2019年LAクラフトビールの旅 前編

by Yu Onoda and Keita Miki

7 / 7
ページ

Dryriver Brewing

大曽根:そして、最後は、ロサンゼルス川を渡ったダウンタウンの外れにあるDryriver Brewingです。このブルワリーは、自家醸造に毛が生えたような本当に小規模なところでしたね。”SLOW BEER”というコンセプトを掲げていて、サワーなんかは木樽で寝かせて時間をかけてじっくり作っているんですけど、2年前からオープン時に出すビールを仕込んだほどの徹底ぶりで。同じ商売をやってる者として、その2年間の運営費用はどうしていたんだろうって(笑)。

— ”SLOW BEER”の本気度がうかがいしれますよね。

大曽根:そういう気合いが入ったブルワリーなので、売りはじっくり仕込んだサワーだったり、ワイルドエール系なんですけど、一般層向けのIPAもしっかり作っていて、それが(高級志向のグルメ・スーパーマーケットとして知られる)地元のホールフーズ・マーケットで扱われているのが興味深くて。

村越:どうしてそういうことが可能なのかというと、サンディエゴやポートランドはボトルショップが街のあちこちにあって、買える環境が整っているんですけど、LAはボトルショップが少ないうえに、ホールフーズは地産地消がテーマのスーパーだったりもするので、地元のものがフックアップされているみたいなんですよね。

大曽根:ここの内装も木のあたかみと重厚感を活かした洒落た感じなんですけど、ほどよく雑というか、そこまで気を使ってないところが好感度高かったですね。

村越:客層はヒップスター寄りというよりストリート寄りで、白人より有色人種のお洒落な人たちが多かったですね。

— 個人的にアメリカのビールカルチャーは白人中心という印象を持っていたので、意外な気がしました。

村越:僕もそういう印象を持っていたんですけど、LAは人口比率だと有色人種の方が多かったりしますからね。

大曽根:そういう意味で、LAのビール・カルチャーは独特なものがあって、かなり刺激を受けましたね。インナーシティのブルワリーは土地が広い郊外のブルワリーと比べて規模は小さいんですけど、作っているものはちゃんとしているし、こちらの想像以上にクラフトビールのカルチャーが日常生活に溶け込んでいるというか、根ざしているように思いました。あと、インナーシティのブルワリーはストリート寄りのヒップスター色が強くて、総じてお洒落でしたし、おじさんとか、そのお洒落さに対して、いい意味で物怖じしないんだなって(笑)。

【Dryriver Brewing】
671 S Anderson St, Los Angeles, CA 90023
https://www.dryriverbrewing.com
https://www.instagram.com/dryriverbrewing

後編:LA郊外編に続きます。