Lee『101』とTENDOUJI – オルタナシーン随一のハッピーバンドが語るスタンダード –

by Nobuyuki Shigetake and Mastered編集部

新進気鋭なラグジュアリー・ストリートの波やインディペンデントブランド、そしてメディアに上がるスタイルサンプルの数々など、さまざまな価値観の混在するなかに身を置く僕らは、たまに何を基準に服を選べばいいかわからなくなることがある。それは服だけでなく、音楽や食べ物においても同様だ。
本特集では、Lee(リー)が開発したデニムの元祖モデル『101』を、スタンダードと所縁のある多様なミュージシャンに着こなしてもらうとともに、“スタンダード”について、彼らなりの記憶を辿りながら再考。
今回は、2014年に結成されるやインディロック・シーンで瞬く間に人気を獲得。2019年には『FUJI ROCK FESTIVAL』への出演も果たし、去る11月6日には初のシングル”COCO”をリリースしたばかりの4人組、TENDOUJI(テンドウジ)が登場。
彼らが放つのは、1990年代のグランジやインディロックからの影響を感じさせつつも、ハッピーオーラ全開で色彩豊かな楽曲の数々。そんな爽快サウンドを武器に、現在、”東京インディ/オルタナ・シーン屈指の愛されバンド”としてシーンを沸かせる4人に、結成の経緯や音楽遍歴について話を聞くと、その独特なグルーヴのベースとなる彼らのスタンダードが見えてきた。

Photo:Shota Kikuchi | Styling:Hisataka Takezaki | Hair&Make-up:Masaki Takahashi | Model:TENDOUJI | Text:Yuzo Takeishi | Edit:Atsushi Hasebe、Nobuyuki Shigetake

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「バンドをやろう」なんて恥ずかしくて言えなかった(モリタ)

モリタナオヒコ(ボーカル/ギター)、アサノケンジ(ボーカル/ギター)、ヨシダタカマサ(ベース)、オオイナオユキ(ドラム)の4人によって結成されたTENDOUJIは、これまでに”breakfast”、”BUBBLE POPS”、”FABBY CLUB”という3枚のEPと、アルバム『MAD CITY』を発表。その間、精力的なライブ活動はもちろんのこと、2018年から2019年にかけては国内外の数々の音楽フェスにも出演し、オーディエンスの心を掴んできた。結成から5年──疾走感と華やかさが共存する活動は、彼らのサウンドそのものだ。

(左上)アサノ
AMERICAN RIDERS 101Z(LM5101-500) 12,000円(Lee Japan TEL:0120-026-101)、Marvine Pontiakのストライプシャツ 33,000円(OVERRIVER TEL:03-6434-9494)、その他本人私物
(右上)モリタ
AMERICAN RIDERS 101Z(LM5101-500) 12,000円(Lee Japan TEL:0120-026-101)、O -のコーデュロイジャケット 37,000円(OVERRIVER TEL:03-6434-9494)、08sircusのロングスリーブカットソー 22,000円(08book TEL:03-5329-0801)、CONVERSEのスニーカー 12,000円(CONVERSE TEL:0120-819-217)

— そもそも、TENDOUJIはどのような経緯で結成されたのですか?

アサノケンジ(以下、アサノ):フロントの3人が中学の同級生で、ドラムが中学の一つ下の後輩。28歳のときにまず3人でバンドを組んで、その半年後にドラムのオオイナオユキを入れました。

— それまでに音楽活動は?

アサノ:バンドやったことないです(笑)。いや、ずっとやりたいっていう気持ちはあって、高校の頃から遊びでスタジオに入ってMONGOL800のコピーを演ったりしてたんですけど、本格的にオリジナル……みたいなのは、幼馴染みなんで恥ずかしくてお互いに言い出せなくて……。

— 恥ずかしい?

