[DR.MARTENS(ドクターマーチン)]が56歳の誕生日を迎える。
誕生から半世紀以上経った現在においても、[DR.MARTENS]の魅力が全く色褪せないのは常にオリジナルな存在であったからだろう。反骨精神の象徴としてその不動の地位を築いた[DR.MARTENS]はあらゆるアウトサイダーたちの足元を飾り、世界中の若者達を魅了し続けてきた。
[DR.MARTENS]の今まで、そしてこれからの話をしよう。本特集では、[DR.MARTENS]の名作を振り返りながら、タトゥアーティストOTとの邂逅によって生まれたコラボレーションワークから、[DR.MARTENS]のオリジナリティーに迫る。
Photo:Keiichi Ito、Text & Edit:Shu Nissen
『1460 8EYEBOOT』
全てはこのモデルから始まった。堅牢なレザーアッパー、丸みを帯びたシルエット、イエローステッチ、ヒールタブ。[DR.MARTENS]の永遠のオリジナルアイコンでありファーストモデルの8ホールブーツが誕生したのは、1960年4月1日のこと。この日付にちなみ『1460』と名付けられたブーツは、その後の世界の靴市場、そしてユースカルチャーに大きな影響を与える事となる。そのきっかけの1つがスキンヘッズ。60年代後半、初期モッズから派生したスキンヘッズというギャングがロンドンに誕生するのだが、頭を剃り、足元を[Dr.Martens]で固めるのが彼らのスタイルだった。また、THE WHOのピート・タウンゼントが[DR.MARTENS]の8ホールを履いたことで音楽の場でもアイコンとして若者に取り入れられる様になっていく。
『1461 3EYESHOE』
『1460』と並ぶ定番モデルである3ホールのローカット。労働者の権利を訴えるデモが活発に行われていた60年代の英国では、英国労働党の社会主義者トニー・ベンを中心に、ボタンダウンのシャツにグレーのスーツ、3ホールのドクターマーチン『1461』というスタイルが、デモに参加する労働者を通して広まっていった。
『3989 BROGUE SHOE』
クラシカルなシューズにも定評がある[DR.MARTENS]。その代表格が『3989』だ。一般的なウィングチップのタイプとは異なり、チップ部分がカカトまで覆われたフルブローグ仕様。ロックなスタイルはもちろん、スラックスとも相性の良いシューズで様々なスタイルに合わせやすい。それでいて厚めのアウトソールが[DR.MARTENS]のアインデンティティを感じさせる。
『ADRIAN TASSEL LOAFER』
タッセルローファーには、[DR.MARTENS]が扱うレザーの中でも、特にソフトな質感が魅力のオイル系フルグレインレザーが使用され、地の色を出すまで表面が磨き上げられている。ローファーと言われれば、プレップなファッションを連想するところだが、[Dr.Martens]の手にかかれば、どこか音が感じられる仕上がりになるから不思議だ。
『1490Z 10EYE BOOT』
1490は、3ホール、8ホールに次ぐ傑作とも言うべき10ホールブーツ。長さが出る分主張が強く、よりメンズライクでハードな印象に。8ホールに比べ、多少クセがあるが、だからこそ独特の魅力を放つ一足。もちろん上2ホールを通さず紐を後ろに回し、前で結ぶのがおすすめ。8ホールか10ホールかそれが問題だ。
『POLLY T-BAR SHOE』
バックルでサイズ調整が可能なレディースのストラップシューズ『POLLY』。この独特の佇まいは、古着愛好家にも人気が高い。T字のストラップを活かしてソックスとの組み合わせを楽しむのが面白い。そして上質なスムースレザーが品のある雰囲気も漂わせる。
『CHURCH LACE LOW BOOT』
『CHURCH BOOT』はワークブーツのカテゴリで言えば、モンキーブーツ型。つま先まで伸びたレースステイは、電線施工者が高所での作業をする際に、より高いフィッティングを得る為のものだったと言われている。多くの労働者階級の人々に受け入れられ、彼らの精神や仲間を表すサインとして[Dr.Martens]は定着していった。
『1914Z 14EYE BOOT』
ロング丈の14ホール。着脱の煩わしさを忘れる程のインパクトを放つ編み上げブーツは男女問わずにサマになる。パンクス・モッズ・ロッカーズから普及し、今ではファッションシーンでも欠かせない重要アイテムだ。