ユーモアのセンスに優れ、「原宿の高田純次」とも呼ばれるサウンズグッドのプレス吉田氏。
無類の新しモノ好きなため、気になるモノがたくさんあり過ぎていろいろ迷ってくれたようですが、結果
趣味と実益を兼ね備えたあるモノへの傾倒について、仕事的な側面も添えて大いに語ってくれました。
残念ながらこの取材の直後、サウンズグッドの事業撤退決定という残念なニュースが飛び込んできてしまい
ましたが、氏の想いが伝わってくる熱い内容となっています。ぜひ、お楽しみください。
洋服の「機能」
— それでは、気になってるモノを聞かせてください。
吉田氏（以下敬称略）：ただ純粋に気になるモノは、リフレクターですかね。
— 反射板ですか？
吉田：そう、反射板。僕がサウンズグッドっていう業態のプレスをやり始めたとき、ファッションウェアとスポーツウェアっていうのは完全に違うんだなぁ、って感じていたんです。とくに機能性だったり。
でも、いろいろ知れば知るほどその境目がなくなってきている気がして。
— と、言いますと？
吉田：最近のコレクションなんかを見ても、本来オシャレをする「だけ」のためのモノだったモノが、どんどん高機能になってきて山に登ったり走ったり自転車に乗ったりするため「だけ」のモノと近づいてるんですよね。
その逆もしかりで、ファッション性の高いスポーツブランドも出てきているじゃないですか。ナイキ（Nike）のNSWコレクションなんかもそうですし。
— 確かにNSWのロゴの外し方は潔いですよね。
吉田：それで気づいたのが、「機能」というモノを今まであまり見ていなかったなぁ、っていうことで。
今まで僕が思ってたファッションウェアの「機能」って、着心地というか、袖の入りが良いだとか、その程度のレベルだったんですよ。でもサウンズグッドには「ファッションとスポーツの融合」というテーマの元に商品が集められていて。それで、「機能」というものについて突っ込んで考えてみるのも面白いなぁって。
モンドリアン調のジャージを
違和感無く着こなす吉田氏
— なるほど。気づいてきた感じですか。
吉田：今までファッションっていうモノを掘り下げていく行為はしていたんですけど、「機能」をそんなに掘り下げていくっていうことはしないと思うんですよ。でも「機能」面が特化したウェアにファッションの要素を足していくっていうことが、すごく面白いなぁって。
正直言うと、今までスポーツブランドの展示会に行って「カッコいい！」と思ったことはないんです。でも彼らから言わせると「必要な要素は満たしてる」と。「よりストレスがなく、軽い」とか、そっちしか見てないんです。だからファッション的にカッコいいモノは見つけにくいんですけど、そんな中にも「ここをもうちょっとこうすればイイのになぁ」って思うモノもチョコチョコあって。例えば生地とか、普通の洋服屋じゃ使えないようなモノがたくさんあるんですよ。
— スポーツブランドの生地は年々進化していってますもんね。
吉田：そうなんですよ。やっぱりランニング用のウェアとか、自転車やヨガもそうですけど、そういった用途のウェアって吸湿性・速乾性なんかが優れているに超したことはなくて。それを従来のインナーにも着れるようにアップデイトさせていく方向がサウンズグッドなのかなって。
でもその分、普通の洋服以上に店頭に立っている人間にとっては大変な商材なんですよね。「これカッコいいんですよ」だけじゃなく、スポーツの知識も必要。「これはこういうシーンで着るのがオススメです。でも街でも着れます」まで言えないとダメですから。なのでいろいろ勉強になりますし、今まで以上にスポーツを観るようになったかもしれません。それこそ格闘技もそうですし、マラソンも駅伝も…。
— マラソンといえば、前回の東京マラソンで無事完走されていました（編集部注：10kmのショートコース）が、今回の抽選はどうだったんですか？
吉田：落ちました…。でも、1月25日に行われる「新宿シティハーフマラソン」に誘っていただいたんで、それには出ます。そんな感じで自分でも走ったりしますし、自転車にも乗っていましたし、元々スポーツ自体嫌いじゃないんですよね。ジムにもずっと行ってますし。
昔、とある方が言っていたんですが、街の流れというか世の流れが「モノ寄りからヒト寄りに」変わってきてるんですよね。それはガソリンの高騰だったり金融不安だったり、色々と外的要因が関係しているんですけど。
今、走ってる人が圧倒的に増えてるじゃないですか。でもこれって流行りじゃないんですよね。マラソンをするのも流行りじゃなくて、根付く過程なんですよ。これから環境保護の関係で、排気だなんだってどんどん自動車も税金が上がって。知らない間にあんまり電気自動車って聞かなくなったじゃないですか。それから電車だって運賃が上がったりするだろうし。
そうやって自転車通勤だったり朝のランニングだったり、スポーツ的な要素がだんだん日常化してくると、今までマウンテンパーカとかナイロンものはほとんど着ずに、「冬は出来ればレザーモノ」なんて言ってた僕でも、やっぱり気になってきますよね。
吉田氏が参加するという
新宿シティハーフマラソン
— 確かに吉田さんはあまりナイロンのモノを着ていたイメージがないですもんね。
吉田：でも今は半々ぐらいになってるんです。どんどん興味が湧いてきて、今シーズンもいろいろ買ってみてます。そんな中で出会ったのがリフレクターで。
— 長かったですね、本題までの導入が（笑）
吉田：今までも見てはいましたし、商品としても打ち出してはいたんですけど、改めて「光るってすげぇな」って。
（一同笑）
吉田：純粋に視認性が高いから、目立つじゃないですか。僕、目立ちたがり屋だから原色とかも好きですし。それで、生粋の夜遊びっ子ですから。夜と言えばねぇ…やっぱり光るでしょ、みたいな。目立つでしょ、みたいな。
（一同笑）
吉田：それと、リフレクターってこれから先、もっとすごいのがどんどん出てくるんですよ。やっぱりまだまだ色がついたモノだとリフレクターの反射レベルが低いんですよね。でもこれからもっともっといろんな色のが出てきたら、洋服にもどんどんリフレクターを使えて面白くなるんだろうな、って。
— 確かに楽しい服が増えそうですね。
吉田：そんなこんなで、とりあえず今一番好きなんです。
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