ここ最近のアメリカブームも手伝ってか、破竹の勢いを見せる「ネペンテス(NEPENTHES)」。
もちろん展開している各ブランドや、買い付けている商品などの魅力も大いにあるとは思いますが、
今回ご登場いただく片庭氏がプレス職についたという功績がかなり大きいのも事実。
バイヤーとして年の3分の1近くを海外で過ごし、日本にいる間も各メディアの対応に追われる忙しい合間を縫い、彼の気になってるモノを伺ってきました。
普段見せてくれない部分が垣間見えてかなり興味深いです。
他に類を見ない装飾性
— では、気になってるものをお願いします。
片庭氏(以下敬称略):ウェスタンということで。
だいぶアメカジっていうモノも広がって、次にアイビーっていう流れがこの夏に来ましたよね。(アイビーはルールが決まっている分)インスタントというか、比較的誰にでも出来やすい。石津さん(編集部注:VAN創業者の石津謙介氏)やくろすさん(編集部注:現服飾評論家のくろすとしゆき氏)以降の日本人に1番、こう得意とするといいますか、お見本があってやりやすいスタイルでしたから。だからこそポピュラリティーも得られたんだとは思うんですが。そうなってくると、こちら側はもう少し突っ込んで行かないと。
— あぁ、それは宿命的といいますか。
片庭:それで、そのときに「ウェスタン」というモノの装飾性とかクドい部分とかが、見せ所といいますか。そういうのをどう取り込むか、選ぶかによって、すごくカッコ良くもダサくもなりますし。あとは、そんなにはやりきれない感じはあると思うんですが、その辺のバランスをやっと出せるかなと。テイストの違いとか、加減とか、その辺が楽しめるポイントになるかなと。
— はい。難しいからこそ楽しめる感じですよね。
片庭:アイビーは『こういうルックがあります』っていうのがあって、それを真似すれば出来上がってしまいますし。でもウェスタンは、ホントある意味ダサいですからね。
— そうですね。ちょっと笑っちゃう一面もありますね。
片庭:でもウェスタンブーツしかりですが、ウェスタンのデコラティブな部分は他に類を見ないですからね。ほかの海外とか、服飾では見ない装飾性だと思いますし。そういうのをどこに取り入れたりとかで、違うオリジナリティを作れるんじゃないかと。
でもまんまカウボーイルックだと、さすがに…
— 某俳優さんみたいになってしまいますからね(笑)
片庭:真夜中のカウボーイじゃないですが。ちょっとコスプレじゃないですが、そうなってしまうんで。あくまでも一部を取り入れて。
例えば、このニードルズ(Needles)の新作なんですけど。普通のネルシャツに見えるんですが、(襟が)ロングポイントになっていまして、芯が入っています。
— 取り外しのカラーステイが入ってるんですか?
片庭:いえ、取り外しは出来ません。ウェスタンシャツなんかでも(生地に)ポリエステルが入っていてすごく薄いんですけど、襟だけはしっかりしてるっていうモノが多いんですよね。
— そうですね。そういったシャツよく見かけます。
片庭:あぁいうテイストっていうのが、面白いかなと。見た目のウェスタンはたくさんありますが、こういう取り入れ方をすると表情が変わる。つまりこういうコトをウェスタンというひと括りにして考えているんですが。
— なんとなく分かりました。伝わりますね。
片庭:あとはこのデニムシャツの、こういう刺しゅうの感じとか。この手のもホントに古着を見てるとキリがないぐらいいろいろなモノがありますけど、このアレンジもアメリカじゃないと見ないですし。その人の味とか好みもだいぶ出てきますからね。例えば動物の刺しゅうだったり植物だったり、刺しゅうの加減だったり。あんまり入り過ぎてるのは嫌って人もいるでしょうしね。
— これもこの秋冬のアイテムですか?
片庭:そうですね。あとは、このコーデュロイのパンツとか。この辺はちょっとミックスになるんですが、ウディ・アレン(Woody Allen)が穿いてるような2プリーツのパンツで。元々かなり太めなんで分かりづらいんですが、じつはブーツカットになってるんです。
— へぇ〜意外ですね。2プリーツのコーデュロイパンツでブーツカットですか?
片庭:スラックスの場合だと分かりにくいんですが、要はブーツカットっていうのは、ホントのストレートで。
— そうですよね。ワタリから裾へ真っすぐに伸びる。
片庭:で、ちょっとだけ膝を絞ってまして。そういうシルエットを取り入れてます。穿くとかなり個性的。
— 僕も店頭で試着してみました。
太めでズドンと落ちる感じで、膝が少し絞れてるような雰囲気ですよね?
片庭:ベンデイビス(Ben Davis)にあるフリスコに、ちょっと近い感じですかね。あれって少しブーツカットに見えますよね。
— はいはい、見えますね。
片庭:もう少しシェイプしてるから、結構裾はワイドですかね。これもだいぶ突っ込んだアイテムなんですが、じつはこの加減が難しくて。みんなが出来るか、みんなが穿けるかって言うと…
— そうですよね、正直難しいと思います。
僕は細い方をセットアップで買っちゃいました(笑)
片庭:まぁ、プリーツなしの方が売れるだろうな、ちょっと難しいんだろうなっては思ってましたが。
でも、こういうのもなかなか取り入れられにくいですけど、ちょっと香り付け的に取り入れていきたいな、と。
— 他にはありますか?
片庭:あとは、「ウェスタンと言えば」的な存在のバンダナ。普通のバンダナはハンカチ代わりに元々日頃から使ってるんですが、これはナンバーナイン(NUMBER (N)INE)の今季のモノで、バンダナ柄のシルクスカーフです。
— 通常ラインのナンバーナインですか?
片庭:こっち(赤と緑の方)は通常の。紫はネペンテスのエクスクルーシブ(NUMBER (N)INE for NEPENTHES)です。
なんでしょう、首にバンダナを巻いてしまうと結構ツラいですが、これはシルクなので。こういったモノだとちょっと違った感じになりますよね。
個人的には巻き物は年中使いますから、アスコットタイとかスカーフとしても使おうと思ってます。
— 今までのお話を伺うと、一点さり気なく取り入れて着こなす感じが多そうですね?
片庭:そうですね。例えば、ドレスシャツにこのスカーフとか。
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