Leeの『101』を通して考える、僕らのスタンダード – Kaoru Inoue –

by Atsushi Hasebe

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音楽の新しいスタンダードを自分が作れたらいいですよね。

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—スタンダードな音楽については、どのように捉えていますか?

Kaoru:振り返ると、”いかにスタンダードではなく、いかにオルタナティブか”みたいなマインドが続いていたと思いますね。ただ、経験値が上がっていくと、スタンダードっていう軸があって初めて異端があることが分かるようになるんですよ。ハウスでもテクノでもどんどん細分化されていますが、ハウスを例にとっても、長い歴史のなかでいろんな部分が削ぎ落とされて今のカタチになっている。だから、実はスタンダードってずっと残っているし愛されているんだなって思いますね。そういったものへのリスペクトはあってしかるべきだっていうのは、40代に入ってから特に感じるようになりましたね。

—それは音楽以外でも感じますか?

Kaoru:服とかはそうですよね。僕は夏場以外、ほとんどジーンズしか穿いていないんですけど、デニムってスタンダードの極みですよね。洋服の世界も奥が深いので、ちゃんとしたことを言える立場にはないですけど、デニムって長い歴史のなかでいろんな部分が削ぎ落とされながらずっと残っているものだと思う。だから、最終的にはそこに戻っていくというか、大事さが分かって非常に重宝するものなのかなって思いますね。

—10年後や20年後も時代を超えて愛されるように……と意識して音楽を制作することはありますか?

Kaoru:いかに残せるか、残るかっていうことを考えるようになりましたし、今はそっちに向いていますね。時代感って結構大事で、自分自身はそのときに何が起こっているかを見ているし、体験もしているわけじゃないですか。なかでも音楽制作の技術はどんどん変わっていますが、その根本的な部分を自分自身がクリエイトできれば……っていうのは考えますね。新しいスタンダードを作れたらいいなって。

—今後の活動について教えてください。

Kaoru:創作意欲が高まっているので、今は曲をどんどん作っていくタイミングかなと思っています。ハウスとかテクノに特化するのではなく、もう少し電子楽器をフィーチャーしたり、友だちのミュージシャンに参加してもらったりしつつ、自分自身でアレンジもやりながら築き上げていきたいですね。そうすると今後、例えばフェスのような、クラブとは違う環境でプレイする機会も増えてくるんじゃないかと思いますしね。

Kaoru Inoue / 井上薫(Seeds And Ground | Chari Chari)DJ / プロデューサー。
高校時代から20代前半までパンク〜ロックバンドでのギタリスト経験を経て、89年にAcid Jazzの洗礼とともにDJカルチャーへ没入。Chari Chari〜Kaoru Inoue名義での音楽制作〜リミックスで数々の功績を残し、またクラブ、野外フェス問わず様々な現場でのDJ活動を通してオルタナティブなダンスミュージックの可能性を追求してきた。2014年、12年ぶりにChari Chari名義を復活させ、ライブ・バンドとして再生。インドア・フェス=RA@ageHaにて復活デビューを果たし大きなレスポンスを得た。2016年にはChari Chari名義14年ぶりのアナログリリース「Fading Away / Luna de Lobos」が話題に。2018年はリスニング指向を高めたアナログLP 『Em Paz』がポルトガルのレーベルGroovementよりリリース。
レーベル”SEEDS AND GROUND“を主宰。
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