Mastered Suit Style:男は黙ってスーツでしょ。

by Mastered編集部

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Q1:自分のスーツスタイルのルーツを教えてください。

中田:僕ら、BEAMS+のスタイルというのは一言で言えば“王道”です。同時にそこが僕のルーツでもあり、僕個人で言えば、王道以外はやってないといっても過言では無いかもしれませんね。お客様にお勧めする際は、もちろんミックススタイルも含めて様々な形でご提案させていただいてるんですが、僕個人のルーツというか、僕が着るものに限定すると基本的なスタイルということになります。より正確に言えば「アメリカントラディショナルにおいての王道」ということですね。例えばイギリスのトラディショナル、イタリアンクラシックなど、他にも様々な“王道”があると思うのですが、僕らがBEAMS+として提案するのは、あくまでもナチュラルショルダー、ボックスシルエット、三つボタンというようなアメリカントラディショナルとしての王道です。僕はBEAMS+という部署が立ち上がった時から携わらせてもらっているのですが、アメリカントラディショナルのスーツというのはBEAMS+にとって欠かせないユニフォームの1つですので、今後も更に追求していきたいなと思っています。

Q2:スーツを着るときに気をつけるポイントは?

中田:実際お客様に提案する際には、出来る限りお客様に自由なスタイリングを楽しんでいただきたいので、僕らの方から「こうじゃないとダメですよ!」って指摘をすることは無いのですが、個人的に気をつけているポイントとしてはこれも“ズバリ”という王道のポイントになりますね。先ほど話したナチュラルショルダー、ボックスシルエット、三つボタンというところであるとか、チーフの入れ方をTVホールドにしたりだとか。ネクタイもきわめてベーシックなレジメンタルストライプを選ぶようにしていますが、アメリカントラディショナルの基本としてイギリスタイプ(左から右に流れる)とは逆にするというのがあるので、そのスタイルを忠実に守るようにしています。要するに、流行よりもベーシックという部分を重視するってことですかね。ベーシックが分からないと、必然的に外し方も分からなくなると思いますので。

Q3:スーツを着るようになって、何か変わったことはありますか?

中田:やはりスーツの仕立て、つまりはコンストラクションの部分を見るようになったという点ですね。どうしても自分達のやっているものが基本にはなってしまうので、それと比較して「ここはこうしてるんだ」、「ここをこうすることによって現代的に見えるんだ」っていう構造の部分を特に意識的に見るようになりました。元々僕らの部署はBEAMSの中でも作りとか素材っていう部分を掘り下げていく方ではあるんですが、スーツを見ることによってカジュアルを見直したりだとか、そういったことが以前より増えたように思います。

Q4:今日のスタイルにおけるポイントは?

中田:コットンのスーツを選んだというところですかね。春夏のスーツにおけるアメリカントラディショナルでのセオリーというか、非常にベーシックな物のひとつとして、ベージュのコットンスーツという物があります。着込んで行くことによって生まれるコットン特有のシワ感がすごく好きなんですよね。それで昔からベージュのコットンスーツといえば黒のニットタイという定説のようなものが長年BEAMSにはあるので、そういう部分も含めてコットンのスーツをもう1回着てみようかなと思いました。

Q5:自分のスーツスタイルにおけるアイコンとなる人物はいらっしゃいますか?

中田:やっぱり僕の憧れのアイコンというとジョン・F・ケネディになりますかね。アメリカントラディショナルのユニフォームを一番スタイリッシュに着こなせている人で、プライベートも含めて彼のスタイリングはすごくスマートで削ぎ落とされています。それを見て自分のスタイリングに落とし込んだポイントも多々ありますね。

Q6:スーツを選ぶときのポイントを教えてください。

中田:アメリカントラディショナルのスーツというのは1940年代から作られていて、ある程度大量生産されるものでもあるので、それを選ぶ基準というとまずは素材になるのかなと思います。何故かと言うと他のジャンルのスーツって、基本的にはオーダーメイドで製作すると思うんですよ。でもアメリカのスーツの作り方っていうのは、大量生産された物をその人の体型にあわせて直すというのが基本になるので、サイジングは個人個人の修正作業になります。そうなると一番最初にスーツを選ぶ基準というのはやっぱり素材になるのかなと。

Q7:昨年の震災以降、夏場のビジネススタイル=クールビズも変わってきたように感じられますが、クールビズについてはどのように考えていますか?

中田:僕はその件に関してはすごくポジティブに捕らえています。というのも今シーズンからクールマックス、インビスタさんと協力して、スーツを作っているんです。より快適な春夏のスーツを提案したいというところから、このプロジェクトはスタートしていて、秋冬に関しては逆にサーモライトとの取り組みも進めようかと考えていまして。BEAMS+では1945年から1965年、第二次世界大戦からベトネム戦争以前までのアメリカの20年間にフォーカスしているんですが、その時代ってアメリカが全てにおいて最も輝いていた時代なんです。例えばミリタリーで言えばその当時最先端であったMA-1のヘビーナイロンツイルであったりだとか、最もすばらしい素材を開発していた。だから、BEAMS+では現代の最高の素材をどうクラシックなものとコンビネーションさせるかということを常に考えているわけで、クールビズはその取り組みを飛躍的に進める大きな分岐点にもなりました。

Q8:スーツを学ぶとき、参考にすべきものは?

中田:スーツに限らず、ベーシックなものを格好良く着こなしているという意味では映画『卒業』のダスティン・ホフマンのスタイリングはすごく参考になると思います。

Q9:スーツを上手く着こなすコツはありますか?

中田:一番のオススメは購入の際に、自分の希望を全て店頭のスタッフに話すことですね。ご希望を伺えれば、それに対してどういったアプローチができるかという提案が出来ますので、結果的に一番良いスタイリングだとか物が出来るんじゃないかなと思います。本や映画から得た知識っていうのは結局自分で取り入れた物でしかないので、それが果たして正しいか正しくないのかという点は分からないじゃないですか。なのでそういった部分を店頭でのスタッフとのコミュニケーションで補うのはすごく意味があるし、楽しいことでもあると思うので出来ればなるべくコミュニケーションをとってほしいなというのが僕らのスーツ作りに対する思いです。

Q10:最後に、あなたにとってスーツとは?

中田:「仕事の時のユニフォーム」ですかね。アメリカントラディショナルが僕にとってのビジネスにおけるユニフォームでもあり、勝負服でもある。アメリカを一番表現できるユニフォーム=BEAMS+を表現できるものの1つでもあるのかなと。だから、出来ればこれをずっと続けていって、このベーシックなスタイルが「あ、BEAMS+っぽいよね」って言われるようになったら嬉しいですね。別の物でスタイリングをしていても「BEAMS+っぽい」と言われるのが僕らの理想です。

プロフィール

中田慎介(なかたしんすけ)

ビームス プラスの黎明期からショップに貢献し、現在では同セクションのバイイングを統括する。

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