Photo:Shota Kikuchi | Styling:Hisataka Takezaki | Hair&Make-up:Masaki Takahashi | Model:Johnnivan | Text:Yuzo Takeishi | Edit:Atsushi Hasebe、Nobuyuki Shigetake
Johnnivanは2017年12月、Johnathan Sullivan(ボーカル)、Shogo Takatsu(キーボード)、Junsoo Lee(ギター)、Kento Yoshida(ベース)、Yusaku Nakano(ドラム)の5人によって結成されたインディーダンスロックバンド。翌2018年にはファーストシングル『Tomorrow Night / I Think Know You』をリリースするとともに、活動わずか4カ月でありながらオーディションを勝ち抜いて『りんご音楽祭』への出演を果たした実力派だ。2019年にはファーストEP『PILOT』を発表するとともに、『SYNCHRONICITY』や『SUMMER SONIC』でも盛り上がりを見せており、結成から3年、確実にその存在感を示している。
— JohnathanさんとShogoさんが知り合ったことが、バンド結成につながったということですが。
Shogo Takatsu(以下、Shogo):メンバー全員、同じ大学なんです。ジョナ(Johnathan)が後輩で入学してきたのですが、大学の音楽サークルで彼のパフォーマンスを見たときに「才能あるなぁ」と思って声をかけて、まずはこの2人でスタートしました。僕も子どもの頃から楽器をやっていたからか、人の演奏で本当にすごいと思えることって少ないんですけど、彼は上手いだけじゃない、オーラとか技術以上のものを感じたんです。
— その後は同じ大学内でメンバーを集めていったのですね?
Shogo:ジョナと一緒にやるうえでいちばん合うメンバーは誰かと考えて、3人選びました。歳はみんな違うんですけど、同じ音楽サークルでみんな知り合いではあったので、コミュニケーション的には問題なかったですね。
— ということは、Johnathanさんのパフォーマンスやキャラクターを軸にバンドを作り上げていったということですか?
Shogo:たしかに、メンバー選びはそれが軸になっています。一方で、始めた当初は方向性が明確ではなく、とにかく「新しいことをやりたい」ということだけが決まっていたので、どんな音楽性でも対応できる、柔軟性を持ったメンバーを選んだ感じですね。
— 方向性については、漠然としたイメージはあったのでしょうか?
Shogo:それはあったよね?
Johnathan Sullivan(以下、Johnathan):最初に言われたのは「Phoenix(フェニックス)っぽい音楽をできたらいいね」っていうことで、出発点はそこだったんですけど、試行錯誤していくうちに、だんだん今自分たちがやっている、いわゆるUSインディーとかダンスロックに近づいてきました。
— バンド名の由来について教えてください。
Johnathan:自分の名前を省略しただけ(笑)。
Shogo:バンド名をどうしようか話していたとき、「Johnnivanはどうですか?」って言ってきたから「あぁ、いいんじゃない」みたいな感じで決まったんですよ。ただ付け加えると、新しい音楽を作り続けていきたかったので、バンド名に意味は持たせたくないとは思っていたんです。そういう意味でもJohnnivanはよかったなって思いますね。
— たしかにUSインディーだけではなく、1970年代のUKロックや1980年代のニュー・ウェイブなどからの影響も感じられます。このような音楽性に着地したのはどういった試行錯誤があったのですか?
Johnathan:昨年のEPや今年リリースしたアルバムは、曲を書いているときに聴いていた音楽が、たまたまTalking Heads(トーキング・ヘッズ)だったり、David Bowie(デヴィッド・ボウイ)だったりしたので、その瞬間のインスピレーションで出来上がった感じですね。
— Talking Headsなどはみなさんの年齢からするとかなり前のアーティストになりますが、そうした音楽に触れたきっかけについて教えてください。
Shogo:たとえばRadiohead(レディオヘッド)だったりThe 1975だったり、自分たちの好きなアーティストのルーツがTalking Headsであることが多かったというのはありますね。どういったところから影響を受けているんだろうと思って興味を持って、改めてちゃんと聴いてみました。
Kento Yoshida(以下、Kento):僕は洋楽よりも邦楽を聴いて成長してきたので、このバンドを組みにあたって洋楽の深いところを聴き始めました。たとえばthe band apart(ザ・バンド・アパート)とか東京事変とか。もちろん、洋楽も少しは触れていたんですけど、70年代、80年代まで掘り下げてはいなかったですね。
Junsoo Lee(以下、Junsoo):自分は60年代、70年代のブルースロックとか、『Woodstock Music and Art Festival(ウッドストック・フェスティバル)』で熱かったバンドが好きなんですけど、それを今の時代に演るには全く新しくないし、上手く演るのも難しいと思うんですよ。それに、自分はTalking Headsとかニュー・ウェイブを聴き込んでいたわけではないけど、このバンドは単純にその時代の音楽を演るわけではないから、むしろ自分の資産とかを有効活用して、このバンドにアウトプットしている感じです。
— ダンサブルな楽曲でありながら、いずれも曲の長さがコンパクトに抑えられていますが、これは意図しているのですか?
Johnathan:最初は自分の好きなフレーズを繰り返していたりして、5分とか6分くらいになっているんです。でも、曲を意味のあるものにするために必要のない部分を削ぎ落としていくと、結果、曲の時間も構成も、短くてシンプルになっていく。特に『Students』の楽曲は、10曲それぞれやりたい方向性が違っていたのですが、結果的にはいずれも2分、3分しか必要なかったという感じですね。
— また、どことなく揺らぎのある雰囲気も印象的ですが、こうしたサウンドにたどり着いたのはどういった経緯からですか?
Shogo:その雰囲気を与えている1つの要因が音色なのだとしたら、僕のシンセの音作りが貢献していると思います。音色を完成させてから、さらに2歩、3歩踏み込んだ音作りを追求していて、誰もが使っているような音色とかフレーズは一瞬「あ、カッコいい」と思うんですけど、そこで一度立ち止まってさらに踏み込むというプロセスは、全員がやっていますね。「これで本当に納得しているのか、面白いのか、新しいのか」っていうのを自問自答して突き詰めた結果、今のサウンドになっていると思います。
Junsoo:メンバー全員、キレイすぎる音があまり好きじゃないんですよ。ねじ曲がった感じとか、ワンポイント欲しいっていう感覚を突き詰めた結果でしょうね。
— ジャケットのアートワークはJohnathanさんが担当しているということですが、これまでも、どこかでイラストは手がけていたのですか?
Johnathan:特に経験はなかったですね。ただ、アートワークも一旦僕が引き取ることで了解をもらって、作ってみたら「音楽とアートワークのイメージの乖離もなさそうだからOK」っていう感じでした。バンド名と同じですね。
— 線画のようなタッチにしたのはなぜですか?
Johnathan:イラストの知識は全然ないんですけど、作るうえで「シンプルに」「1色をメインに」っていうのは徹底してましたね。ロゴではないですが、そういったものになるようには考えて作りました。ファーストシングルの涙を流しているイラストは、バンドの結成直後に描いた落書きみたいなものを使いましたが、無意識のうちにその原点を活かしている感じです。