— 将来的にDJとして生計を立てていくビジョンはありましたか?
MARZY:いやいや、全然ふわっとしてましたよ(笑)。当時はファッションで食っていこうと思っていて、大手のセレクトショップで働いていました。卒業してから、契約社員として2年ぐらい働きましたかね。その間は、たまに誘われてイベントでDJをやるくらいで。自分達のクルーが出来て、そこに入ったことがアパレルを辞めるきっかけになりました。
— そのクルーではどんな活動を?
MARZY:YENTOWNとはまた別のクルーで、PROPERPEDIGREEって言います。イベントで出会った仲間達と始めました。ちょうどアメリカでトラップが流行りはじめたくらいで、その頃には、半分くらいは「これから音楽でやっていこう」って思っていましたね(笑)。
— そこからどういう流れでYENTOWNに加入することになったのでしょうか。
MARZY:YENTOWNとして活動する前に、もう一度アパレルで働きました。その時は社員とかじゃなく、バイトだったんですけど。完全に辞めたのが3年前ぐらい。そこから、今のスタイルで仕事をするようになりました。でもまぁ、「音楽でいけるんじゃねぇかな」ってチャレンジする気持ちも込みでアパレルの仕事は辞めましたね。
— MARZYさんはDJですが、歌も歌うし、踊りも結構イケてて、チャレンジ精神がありますよね。
MARZY:そうですね、まだまだ駆け出しなんですけど、ゲストボーカルをやらせてもらったり、踊りは本当にかる~くですけど(笑)。でも、壁は壊そうかなと。DJだけど、なんでも出来た方が良いじゃないですか。今後はソロアーティストとしての活動の場を増やしていきたいなとも思っています。
— DJとしても、実際に現場でMARZYさんのプレイを聴くと、多種多彩なジャンルの曲をかけていますもんね。
MARZY:その時その時で自分の中で好きなジャンルってあって。昔はジャンルを絞ってDJをすることが多かったのですが、最近は自分のこれまでのキャリアをDJとして表現しようかなと思い立ち、ジャンル関係無しに選んでます。
— 今、気になっているジャンルは?
MARZY:最近はロンドンのシーンを追っています。昔から変わらずMura Masaとかは好きなんですが、最近はロンドンのバンドものが好きで。ヨーロッパのバンドもののトラックは、四つ打ちとの相性がすごく良いんです。アメリカよりもヨーロッパの方が”走っている”感じ。まぁ、ミックスしやすいってことです(笑)。
— 日本国内の音楽についてはどうでしょう?
MARZY:日本語ラップを聴くようになったのって、YENTOWNに入ってからなんですよね。それまではヒップホップに触れる機会って少なくて。そういう意味では、ヒップホップって、最近自分の中に入ってきた文化なんです。ラッパーの知り合いが増えたのもYENTOWNに入ってからだし。それまでは、プロデューサーやDJなど、どちらかというと裏方の知り合いが多かったように思います。
— 現状のシーンの中でMARZYさんが見た目も含めてフレッシュに見えるのは、その辺りが要因なんですかね。ちなみにこれまでヒップホップに触れる機会が少なかったMARZYさんの目に、今の日本語ラップのシーンはどのように映っていますか?
MARZY:どんどんバンドに近づいている気がしていて、そこが面白いですね。自分がこれまで通ってきた音楽とリンクする機会も増えているように感じます。サンプリングソースもバンドものが増えたし、昔よりもジャンルの境目が無くなったというか。
— ただ、一方では、機材の進化もあり、DJになること自体のハードルは昔よりも格段に下がっているように思います。他のDJとの差別化という意味で、何か考えたり、実践していることはありますか?
MARZY:自分の場合はマイクパフォーマンスですかね。YENTOWNの曲をかけたらDJ中にもカラオケみたいに歌うし、AwitchのライブでバックDJをしている時も前に出て歌ったり、広くステージを使うように心がけています。なるべく可動域は広めな感じで(笑)。僕にとっては、技術面よりもグルーヴが大切ですから。昔はそれで良くメンバーに怒られたりもしましたけど(笑)。あとはSNSやYouTubeなど、ステージ以外でのアプローチも、今の時代はすごく大切ですよね。