1996年に誕生し、今年で20周年を迎えた[G-Star RAW(ジースター ロウ)]を代表するジーンズ、『ELWOOD(エルウッド)』。
雨宿りをしていたひとりのバイカーが穿いていたパンツからインスピレーションを受けて生まれたというこのモデルは、当時いち早く立体裁断を取り入れ、それまでのジーンズのイメージを覆した。
これまでに全世界で累計1700万本を売り上げたという『ELWOOD』の魅力を探るべく、今回はそれぞれ異なる3つの職業のクリエイターに『ELWOOD』を穿いてもらい、その印象を語ってもらった。
G-Star RAW 『ELWOOD』、その愛される理由とは。
Photo : Kazuhiko Tawara Text & Edit : Yukihisa takei(HIGHVISION)
《G-Star RAW “ELWOOD”》
1989年に創業したオランダのデニムメーカー、[G-Star RAW]が1996年に世に送り出したジーンズ。デザイナーのピエール・モリセット氏が、雨宿りをしていたバイカーの穿いていたパンツに着目し、立体裁断を採用したまったく新しいジーンズを発明した。通常のデニムパンツが15パーツほどで作られているのに対し、『ELWOOD』では25ものパーツが使われている。過去20年で全世界1700万本のセールスを記録したヨーロピアン・ジーンズを代表するモデル。
CASE 1 : フォトグラファー 名越啓介
名越啓介という写真家は、自分に興味がある場所へはどこへでも出向く。それが銃や麻薬の行き交うチカーノギャングたちのアジトであろうと、ゴミが堆積した山を生活圏にするフィリピンの「スモーキーマウンテン」と呼ばれるエリアであろうと躊躇なく踏み込み、そこで生活すら共にすることで「自分だけにしか撮れない一瞬」を追い求める。名越の好奇心は、すべてフィルムを通して表現されてきたが、その様子は昨年TBSの『クレージージャーニー』にも取り上げられ、松本人志に「これまでで一番ヤバい人」とまで言わしめた。
一方名越はポートレートやファッションフォトの世界でも活躍しているが、名越はスタジオでもロケでもとにかく動く。デジタル主流となったこの時代でもフィルムカメラにこだわり、被写体に寄り、しゃがみこんでは頻繁にフィルムチェンジを行う。そんな写真家としては比較的激しい動きをすることの多い名越啓介に、今回初めてG-Star RAWの『ELWOOD』を穿いてもらった。
「僕は撮影中に結構しゃがんだりするタイプみたいですね。写真撮っている間は夢中なんで、自分では分からないんですが。今回初めてこのジーンズ穿きましたけど、こんなに動きやすいのあるんや、ってちょっと驚きましたね。あとポケットも深いから、撮影中に使うものを入れておくのも便利です。普段からタイトな黒いパンツが好きで、夏でも冬でも同じようなものを穿いてますけど、今回『ELWOOD』を穿いて、今まで結構キツいの穿いてたんやなと気付きました(笑)。約1週間穿いてますけど、撮影の時でも何でも思わずしゃがんだりして、このジーンズの性能を楽しんでますし、撮影するのもかなりラクになったと思います。僕はだいたい気に入ったら同じのをずっと穿くんで、『ELWOOD』は当分穿きそうな気がしますね。このジーンズが1996年に出ているということは、ちょうど19歳の時に僕が1人でアメリカとかメキシコに撮影に行ってた時ですね。あの時は何穿いてたのかなあ」
G-Star RAW『ELWOOD』
(ELWOOD SUPER SLIM / DEILL STRETCH) 18,000円 + 税
名越啓介
1977年奈良県生まれ。大阪芸術大学卒。19歳でアメリカ、メキシコ、カナダへ赴き、スクワッター(不法占拠者)と共同生活をしながら写真活動を開始。カメラマンアシスタントをつとめた後独立し、雑誌やCDジャケット、広告などの世界で活躍。主な作品に『CHICANO』 (2009年/東京キララ社)、『SMOKEY MOUNTAIN』(2011年/赤々舎)など。現在は愛知県豊田市の団地で、ブラジル人を中心にしたコミュニティを被写体に創作活動中。