4年のインターバルを経て鳴り響く、GAGLEの新境地

by Keita Miki

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— 自分たちの好きな、興味のある音っていうのが、年々増えていってる感じですか?

DJ Mu-R:3人ともそういう印象ですね。昔から好きなものは大事にしながら。

— 最近だとそれぞれどの辺りの音楽を聴いているのでしょう?

DJ Mu-R:僕は引き続き、いわゆるベースミュージック。メインストリーム的な、トラップまではいかないんですけど、ちょっと音数少なめの、テクノ流れのベースミュージックだったり。あと、ジャンルでいうとテクノの解釈も相当広いと思うんですけど、ハウスでもありテクノでもありみたいな、ルーマニア系のハウスだったりとか。いわゆるテックハウスだったりとか、新譜だったらその辺をチェックしていますね。

DJ Mitsu the Beats:最近、海外でラテンとアフロだけでプレイして欲しいっていう依頼を受けたっていうこともあるんですけど、それに向けてずっと掘り続けてましたね。現代のアフロをやってる人とか、格好良い人たちがたくさんいて。ビートを打っているなかでアフロミュージックをやっていたり。結局、僕はパーカッションが好きなんですよね(笑)。その一方で、音数が少ないのも好きで。土着的な生バンドのアフロ音楽を探したりとか、本当にミニマルなやつが発見出来たりとか、最近は面白いものを聴けてますね。あとは変わらず、いわゆるビートメイカー、ビートシーンにいる新しい人たちを掘って聴いています。最近はノービートから四つ打ちまで垣根なくプレイする人が増えていて、それが面白いですね。

HUNGER:僕はもうラップ専門なんで、ひたすらラップを聴いてます。Kendrick LamarとかJ.Coleみたいな有名どころから、ヨーロッパのまだ誰も知らないようなラッパーまで、今は簡単にチェックできるから、自分なりに検索しつつ。もちろん、日本のラップも聴くし、色々なところを旅しながら、その国のラップが今どのくらいのレベルにあるのかっていうのをチェックするのが好きで。自分の価値観での判断でしかないですけど、そのなかで「日本は今どのくらいの位置にいるのかな?」ってことを考えるんですよ。それが自分の制作意欲に火をつける場合が多いですね。

— 個人的には収録曲の”Bohemian Style”だったり、”小こい円盤”の2バース目から、自分たちは自分たちのやり方で音楽にフォーカスしていこうっていう、皆さんの思いを強く感じ取りました。GAGLEと日本のシーンとの距離感的なものをどう捉えているのか伺いたいのですが。

HUNGER:逆に聞いてみたいです(笑)。「俺たちの距離感、どう見えてますか?」って。大体はわかるんですけどね。

DJ Mitsu the Beats:常に本筋とはズレた場所にいると思ってはいるんですけど、楽曲的に、今回は本筋に近いところにはいなくはないのかなっていうことを感じていて。全然違うものではあるにしろ、より幅広い楽曲が収録されているし、どれかに引っかかる人が増えて欲しいっていう気持ちはあります。

HUNGER:サウンドを聴いて、前半の曲を作っている時は、「これはかなりソリッドな方向に向かってるぞ」と思ったので、自ずとメッセージ的にも、そういう決意を自分の中で固めるためにリリックを書いていたところもあるのかなと。僕ら自身、色々な音楽に影響を受けているし、ヒップホップだけにフォーカスすると「自分達がシーンにおいてどういう存在なのか?」とかどうしてもそういう話になってしまうのですが、全体的に見ればGAGLEは色々なジャンルの人にタッチ出来ていると思うし、お互い自分達のやっている音楽を理解し合えているとも思います。そうやって影響を受けあう中に自分達は”漂っている”ので、”Bohemian Style”なのかなと。”小こい円盤”の2バース目では、「君と付き合えてる少数派」って唄ってるんですけど、それも決して意固地になっている訳ではなく、そういうムードの中で自分たち自身を固めていくという決意みたいなものです。