Leeの『101』を通して考える、僕らのスタンダード – Daniel Wang –

by Nobuyuki Shigetake

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東京はいちばん楽しみな場所。お客さんはみんな無邪気だしね。

5月18日(土)には東京・渋谷のContactで『DISCO! DISCO!! DISCO!!!』が行われる。毎年恒例となっているパーティーで、今年で7年目を迎えるが、このほかにも世界各地で活動するDaniel Wangにとって、東京のシーンはどのように映っているのだろうか。

— 今日、着ていただいたのはLeeの『101』というジーンズのスタンダードなのですが……。

Daniel:好きですよ。人はやっぱりパンツを穿くべきですよね(笑)。

クラシックなアイテムにはリジッドの『101Z』を合わせて、より大人っぽい印象に。
AMERICAN RIDERS 101Z(LM5101-500)12,000円(Lee Japan TEL:03-5604-8948)、JUHAのカーディガン 30,000円、ATELIER BETONのシャツ 25,000円(ともにSTUDIO FABWORK TEL:03-6438-9575)、ptarmiganのブーツ 29,000円(face co.ltd TEL:03-5738-1872)

— これにちなんで”スタンダード”がインタビューのテーマなのですが、Danielさんにとってスタンダードな音楽はどういうものですか?

Daniel:ダンスミュージックならディスコだよね。4つ打ちのリズムは、どんな音楽よりも楽しいからね。でも、僕にとってのスタンダードはディスコだけではないんだ。違った踊り方のジャンルならボサノヴァも好きだし、ラテン系の音楽はもっと面白い。そのなかでも、ディスコミュージックっていちばんベーシックなビートだから踊りやすいんだ。ビートが複雑になればなるほどエクスクルーシヴになって、大勢が楽しめなくなってつまらなくなっちゃうしね。

— 普段のファッションについて聞かせてください。

Daniel:ベルリンの人たちって、みんな地味なんですよ。でも、それも理由があって、ドイツではあまり自分の個性を主張しないから。通常はファッションを通じて自分の個性を主張したいと考えるけれど、一緒にいる人たちと競争する意志がなければ服装で表現する必要もないからね。だから、僕もドイツの人たちと同じく、普段は地味。いつも、ブラックとグレーとネイビーを着ているよ。ベルリンは東京と比べると小さな街。「目立たなければいい」っていう考え方だし、目立つ必要もないからね。だからむしろ、デニムはいつも穿いているよ。

— 『DISCO! DISCO!! DISCO!!!』が5月18日と目前に迫ってきました。

Daniel:正直に言うと、いつも楽しいんだけれど、最近はプレッシャーを感じているね。音楽のフォーマットはそんなに変わっていないので、どうやったらお客さんが喜んでくれるんだろう……って。本当は、毎回いろいろと変えてみたいけれどね。むしろ”If it’s not broke, don’t fix it(壊れていなければ、直さなくていい)”っていう感じかな。もちろん、いつも同じパーティーはやらないけれど、ある程度、同じ雰囲気は守りたいからね。

— ヨーロッパでDJをやるときと、東京でずっと続けているこのパーティーでは、お客さんやフロアの雰囲気は違いますか?

Daniel:アフリカを除いて、主要な国ではDJをやっているけれど、それぞれの国ごとに個性が違うんだ。それは社会全体の雰囲気とか、政治にも当てはまってくるものだね。例えば、スカンジナビアのクラブシーンは社会と同じで、みんな礼儀を守っているし、スタイルもしっかりと持っている。一方でスウェーデンのお客さんはみんなタトゥーを入れていて、クラブではクレイジーになるとかね。イタリアもクレイジーだけどリズム感がいいとか。フランスはアフリカからの移民が多い国で、ニューヨークに似ている。黒人も白人もいい人たちで、ダンスと4つ打ちの音楽の規則もなんとなく分かってくれている感じ。

ベーシックなストレートシルエットの『101Z』は、クリーンな着こなしにも向いている。
AMERICAN RIDERS 101Z(LM5101-400) 12,000円(Lee Japan TEL:03-5604-8948)、KICS DOCUMENT.のシャツ 24,000円(HEMT PR TEL:03-6721-0882)、ayameのメガネ 30,000円(ayame Co.Ltd. TEL:03-6455-1103)、Parabootのレザーシューズ 65,000円(Paraboot AOYAMA TEL:03-5766-6688)

— 一方の東京はどんな印象ですか?

Daniel:僕も東洋人だからという理由もあるけれど、東京はいちばん楽しみにしている場所。最近は世界中どこでも友達と一緒に踊らないでDJだけを見ているんだ。僕はそれがとても嫌いで、いつも「DJ崇拝禁止」とか「DJを見つめないでください」「一緒に踊ってください」って書いた看板を掲げてるけれど、日本のお客さんはそのサインを見て、みんな一緒に踊ってくれるからね。逆にドイツでは、裸になってフロアの隣でオープンにSEXをしているけれど、それと比べると日本はみんな無邪気だよね。

— 今後の活動について教えてください。しばらくリリースがありませんが、レコードを作る予定はありますか?

Daniel:2年前に住んでいるマンションを改築して機材を搬入し、音楽のソフトウェアもインストールしてようやく自分のスタジオを作ったんだ。僕は今年で50歳だからずいぶんと遅くなってしまったけれど、ついに自分の音楽を作る完璧な環境が実現したよ。友達のSpiller(スピラー)──2000年に”Groovejet”でビッグヒットを飛ばしたDJなんだけれど、彼に手伝ってもらって、レコードは今年の6月から7月にはリリースされる予定だよ。このなかには「ダンスフロアをもっとオープンにして、商業化されないよう、ダンスミュージックの元に戻っていこうよ」という真面目なメッセージも入れたりしてね。

— 今回はご自身の名前でリリースするのですか?

Daniel:そう、Daniel Wangの名前でリリースするから、今回は絶対に失敗できない。もちろん自信はあるけどね。ベルリンに引っ越してから16年。いよいよ、本当に自分が好きなことに集中できるようになったんだ。