モリタナオヒコ(以下、モリタ):恥ずかしいですよー! 中学を卒業してからも、高校、大学とずっと一緒に遊んでて、みんな働き始めた頃に一度離れましたけど、それでも2人とかでは遊んでましたからね。そんな長い付き合いのヤツに「バンドをやろう」なんて恥ずかしすぎ。「アツいな、オマエ」みたいに言われますからね(笑)。

アサノ:そういうのを絶対に許さないようなグループだったんで。

モリタ:”アツい=ダサい”みたいに考える集団だったんですよ。地元がそうだったし、世代的にもそんな感じでしたからね。

アサノ:ただ、明らかにお互いにバンドをやりたがっているのは、10何年ずっと感じてたんですよ。

モリタ:会ったときにバンドとか音楽の話はするんですけどね。ただ「やろう」って話にはならない。

— 楽器の経験は?

アサノ:僕とヨッシー(ヨシダタカマサ)は小学校のときにクラシックギター教室に通ってて(笑)、ギターはなんとなく弾けるくらい。ヨッシーは軽音に入ってたよね?

ヨシダタカマサ(以下、ヨシダ):僕は高校のときにロック部っていうのに入ってて……。

アサノ:ダッセぇ〜!(笑)

モリタ:家に姉がいてGLAYの追っかけやってたんですけど、HISASHIモデルのギターを持っていて、それをなんとなく触ったことがあるくらい。人前で弾いたこともなかったので、バンドを始めるタイミングで練習した感じですね。

オオイナオユキ(以下、オオイ):僕は全くやったことがなくて……スタジオに初めて行ったとき、初めてドラムに触りました。

モリタ:だから最初のライブは超怖かったですね。何も分からないんで……。

— TENDOUJIというバンド名の由来は?

モリタ:初めてライブに出るとき、バンド名を決めなきゃいけないじゃないですか? そのとき、俺が中島らもさんの本を読んでいたんですけど、そのなかに”天童寺”っていう登場人物がいたんです。それで、恥ずかしいんですけどコイツらに「バンド名、TENDOUJIでいいかなぁ?」って聞くみたいな。でも、2人は全く興味示さなかったですね。「あぁ、いいんじゃない」くらいの感じ。本当に適当に決めた名前だから何の意味もない。

アサノ:僕ら全員、中学時代はサッカー部にいて、卒業してからも22〜23歳くらいまでフットサルやってたんですよ。そのチーム名が”FC柑橘類”だったんですけど、僕はその名前でバンドやると思ってましたからね。

モリタ:それは、俺が絶対にイヤで(笑)……っていうのも、FC柑橘類って当時の日本でいちばん怠惰な集団だと思うくらいヤバかったんですよ。今、バンドを始めて思うんですけど、本当にクソみたいな集団でしたからね。とにかく、人に対してディスりしかしない。「アイツ、才能ない」とか言いながら自分は何もやらない……なのに「オレは天才だから」とか平気で言うみたいな(笑)。そのマインドを引きずりたくなくて、とにかく名前は変えたかったんです。だから正直、バンド名は何でもよかったんですよ。

— 行き当たりばったりな感じがすごいですね……。

モリタ:今でもそうですよ。行き当たりばったりの連続。目標はあるんですけど、それも”何となく”。でも「これに出たいなぁ」とか「あの人と対バンしたいなぁ」とか考えていると、ひとつひとつドタバタしながら叶って、結果、今ここにいる感じですね。

(右上)オオイ
AMERICAN RIDERS 101Z(LM5101-500) 12,000円(Lee Japan TEL:0120-026-101)、古着のナイロンジャケット 13,000円(SKOOL Instagram @yuk_skool)、FILL THE BILLのキャップ 10,000円(FILL THE BILL MERCANTILE TEL:03-6450-3331)、DCBA by SON OF THE CHEESEのスニーカー 12,000円(BOADRIDERS JAPAN TEL:0120-32-9190)
(左下)ヨシダ
AMERICAN RIDERS 101Z 1954MODEL(LM6601-146) 22,000円(Lee Japan TEL:0120-026-101)、FILL THE BILLのレーヨンシャツ 21,600円(FILL THE BILL MERCANTILE TEL:03-6450-3331)、その他スタイリスト私物