#2. 「OTOMAYIM B DIPPER」
続いては同じくスナップブログですが、こちらは遙か海の向こう、ニューヨークのファッション工科大学に通う日本人、宮本諒氏による「OTOMAYIM B DIPPER」。日本では知る人ぞ知る存在ですが、現地ではNew York Magazineにも取り上げられるなど、その美意識はお墨付きです。
また読者としてありがたいのが、ショップレポートの存在。日本でも広く名の知られた人気ショップから、あまりメディアに登場することのない隠れた名店まで、スタッフの写真付きで詳しくレポートされています。
更新頻度は、本人の「一ヶ月にひとり撮って更新することができれば運の良いほう」という言葉どおり決して多くはありませんが、「（更新頻度を増やして）ブログの視点がぶれたり、写真のクオリティが低くなったりはしたくないので」という、確固たる意志に基づくもの。「ふと思いだした頃に見ていただければ」と遠慮がちに語る宮本さんに、いくつか質問を投げかけてみました。
Q1. ブログをはじめたきっかけを教えてください。
A1. 理由はいくつかあるのですが、やはりメインはニューヨークの空気感を世界中と共有したい、という願いからです。ニューヨークはヨーロッパや日本と違い、お洒落な人は本当に僅かです。しかし、ごく稀にすごく素敵な人々に出会うことができます。私がニューヨークで出会い、撮らせてもらった方々は、人間としてすごく面白く、そしてファッションに支配されることなく、ありのままの自分を様々な形で表現しています。その人達と会話、交流することによって生まれる感動や幸福感が、私がこのブログを継続していけている理由の一つです。
また、現在、FITという大学にてファッションビジネスを専攻していますが、デザイン系の生徒と違い、自分が学んできたことをポートフォリオなどの形にすることが難しい学科です。私がニューヨークで見て感じていること、トレンドへの視点、ファッションへの概念を、ブログを通して形に残し、自分が見ていることを人々に感じ取ってほしいと思い、ブログをスタートさせました。
雰囲気抜群なCastro NYCのCastroさん。
©OTOMAYIM B DIPPER
Q2. 今年一番印象に残ったファッションに関するニュースはなんでしょうか？
A2. 一番印象に残ったニュースは、やはり、ランバンとH&Mのコラボレーションでした。
ユニクロを代表とするファストファッションが今、流行のピークを迎えています。このコラボレーションを通し、ハイブランドの価値観をたくさんの人と共有できるとは思いますが、どうか、ランバンの雰囲気を損ない、元来のファンを失うようなアイテムは出してほしくありません。実際に手にとってみる時が、今から楽しみです。
Q3. 今までで一番反響があったのはどんな記事でしょうか？
A3. ブログを開始して、同じ女の子を1年間で3回撮らせてもらったのですが、この子を撮ってブログを更新すると、必ず何かしら良いことが起きます。3回とも更新した直後に雑誌の取材依頼、TVの特集など、色々な分野から反響がありました。彼女は私の中で、幸せを運んでくれる天使のような存在となっています。最初はおなじFITの学生として、次はショップ店員として、3回目は彼女自身がショップオーナーとして、まだ一年間という短い期間ですが、この娘の人生の一コマを記録に残すことができて、とても嬉しく思っています。
充実のショップレポート。
こちらはローワーイーストサイドの注目店、
Assembly New York。
©OTOMAYIM B DIPPER
Q4. 最近注目しているトレンドやスタイル、その他コト・モノ等ございましたらお教えください。
A4. より良いストリートスナップのブログを運営していくために、様々なストリートスナップ「The Sartorialist」「Easy Fashion」「Fashion Bits and Bobs」などをチェックしていますが、やはり、カラーをふんだんに取り入れている人、花柄などのプリント、面白い質感、またミニマルスタイルな人々を見ることができると、見た目にも新しく、嬉しい気分にさせてくれます。
ニューヨークでは、まだまだ黒中心のスタイルが主流ですが、これからそういった人達を撮ることができたら、と思います。
Q5. よく行くショップ、好きなブランドは何でしょうか？
A5. ショップレポートもやっているので様々なお店を訪ねるのですが、よく行くお店はやはり、NYでも有数のメンズセレクトショップ「Atelier New York」と、ギャラリーエリアにある「Comme des Garcons」、そして若者の街，ロウアーイーストサイドにある「Assembly New York」と「Project No.8」でしょうか。これらのお店はアイテムの良さはもちろんですが、お店の雰囲気、そして何より働いている人自身の魅力でたくさんのファンを集めています。
Q6. 影響を受けた人・映画・音楽・書籍などがあったらお教えください。
A6. ブログに関していえば、やはり同じNew Yorkを中心に活動されている、ファッションブログ「The Sartorialist」のスコット・シューマンさんです。この方が私のブログを始めるきっかけでした。撮り方も参考にさせてもらっています。いつか、スコットさんのブログに私自身が掲載されることが私の目標の一つでもあります。
■Cluster的チェックポイント
ショップリポート以外にも便利なのが、スナップの撮影場所ごとに記事を追えるところ。スタイリングと同時に、その街の雰囲気も味わってみてください。
次のページは『#3. 黒部エリぞうのNY通信』編です。