういう状況下で音楽をやらせてもらっていること自体がすごくありがたいって想いは第一にありますかね。メジャーのアーティストとして、っていうと変な感じですけど、プロとしての自覚も強く芽生えたように思います。コロナ禍だからって訳では無いんですが、ここ最近で、そういう意識の変化は確実に自分の中にありました。やったことに対して悔いが残らないようにしたいし、だからこそ思い切りやりたいなと。
— アルバムをリリースしたばかりですが、次なる作品へのモチベーションはいかがでしょう?
KEIJU:まだまだ100%満足は出来ていないので、もっと良い作品を作りたいし、もっと色々な人に自分の音楽が届いて欲しいですね。自分自身納得が出来て、自分に声をかけてくれた人に「KEIJUで良かった」って思ってもらえるようなアーティストに上り詰めていきたいなと思っています。
— それでは最後に今回作ってもらったプレイリストの楽曲について解説をお願いします。
KEIJU:Jeff Buckley(ジェフ・バックリィ)の”Hallelujah”は自分が中学2年生の時にお洒落だな、格好良いなって思っていた先輩が、校舎のベランダで1人で聴いていた曲。当時はとにかく「この曲を聴いてたらイケてるんだ」って思っていて、めちゃくちゃ聴いた思い出の1曲(笑)。2曲目の”Bullet Proof Soul”は当時みんなSADEのアルバムを聴いてて、”Smooth Operator”が好きって人が多かったんだけど、僕は断然この曲が好きでした。大人の色気があって、ませてる感じが良い。Drakeの曲の中で、この曲の曲名がリリックに出てくるんですが、初めて聴いた時は「うわ、やっぱそうじゃん!」って思いましたね(笑)。今でも大好きな曲。
— 良い話ですね。”Brown Sugar”は?
KEIJU:”Brown Sugar”は当時、どこに遊びに行ってもかかってたんですよね。D’Angeloは全てがパーフェクトに格好良い。とても思い入れのある曲です。次の曲からは、自分の中での”90年代の夏”ってテーマでセレクトしていて、どれも青春時代に良く聴いた曲で、”夏が来た”って感じがします。特にMa$eはみんながThe Notorious B.I.G.とか2Pacを聴きあさっている時代に、なんか自分はMa$eにハマっていて、Ma$eのビートをジャックした曲も何曲か録ったくらいに好きでした。声と柔らかいノリが最高です。足し引きがすごく上手で格好良いんです。なんか一時期、牧師になったり、おかしな事になっていましたが、そういうところも含めて好き(笑)。
— やってましたね、牧師。
KEIJU:で、やっぱりJay-Z。Jay-Zは一番好きなラッパーですね。出してるアルバムも全部好き。90年代のアルバムもビート感がゴージャスで、全然古い感じがしないんです。都会な感じがフィールするというか、Jay-Zのスマートでリッチな思考にはなんか共感していますね。次の曲からはオチの部分なんですけど、自分は本当はこういうテンションが好きなんです、って曲を選びました。ドープなループしているビートに、簡単な英語をスピットするようなラップが乗る感じ。Nipsey HussleはJay-Z、J.Coleと並んで、自分がずっと好きなラッパー。”Overtime”は好きなラインがあって、”Life’s a bitch, lady luck my woman Forever you my lady, I’m your fuckin’ nigga”って4小説なんですけど。Nipseyのラップって要所要所にパンチラインが出て来るので、聴きこむごとに好きなラインが増えていきます。最後にA$AP NAST ft. D33Jの”Designer Boi”は最近出たばかりの曲なんですけど、とにかくオシャレ。NASTがインタビューで「お前がオシャレできるまでお前の音楽を聴くつもりはない」ってなことを言っていて、すごくニューヨークの人っぽいというか、音楽、ファッション、カルチャーを大事にしているからこその発言だと思いました。これは他の曲とは鳴りが全然違って、まさに2020年って感じなんだけど、気取ってなくて格好良いです。皆さん、ぜひ聴いてみて下さい。
『NIKE AIR MAX 95』のオリジナルカラーでもあり、日本では社会現象にもなった通称”イエローグラデ”からインスパイアされたカラーリングは、真新しいシルエットながらも『NIKE AIR MAX 95』の面影や、”イエローグラデ”を彷彿とさせる雰囲気を表現。
アッパーには軽量で通気性に優れたモノメッシュ素材や、柔らかく足馴染みの良いネオプレーン素材をシュータンや履き口に採用するなど、快適さに重きを置きつつ、メッシュ感や、つま先のディテールなど、『NIKE AIR MAX 95』のデザイン要素を受け継いでいる。
また、ソールには、かかとと前足部にクシュロンフォームを用いており、心地良いクッション性を実現。270マックスエアとフォアフットに搭載された、2つのビジブルズームエアユニットも見逃せない。
販売はatmosのオフィシャルサイト(抽選を受付中)、SNKERSにて実施予定だ。
【商品のお問い合わせ先】
atmos customer center
TEL:03-6629-5075
https://www.atmos-tokyo.com/
発売中(各種ストリーミングサービスでも配信中)
品番:AICL-3848
価格:2,500円 + 税
■収録曲
1.Intro
2.Blonde
3.Let Me Know
4.Hold You Down feat. MUD
5.Troubles
6.Civility and Integrity
7.Play Fast feat. Gottz
8.Nowhere feat. 3House
9.Sonatine
10.T.A.T.O.
11.Bound For Glory
12.I Get Lonely
13.Remy Up feat. IO