Case 03 藤田蔀・江田直弥
— お2人が鞄職人になろうと思ったきっかけを教えてください。
藤田:私は滋賀県の生まれなんですが、育った土地の周りに織物工場が多かったんです。当時、ミツシマというメーカーさんがあって、自然とそこで鞄作りを始めるようになりました。鞄とは言っても、素材はカーテン地に防水加工をしただけのひどいものでしたけど、そもそも鞄というものが無かった時代だったので、それでも作った鞄はどんどん売れていきました。戦後、中学を卒業してからはすぐに大阪に出て来て、17~18歳くらいの時に本格的に鞄作りを始めたんです。戦争から帰って来た元職人の人達に、裁断から何から鞄作りに関することは全部教えてもらいました。
江田:自分は元々服飾の学校に通っていたんですが、色々と勉強するうちに洋服よりも鞄の方が好きになりまして。洋服作りよりも鞄作りがしたいってことで、ここに来ました。BASE 大阪に来るまで、大阪は1度も来た事が無かったんですけどね。
— BASE大阪の職人になって良かったと思う時はどんな時ですか?
江田:物を形にする技術を教えてもらっているので、鞄になる前の型を作れるようになった時は嬉しかったですね。BASE大阪でこの仕事をしていなかったら、その技術は習得できなかったと思います。
藤田:元々物作りが好きな事もあって、自分の技術を若い子に伝えられるっていうのは嬉しい事ですよね。江田くんのような、自分にとっては孫ぐらいの年齢の子に、縫い方とか、道具の使い方とか、教えながら色々なことを話して、コミュニケーションを取れるっていうのはBASE大阪ならではです。
— 実際に製作している側からすると、[master-piece]のバッグの魅力はどんな部分にあると思いますか?
江田:使う側もそこまでは気にしないんじゃないか?って思う位の細かい部分にもこだわっている点ですかね。針の目数とか、本当に細かいディティールまで綺麗に仕上げています。
藤田:縫い重ねがちょっとでもズレてると返品の対象になるもんね。
江田:縫う人が使う人のことを考えて作っているってことですよね。少なくとも自分たちはそういう想いで[master-piece]のバッグを作っています。
藤田:サンプルも最低3回は作るもんね。これだけサンプルを作る工場ってなかなか無いと思いますよ。
— では、BASE大阪の魅力は?
江田:藤田さんのように歳の離れた方と隣同士で鞄を縫わせてもらえるところですね。ものすごく親切に育ててもらっているなぁ~と我ながら思います。年上の人とも同年代の人とも同じ目線で話せる職場ってそうはないと思います。
藤田:みんなが日々勉強しながら、精一杯のことをして、少しでも良い商品を作ろうと考えています。そういう状況だと、出来上がりを見るのも毎回楽しいんですよね。[master-piece]はデザインが若いから、僕もその感性に合わせなきゃいけないなと思って、しょっちゅう百貨店に色々な鞄を見に行って、勉強してるんですよ。
— 最近ご自身が担当したバッグの中で、お気に入りの1品を教えてください。
江田:『AREA』ですかね。注文数が多かったこともありますけど、自分が担当したのが固くて縫いづらい部分で色々と苦労したのを良く覚えています。
藤田:僕は『POTENTIAL』かな。持ってても、置いてあっても格好良い。良いバッグだと思いますよ。