Lee『101』とNOT WONK – 2020年のパンクマインドを持ったバンドが語るスタンダード –

by Nobuyuki Shigetake

新進気鋭なラグジュアリー・ストリートの波やインディペンデントブランド、そしてメディアに上がるスタイルサンプルの数々など、さまざまな価値観の混在するなかに身を置く僕らは、たまに何を基準に服を選べばいいかわからなくなることがある。それは服だけでなく、音楽や食べ物においても同様だ。
本特集では、Lee(リー)が開発したデニムの元祖モデル『101』を、スタンダードと所縁のある多様なミュージシャンに着こなしてもらうとともに、”スタンダード”について、彼らなりの記憶を辿りながら再考。
今回は北海道・苫小牧を拠点に活動する3ピースバンド、NOT WONKが登場。メロディアスでパンキッシュなサウンドが耳に心地よい2015年発表のファーストアルバム『Laughing Nerds And A Wallflower』がいきなり好セールスを記録しつつも、その後、作風はアルバムを追うごとに進化。2019年6月にリリースしたサードアルバム『Down the Valley』ではパンクという枠に収まらない方向性を示し、高い評価を獲得した。
NOT WONKサウンドの根底にパンクがあることは明白だが、改めて、彼らのスタンダードは何かをフロントマンの加藤修平に確認すると、その答えには、パンクやロックに対する真摯なマインドが込められていた。
※本特集内に掲載されている商品価格は、全て税抜価格となります。

Photo:Shota Kikuchi | Styling:Hisataka Takezaki | Hair&Make-up:Masaki Takahashi | Model:NOT WONK | Text:Yuzo Takeishi | Edit:Atsushi Hasebe、Nobuyuki Shigetake

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人の手を借りることを意識できれば、今までの普通も変わってくる

shuhei kato(ボーカル/ギター)、kohei fujii(ベース)、akim chan(ドラム)で構成される北海道・苫小牧出身の3ピースバンド、NOT WONK。2015年5月にファーストアルバム『Laughing Nerds And A Wallflower』でデビューし、翌2016年には早くもセカンドアルバム『This Ordinary』をリリース。セカンドアルバムでも大きな進化を感じさせる内容だったが、続けて発表されたEP『Penfield』や、サードアルバム『Down the Valley』で聴かれる、枠組みにとらわれない楽曲の数々は、彼らの評価をさらに押し上げた。

— 2019年6月にリリースされた『Down the Valley』が好評ですが、バンドや自身の周囲に変化はありましたか?

加藤修平(以下、加藤):今までより周知されたかなっていう感覚はあります。『Down the Valley』はメジャーリリースだったので、それに付随した広がりはあったのかなとは思いますけど、大幅な変化や劇的な違いは感じなかったですね。

AMERICAN RIDERS 101Z(LM5101-500) 12,000円(Lee Japan TEL:0120-026-101)、USEDのTシャツ 10,400円(JUMPIN’ JAP FLASH TEL:03-5724-7170)、その他スタイリスト私物

— それはなぜですか?

加藤:メジャーとインディーでのやりかたがあまり変わらなかったからかも。「インディーでやることとメジャーでやることの違いを試してみたい」とか「メジャーで出すことのパワーはどれくらいあるんだろう」って考えて、自分たちで作ったものをメジャーで出す──リリースだけメジャーでやったんですが、結果的にはそれほど変化が出なかった。出どころがどうというよりも、顔の見えないスタッフや自分の手の届かない場所まで意図を伝えていったり、プロモーションなども含めてメジャーでやる強みを100%生かしていくやり方をしていかないと、メジャーレーベルと組む意義は感じづらいんだろうなっていう感触でした。

— 今回はレコーディングで東京に来ているということですが、それは4枚目のレコーディングですか?

加藤:今年中に4枚目を出したいんですが、その前にシングルを出しておきたいなっていう。

— 『Down the Valley』の高い評価を受けて、次のアルバム制作での変化はありそうですか?

加藤:メジャーでリリースしてもあまり差がなかったことを受けて、もう1回、自分らだけでやってみようと思いました。改めてミニマルに戻って、自分たちでやることと人の手を借りるということはどういうことかと言うことを考えるために2019年の年末に地元の苫小牧でワンマンをやったんです。自分たちが主催で、250枚のチケットに250通りのデザインをして、郵送で全員に送ったんですけど、楽しかったんですよ。自分でやったっていう実感があるし。もちろん、手の行き届かないところもありました。言ってみればDIYですけど、これってクオリティが最高になるときにやるべきだと思うんです。だから昨年末のワンマンは、「やった」っていう意義はあったけど、トータルのクオリティで考えたら、誰かにお願いしたほうが良かったんじゃないかとか、いろいろ見えてきた感じはありましたね。人の手を十二分に借りてやることを自分が意識できれば、それまで自分にとって普通だったことの意味が変わってくるんじゃないかって。

— 『Down the Valley』では大きな進化を感じたのですが、制作段階で特別な感情の変化はあったのでしょうか?

加藤:ファーストよりセカンド、セカンドよりサードっていう感じにステップアップはちゃんとしたくて、これまで、ファーストもセカンドも完成した瞬間は「良かったなぁ」とか思うんですけど、ちょっと時間が経つと聴けたもんじゃなくなるっていう……(笑)。なんか、イヤなところばっかり目に付くようになる。だから、毎回それをひとつずつ変えていく感じなんですよね。セカンドは音がぐしゃっとしてたんで、サードはもうちょっと音を精査した。うるさいだけっていうのも面白くなくなってきてたし。

— それがサウンドプロデュースに大きく表れたと?

加藤:そうですね。でも、今はもうサードがつまらなくなってるので(笑)、次のアルバムは結果だけ捉えるとすごく変わったと感じられると思います。

100年近い歴史をもつ『101』は多くのアーティスト、クリエイターに愛され続けているLeeの代表モデル。<>br/これからの季節は、ヴィンテージのバンドTシャツ、スニーカーと合わせて。

— ソングライティングはどういった形で行なっているのですか?

加藤:サードまでは僕が家でギターを弾き語りして最初から最後まで作ってるんですが、同時に「ベースはこうだな」とか「ドラムはここでスネアが入って」みたいのを頭の中で考えて、それをスタジオに入ったときに他のメンバーに伝えています。2人の雰囲気が出るように最初から作っておくっていうか、余白を残しておくみたいな感じですね。それに、曲を作る人間として「じゃあ、あとよろしくね」っていうのは無責任だと思うので、基本的にはゴールに到達するような方向付けを最初からしているつもりです。そのうえで出てくるパターンやフレーズは彼らのものなので、それを最終的に自分がジャッジするか、あとは最初から最後まで全部作るかのどちらかですね。

— イベントも含めて、いろいろとコントロールしていきたいタイプなんですね。

加藤:たぶんそうですね。全部自分でやって、「こうなったらいいな」とか「こうしたい」って思ったことがその通りに進んでいくのが好きなんだと思います。

NOT WONK
2010年、北海道苫小牧市で結成。
これまで元銀杏BOYZの安孫子真哉がプロデューサーを務めるKiliKiliVillaから2枚のアルバムをリリース。
2019年6月5日にメジャー初のアルバム『Down the Valley』をリリース。