『Paint It Black?』土井地博(ビームス プレス・プランニングディレクター)

by Mastered編集部

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デザインとしての黒

Lid magazine 1,575円(インターナショナルギャラリー ビームス)

Lid magazine
1,575円
(インターナショナルギャラリー
ビームス)

— この本は何ですか?

土井地:これは『Lid magazine』っていって、ニューヨークだとマークジェイコブス(Marc Jacobs)とかアナスイ(ANNA SUI)のショップとかで売っているだけで、本屋には卸してないんです。日本でもビームスだけ。
元々、アンディー・ウォーホル(Andy Warhol)や、彼の作ったスタジオ、「ファクトリーThe Factory」などと特に深交あった各クリエイターのメンバーが、彼の遺作だったりその当時の写真だったり、今の作品だったりを混ぜてアートブックにしてるんですよ。

— これは全てのページがモノクロなんですか?

土井地:そうです。これが、すごく良くて。今まで世の中に出てない遺作とかばかりで、見たことある写真っていうのはほとんどないんじゃないかと思います。

Lid magazineについて説明をする土井地氏

Lid magazineについて
説明をする土井地氏

— 今まで何号くらい出てるんですか?

土井地:6号ですね。3ヶ月に1回くらいの間隔で出ています。季刊誌ですね。
これは本当に勉強になるんですよ。僕、写真についてそんなに詳しくはないんですけど、色がない分すごく想像性をかき立てられる。昔は単純に「モノクロだとなんかカッコいいよね」っていうだけだったんですけど。
変にイメージを付けさせられないで、考えながら見れるアートブックですね。
それと面白いのが、ルイ・ヴィトン(Louis Vuiton)なんかがこの雑誌専用の広告をわざわざ作っていたり、同じ号でも表紙を数パターン作ってみたりと、非常にクリエイティブなんですよ。収益目的という感じでもないですし。

— おもしろい雑誌ですね。こういう雑誌が増えると、ファッション業界も影響を受けて面白くなると思うんですけどね…
では、次はウェア関係についてお願いします。

土井地:これは、いつも着ているアークテリクス(ARC'TERYX)のマウンテンパーカです。
さっきの距離感の話に戻っちゃうんですけど、このアークテリクスみたいなハイテク素材に、ウールだったりスウェードだったりを合わせる感じが気に入ってます。
僕は自転車に乗ったりはしないんですけど、そういう人達にも好評ですし、今の時期だとレイブや野外フェスに着ていってもバッチリですし。これはもう自分のなかでの新定番ですかね。
これ以上のモノはないんじゃないかな? 立ち襟になってるし、完全防水の止水ジップですし。

アークテリクスのマウンテンパーカ 90,300円(ビームス原宿)

アークテリクスのマウンテンパーカ
90,300円
(ビームス原宿)

— カッコいいですねぇ。今年っぽい感じもありますし。

土井地:一昨年、ビームスが世界で初めてアークテリクスに別注をかけたんですよ。
うちのバイヤーは、彼らのプライベートなパーティーに世界でただ一人呼ばれちゃうバイヤー、っていうくらい仲が良いんです。
そして、このブランドは本気の機能性とトレンド感をうまく持ち合わせてるし、やっぱりアウトドア界の最先端にいるのはアークテリクスかなって思いますね。
ノンネイティブ(nonnative)のサーフェン智と話してたときも、「ここに追いつくのは多分無理なんじゃないか」って。
あと最近は、モード関係者の女性とかも結構着てるみたいなんです。

— なるほど。僕もこの前お店に足を運んだとき、ちょっと派手なコンビのものが気になりました。

土井地:ありがとうございます。でも、僕はやっぱり黒が(笑)

そうそう、ちょっと言い方が悪いかもしれないんですけど… 昔、黒が好きだって言う人って本当に黒ばっかりだったじゃないですか?
でも僕の場合、ちょっと違うんですよね。質感も内容もバラバラですし。

— 全身黒づくめ、という感じではないんですよね。普通に、赤や青の服を選ぶ感覚で黒を選ぶ、みたいな。

土井地:そうなんです。だから「デザインとしての黒」って感じなんですかね。
「派手な色は似合わないから黒しか着ません」っていうわけではないんです。
だから重い感じの黒ではなくて、白が入ってちょっと抜け感のある黒みたいな感じがいいです。

— このドクターマーチン(Dr.Martens)なんかが、まさにそんな感じですね。すごくカッコいいですけど、型から別注しているんですか?

土井地:確かラストはちょっと変えてますね。スウェードの8ホールっていうのを、前にもやってたんですけど。
今季はちょっと野暮ったいウェアが多いんで、足元はサラッと。
ちなみに次の春夏は、真っ白なモノも仕込んでるんですよ。

今「アメリカの後にはブリティッシュが来る」と言われてはいますが、やっぱりまだイギリスのブランドが中心になったりはしないと思うんですよ。そもそもブランド数が全然ありませんし。
そんな中で、イギリスのカジュアル靴と言えば、ドクターマーチンはいまだに王道。
「ブーツはちょっと履きにくい」という人でも、これなら苦にならないと思いますし。

— イギリス的な内羽根のウィングチップではなくて、外羽根のロングウィングチップっていうあたりも確信犯的で良いですね。
まさにこれが今の気分というか。アメリカとイギリスの中間的な感じで。

土井地:そうですね。
これにパンクテイストの細いパンツを穿くのではなくて、ウールのスラックスだったりディッキーズ(Dickies)だったりを合わせて、ツィードのジャケットを着たり。
ちょっとトップの部分を丸くしてあるんで、そんなに違和感はないと思います。
オールデン(Alden)も履いて、こういうのも履く。っていうのが気分です。

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