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彼女の名前はKOKO。5ヶ月前にバルセロナから日本にやってきた。京都の外れ、八幡市の石清水八幡宮の麓に居を構えるおばあちゃん宅に居候しながら、昼間は近所のセカンドハンドショップでアルバイト。それ以外の時間は、鬱蒼と生い茂った近所の竹林を散歩したり、部屋に篭って夢中になって打ち込むジャズDJの練習に励んだり。ある意味、バルセロナみたいにゆっくりと時間が流れる京都のカントリーサイドで、日本という風土に徐々に体を慣らしていっている最中だ。
KOKOちゃんの現在の肩書きは、駆け出しのジャズDJ。と言っても、それだけじゃ彼女のことはちんぷんかんぷんなので、もう少し彼女のパーソナリティを紐解いてみよう。年は23。生まれは東京で、小学生の時に両親がもっと世界を見聞したいという理由でスペインへ移住。それ以来、この年齢になるまでヨーロッパで過ごしてきた。好物は、おばあちゃんの手作り紫蘇ジュースにモロヘイヤスープなどのヘルシーフード。「星座は何?」と聞けば、西洋占星術の話題に移り、話が止まらないガーリーな一面もあり。かと思えば、ブラジリアン柔術に興味があるらしく、タブレット越しの肉弾戦に毎回鳥肌を立てるほど、実は内なる闘争本能を秘めていたり。「自分のメモリーを記録したくて」と大体いつも持ち歩くビデオカメラには、何気ない日常を撮り溜めていて、気の向くままにフェイバリットな音楽を当て込んで、編集することも習慣にしている。
まるで海外のガールズムービーの主人公のようにチャーミングなキャラクターだけど、何よりも好きなのは、アート(音楽はもちろん、美術にファッションも)。高校卒業後はパリの服飾専門学校で洋服作りのいろはを学び、帰国後は、地元・バルセロナでフリーランスのアートディクターにチャレンジしたり。ともに洋服ブランドを手掛けるお父さんやお母さんに倣って、洋服のブランドを立ち上げようと企画したこともあるそうだ。
「でも、やってみたら、今じゃないなって気づいて。一旦、洋服のことはお休み。若いうちに好きなことにいろいろとチャレンジしよう! と思っていて、今は大好きなジャズのDJを真剣に取り組んでいる感じです。1枚の布を切って、縫って、デコレーションして、マネキンに着せたときにたまに”いいのができた!”と達成感を感じるように、繋ぎにくいとされるジャズの曲と曲同士が気持ちよく繋がったときは、体の中を快感が駆け巡っていくからすごく楽しい。”うわぁ、すご〜い!”って笑顔になっちゃうんです」
まだまだ駆け出しだからDJネームは正式には決まってないそう。「じゃあ、“DJ KOKO”はどう?」と言えば、「え?」と疑いの目を向けられたけれど、格闘技も好きだと言うし、我ながらいいネーミングと思うんだけどな。ちなみに、好きなジャズアーティストは、マイルス・デイビスにアーマッド・ジャマル。ロブ・アラウージョ、マックス・ローチに、日本が誇るインストジャズバンド・SOIL&”PIMP”SESSIONS。渋いね。