その男、「MAD」につき。
MADSAKIの『正しいFUCKとBITCHの使い方教室』

by Mastered編集部

MADSAKI。1990年代からSK8THINGと並ぶ東京ストリートの伝説として脈々と語り継がれる彼の魅力を、端的な言葉で表現することは実に難しい。ある時は「ピストブームの第1人者」として、ある時は「カルチャーの仕掛け人」として、またある時は「Parsons School of Designを卒業したアーティスト」として語られるMADSAKIはどこまでも自由であり、何者にも縛られないその変幻自在なスタイルはあまりにも「MAD」である。

そんな同人物が全面監修を行った人気書籍第2弾『正しいBITCHの使い方』の発刊を記念した展覧会『正しいFUCKとBITCHの使い方展 by NAIJEL GRAPH with MADSAKI’s MADLINGUISH』が去る2月に中目黒 VOILLDにて開催された。今回EYESCREAM.JPではその会期中に開催されたMADSAKIによる「学校では教えてくれない英語教室」をエクスクルーシヴな書き起こし記事としてお届け。当日の会場の雰囲気を伝えるムービーとあわせて、じっくりと彼の『MADLINGUISH』を堪能してみて欲しい。

Photo:Masaya Fujita、Text&Edit:Keita Miki

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FUCKって言葉はめちゃくちゃ良い奴なんだよね。分かりやすく言うと、FUCKはバンドで言うところのドラマーなんだよ。

MADSAKI:英語教室とか言っといて何なんだけどさ、みんなはどんな時に「FUCK」と「BITCH」を使いたい? 例えばメールで使いたいとか、ビジネスで使いたいとか。

— ビジネスで使いたい!

MADSAKI:OK! じゃあ、まずは「FUCK」と「BITCH」の使い方に入る前に軽くお話をしたいと思います。僕は25年間アメリカに住んでいたんだけど、全然文法ができません。

一同笑

MADSAKI:会話は出来るんだけど、例えば「英語で論文を書け」とか言われたら、手も足も出ない。卒業論文を書いた時、先生に呼び出されて、「これは一体誰が書いたんだ? 妹か弟に書かせたんだろ!」って言われるくらいに英語が書けないです(笑)。だから、日本人は「英語」と聞くと堅苦しくなるけど、全然大丈夫。NYのタクシーの運転手も英語なんて話せないから。英語はフィーリングで楽しんだ方がいいよ。僕が一番最初に覚えた言葉は「Pearl Harbor」と「Fuck you.」だからね!

一同笑

MADSAKI:FUCKとかBITCHって言うと日本人は悪いイメージを抱くけどさ、特にFUCKって言葉はめちゃくちゃ良い奴なんだよね。分かりやすく言うと、FUCKはバンドで言うところのドラマーなんだよ。言葉のリズムを作ってくれる。会話の中で良く使うFUCKには何の意味もないの。ただ一生懸命、後ろでリズムを作ってくれている言葉で、FUCKは何も悪い事をしてない。まぁ、使い方を間違えると、時々ドラマーじゃなくてアクセル・ローズみたいになっちゃうんだけど。

一同笑

MADSAKI:例えば「This is a pen.」って文章、みんな一番最初に習うよね? 意味は「これはペンです。」。だから何?って感じだよ。ただのペンじゃんって思う。でも、ここにFUCKを入れると、いきなりペンが格好良くなる。「This is a pen.」を、

Yo! This is a goddamn motherfuckin pen!

って言うと、いきなりペンがサングラスをかけて歩き出す訳よ。普通に「これはペンです。」なんて言っても、面白くもクソも無いじゃん。あと大事なのは英語を話すときは体で表現すること。折角FUCKがドラムを叩いてくれてるんだから、精一杯、体で表現しないとFUCKが悲しむでしょ。

あと余談なんだけどさ、アメリカにいた時に気になったこと。これをやってくれれば、自由にFUCKとBITCHを使って良いから。例えばデパートに行って、他人がドアを開けてくれたとするじゃん、そういう時、日本人はみんな「Thank you.」って言わない訳よ。ドアを開けてもらったのに、何も言わないで中に入るのは「Fuck you.」って言ってるのと同じだからね? だから絶対にお礼は言いましょう。

じゃあ、次の話題。カフェでウェイトレスに「What do you like to drink?」って聞かれたら、みんなは何て答える?

— I fuck you!

MADSAKI:………あ、うん(笑)。そうそう、「Give me fucking coffee!」ってね。って、そんなことを言うと速攻で蹴りだされるからね、気を付けようね。本の中にも書いてあるけど、FUCKとBITCHだってTPOに合わせて使うことが大事だから。じゃあ、「What’s up?」って聞かれたら何て答える?

— Fucking good!

MADSAKI:………えっと、まずは1回、FUCKとBITCHを忘れようか。

一同笑

MADSAKI:大抵のアメリカ人は友達に会った時「What’s up?」って話しかけるんだけど、それに「I’m doing good.」って答えるのは、実はちんぷんかんぷんな答え方なんだよね。日本語で言うと「よう!」って話しかけて、「僕は元気だよ」って言われてるのと同じことだから。「What’s up?」と聞かれたら、「What’s up?」と答えましょう。これはFUCKとBITCH以前の問題だからみんな覚えておいてね。「What’s up nigga.」って言われたら、「What’s up? nigga.」で答える。この「nigga」は黒人の事では無いからね。「nigger」は黒人差別用語で、絶対に使ってはいけない言葉。日本人に「Jap」って言うのと一緒だからね。こっちの「nigga」はブラザーとか仲間って意味で全然違うから、使う時は注意してね。まぁ、使わないと思うけど。

一同笑

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