「鞄職人」という生き方。
A Documentary of master-piece(職人編)

by Mastered編集部

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Case 02 桂満久・松尾泰一

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— お2人が鞄職人になろうと思ったきっかけを教えてください。

:元々洋服が好きで、その中でも特に靴と鞄が好きだったんです。もちろん、デザイナーへの憧れもあったんですけど、専門学校の恩師から、まずは物作りを覚えて、そこからデザインに落とし込んでいく方向でも良いんじゃないかってアドバイスを受けて。それで、確かに技術があった方が視野が広がるよなと思って、まずは物作りを極めようと。今の時代、”職人”ってなかなか自分の周りにはいないし、ミーハーな意見かもしれないですけど、”職人”って呼ばれたいんですよね。だって、そう呼ばれる為にはそれだけの腕や技術が必要だし、誰でもなれるものでは無い訳じゃないですか。

松尾:僕は元々叔父がこういう仕事をしていて、単純に言えば誘われたんです。製造の仕事は元々好きだったし、極々自然とこの道に入りましたね。

— BASE大阪の職人になって良かったと思う時はどんな時ですか?

:時々、こんな感じでインタビューをしてもらえたりするところですかね(笑)。というのは冗談で、展示会前とか本当に死にそうなくらい忙しい時もあるんですけど、不思議と嫌になったり、辞めたいと思ったことは1度も無いので、この仕事は自分に合っているんだろうなと思います。例えば、通勤電車の中でも色々な人の鞄を無意識にチェックしてしまうし、「自分だったらこう作るのにな」とか考えてしまうので、ある意味では既にライフワークになっているのかもしれません。

松尾:鞄って様々な形に変わっていくじゃないですか。以前の型を応用する楽しみもあるし、新たなデザインを生む楽しみもある。無限に形があるから作っていて楽しいし、作り続けていても飽きるということが無いんですよね。特に[master-piece]の鞄は、絶対どこかに頭を使って作り方を考えなければいけない部分があるから、やりがいがあって、毎日が充実しています。

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— 実際に製作している側からすると、[master-piece]のバッグの魅力はどんな部分にあると思いますか?

:一言で言うのはなかなか難しいですが、デザイナーが現場の僕たちの意見を聞いて、それを商品に反映させてくれるっていうのは他のブランドには無い強みかなと思います。デザインだけでは無く、強度とか、機能面とか、色々な側面からディスカッションを重ねた結果、[master-piece]のバッグは生まれているんです。

松尾:[master-piece]のバッグは常に斬新ですよね。街で持っている人がいると目立つでしょ。機能性もあるし、バリエーションも豊富で、持つ人の個性に合ったものを選べるから根強いファンがいるのかなと思います。

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— では、BASE大阪の魅力は?

:働いている人たちの個性ですかね。松尾さんを筆頭に(笑)。

松尾:色々な年代の職人がいますけど、その中でも若いのが頑張っているっていうのは良い事だよね。

:自分のおじいちゃんよりも年齢が上の人に仕事を頼んだりすることもあるし、逆に僕たちの世代では知らないことを教えてもらったりだとか、使ったこと無い道具を譲り受けたりもするんです。これだけ年齢差のある人たちと、そうやってコミュニケーションをとれるっていうのは、BASE大阪ならではの魅力なんじゃないですかね。

— 最近ご自身が担当したバッグの中で、お気に入りの1品を教えてください。

:僕は『SPEC』ですね。あのシルエットを作り上げるのがなかなか大変で、一時期は全然寝られなかったです(笑)。でも今までにあまりやってこなかった手法で作り上げたので、自信にはなりました。サイズ感や肩のアールの出し方など、デザイナーと細かく色々と話し合いながら進めて行けたのも良かったかなと。

松尾:定番だけど、『Density』かな。種類も増えて、少しづつ変化はしているけど、シリーズとして今でも続いているのは嬉しい。最初からやっているシリーズなので、思い入れもありますしね。もう『Density』に関しては、「誰がそんなに買ってるの?」って思うぐらいの数は作りましたよ(笑)。

Density 16,000円 + 税

Density 16,000円

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